概要
NPC情報
導入
*
遊園地
 遊園地描写例
お弁当イベント
劇場
*
観劇後
車に乗り込む
車に乗り込まない
ED分岐
*
タマキの自宅
報酬・背景
共有メモ・MAP

KP資料
NPC・CS

  

やさしい恋の保ち方

シナリオ概要

シナリオ名:やさしい恋の保ち方
プレイ時間:約4時間前後
人数:2人
推奨:回避・受け流し・高HPのいずれか。HOを受け入れる人間性のほうが大切。
注意事項:出目によるPvP可能性があり。

提示するかKPにお任せする推奨:心理学・医学
NPCの救出に必要となる技能:精神分析・信用・医学など『できる限り私的に』遠山を治療するのに適した技能。

PL向け概要

 探索者は一緒に食事をしたり、町を歩いたりする程度の友人・仕事仲間・探索者仲間・きょうだい・恋人(プラスの感情があればどのような間柄でも問題ない)だ。
 あなた方がともに過ごしていると、見覚えのない少女(あるいは少年)が話しかけてくる。その後ろに明らかにボディガードのように見受けられる男性がいるので、おそらくそれなりの家の出ではないだろうか?

「一日、一日だけでいいんです」
「私と恋人ごっこをしてください!」

 HO1にあたる探索者がこの頼みを聞いてしまうタイプの探索者であることを前提に進むシナリオである。

HO1
あなたは「タマキ」を名乗る子供に恋の告白をされる。
一日だけ恋人になってほしいと願われる。色々と要求は疑問があるだろうが、それに頷くことからシナリオが開始する。
見知らぬ子どもと見知らぬお付きと行動するのは身の危険を感じるだろうということで、HO2とも行動することになる。 職業に関しては引きこもり以外は何でも構わないが、性別問わず成人であることが望ましい。
HO2
あなたはHO1の友人・知人・仕事仲間・恋人だ。(双方にプラスの感情があるならば関係性は問わない)
HO1が子供に告白される場面に居合わせ、二人の一日デートに付き合うことになる。
その理由はHO1への友情でも、好奇心でも、謝礼当てでも、あるいは嫉妬でも構わない。
程度は問わないが、HO1とはなにかしらの信頼関係があることが望ましい。

タマキ
仕立てのよい服を着た容姿端麗な少女(探索者が女性の場合は少年)
HO1に告白してくる11歳の少女(少年)だ。
過保護な父の暴走により、引っ越す前の思い出作りとして一日デートをできることになったという。
勝手なのはわかっているが、どうしても身分は明かせない。それでも付き合ってくれないかと、何度も頭を下げてくる。
遠山幸彦(とおやま・ゆきひこ) 体格がよい50歳ほどに見えるスーツの男性だ。
タマキのお付き。所謂SP。タマキの生家を明かせぬ代わりに、何か問題が起きた場合は彼がすべての責任を負うと言ってくる。
探索者に対する態度は丁寧で、タマキに対する態度はより丁寧。
デートの料金はタマキの生家がすべて払うし、探索者が望むのならば彼が追加で謝礼を払うとのこと。 HO2に関しては、必要ならば彼が追加で支払うとのこと。

KP向け概要

 ロリかショタとデートするとみせかけて、実は51歳の下種なNPCからHO1の人権を守ることになるシナリオ。下種に買われているかわいそうなNPCの身柄を確保できるかは基本的にクリティカル案件。
 前半は11歳の少女か少年とのんびりと遊園地で遊び、劇場で不穏になり、最後教会についていくかでED分岐が起きる。黒幕NPCの自室をあさるかは探索者の生存に関係はない。趣味の世界だ。
 黒幕の確保しにくさにイラっとしたPLがいらっしゃった場合は「制作中の続編で高確率で死ぬか社会的制裁受けるんで」とお伝えください。

 黒幕の確保(重火器があれば殺害自体は容易だが死体の処理はそれなりに難易度が高い)が高難易度なシナリオなうえ、黒幕がずっと探索者をあざ笑っている形になる趣味のよくないシナリオです。
 『後味のよいシナリオではない』『探索者を馬鹿にしている部分がある』『一部描写が陰湿』『低確率だが出目でPvPが起きる』などの注意の上、回してください。難易度自体は低いです。KP裁量でどこまでも難易度を下げられます。改変・シナリオフックとしての利用も自由です。
 ちなみにシナリオ終了後に提示してほしいこのシナリオの正式名称は「易しい恋の保ち方」である。安易な恋の手に入れ方。狂った女の人形遊び。そんなシナリオです。

シナリオ規約

シナリオ作者が「青月七日」であることを明記していただければ、好きに改変していただいて構わない。
NPCの性格から神格の変更まで特にこだわりはない。シナリオフックとして活用していただきたい。
ただ、どこを改変したのかをセッション後にPLの皆さんに説明していただけると多少嬉しい。
2020/2/12 初版アップ

NPC概要

大野竹 珠生(おのたけ・たまき)(女) 職業:ディレッタント 年齢:51歳
STR:12  DEX:14  INT:14 アイデア:70
CON:16(加齢により-1)  APP:16(加齢にて-1)  POW:18(呪文行使にて-4)
幸 運:70
SIZ:9 SAN:59 EDU:10(加齢にて+3) 知 識:65
H P:12  M P:11  回避:dex*2  ダメージボーナス:0

容姿(本人):黒髪を肩のあたりで切りそろえた美しい女性。写真だけであれば40前半程度に見える。手などの年齢が出やすい部分は年相応。肌年齢も年相応。…11歳に化けて登場するのは「コスプレのようなもの」である。
人物の呼び方:探索者→苗字+さん。遠山→遠山
心理学情報:探索者とのデート中も、探索者との観劇中も、探索者が楽しんでいても、怒っていても、疑っていても。いついかなる時も「楽しそう」と出る。彼女にとって好意も嫌悪も同じものだ。人の感情が動くさまを見ることが、唯一の趣味なのだから。彼女から探索者に心理学を振ることはない。探索者がなにを考えていても興味はない。感情の動きによってもたらされる行動を見たいのだ。それが自身を殺すための行動でも、彼女は常に「楽しそう」だ。

子供に化けているときはSIZE9。APP16。
 好きなものは物言わぬ美しいもの。嫌いなものは人の良いもの。
 愛するものは「人が裏切られた時の表情」
 絵にかいたようなメンヘラ下種野郎。そしてバイ。人形遊び感覚なので自分がロリショタロールをしている嫌悪感は特にない。51歳の姿ででブリっ子やるのはさすがに嫌かもしれない。幼少期に<皮膚なきもの>を召喚し高POWにモノを言わせて1d10で生還してしまった狂信者である。
 わざわざロリショタで来た理由は「趣味」「なんとなく」「若い恰好でたぶらかすの飽きた」である。

 シナリオで遠山が語った通りの「なんとなく」な理由で探索者に目をつけ、なんとなくの理由でデートに誘う。
 魂の歌が成功してたらHO1と2を殺し合わせる予定だった。だって、信頼しあってる人が争うとか最高滑稽で面白いから。できない場合は適当に幸彦をけしかけて消えるつもりだった。
 門が作ってあるのはMP1でいけるどこか。彼女が殺されなかった場合は続編に続く。
 暗黒の祖先持ち探索者のようなデータをしているが、彼女の性格がねじまがっているのは「暗黒の祖先とか関係ないところで実父の人間性がクソ」「物心つくまで実父としか交流しなかった」「その後も周囲が治そうとしなかった」「脳の機能の一部に欠損がある」…といった、絵にかいたような檻の中で過ごしたほうがいい人間である。

 最後遠山一人置いていくのは「遠山はどこにいても自分のもの」だから。一人で逃げるのは肉体的にはさほど強くない自覚があるから。
 ED後高確率で遠山を迎えにくるのは「お気に入りのオモチャを捨てておく必要性がはない」から。…POWが減る門の創造やボディワープを使ってまで迎えにくる場合もある程度には愛着がある。それが彼にとっての不幸か幸いかは微妙なところだが。
習得呪文
・皮膚なきものとの接触(P261)…死体の準備とその手引きをしたのはタマキの実父である。
・肉移植(基本P275)
・肉の溶解(基本P275)
・ゴルゴロスのボディワープ(基本P257)


・魂の歌(呪いのホイッスルは諸国漫遊中にもらった)
・記憶を曇らせる(基本基本P255)
・門の創造(基本P290・オリジナル要素あり)…活性化のためにタマキのみが知る身振りと短い呪文が必要になっている。

タマキ・CS例

遠山幸彦(とおやま・ゆきひこ)(男) 職業:執事 年齢:48
STR:12  DEX:14(ケガにより-7)  INT:15 アイデア:75
CON:13(加齢により-1)  APP:10(加齢により-1)  POW:10
幸 運:50
SIZ:14 SAN:99 EDU:13(加齢により+1) 知 識:70
H P:13  M P:10  回避:dex*2  ダメージボーナス:1d4

容姿:仕立てが良いスーツに身を包み、黒髪をオールバックにまとめた、無表情の男性。もし髪の根元に目星するなら、白髪染め気味。実年齢よりもやつれて見える。
人物の呼び方:探索者→苗字+さん。タマキ→タマキ様
心理学情報:探索者たちには基本的に「申し訳ない」という気持ちを抱いている。タマキにはおびえている。探索者がタマキと睦まじく歩いていても嫉妬はない。タマキをけなしても当たり前のことだと思う。ただ、タマキの身体に危険が及んだ時のみ、怒りのような反応を見せる。…とはいえ、その怒りは長年の調教でしみついた、条件反射のようなもの。過労気味の彼の思考能力は、著しく弱っており、意思と呼べるものが全体的に薄い。探索者に自身のことを気遣われると、驚く。

MA持ちな珠生のSPというなのペット。本シナリオの事実上ボスエネミー件ヒロイン。PvPの場合はお助けNPC。
精神は衰弱している。ないと思うが彼の頭をなでようとすればおびえる。口説こうとすれば頼んでもいないのに犬のようにふるまう。殴られなぶられ早40年弱だから。
タマキとの付き合いは彼がいたいけな少年だったころから。

赤ん坊のころ病院に捨てられていた孤児で、タマキの実父の部下の元で養子になっていた。そしてタマキの実父にも多少暴力を振るわれている。理由はない。ただの虐待だ。
そして彼が7つのころタマキの世話役にされた。このころからすでにあの性格が出来上がっていた<趣味・人形遊び>な彼女のおつきに。

彼がされていたことを、彼の養父母は家族は知ってたのだけれども。守られることはなかった。養父母はタマキの父の忠実な部下であり、タマキの危険性を理解していた。要は「縁もかすりもない人間が生贄になってくれるなら止める理由はない」というやつ。
タマキが周囲の手に負えなくなってよそに嫁にいってからも、彼はついていった。もしもの時のサンドバック要因で。
そしてやっぱりサンドバックにされた。不憫。あれでも正気を保っている方。

タマキには依存しているし、ありていにいえば愛してもいる。
だからこそ、どうにかとめたくもあった。彼の行動に不自然な点が目立つのはそのせい。タマキの目がなくとも決定的なことを言えない程度にできあがってもいるけれど。
正気はほとんど残っていないので、もう楽に終わりたいという感情もだいぶあるのだけれども。

クライマックス付近でに彼に「魂の歌」がほどこされた場合、呪文の成否は彼の行動に影響しない。どちらでも同じように、タマキの意志に従う。
長年なぶられ虐げられたゆえの反射による発狂。ようはラストのアレは1d4のSANと8MPをつかった犬笛である。

遠山が精神的に救われるルートは、基本的に想定していない。救われるのであれば、長い年月と専門医の協力が必要になる。『精神分析などの1クリ』案件。
むしろ正気に返すよりは別の人が調教したほうが早い。生態的に。
お察しの通り病院にいれたところで、1年後くらいにタマキが迎えにくるのだけれども。
家族でも面会できないところに徹底的に押し込めればタマキの迎えを防げるかもしれない。
家族が会える場所ならタマキは彼の養父に姿を変えて会いに来てしまうだろう。身柄が確保されていれば、門の創造を駆使するだろう。その程度には愛着を持たれていることが、彼にとっての幸いなのかは分からない。
ちなみに続編でタマキが死亡すれば、探索者が世話をした病院で一生を終える可能性がある。彼が病院から出れる程度に回復するか否かはやはり『精神分析などの1クリ』案件。

遠山・CS例

導入

KP向け補足

 HO1・HO2の両者は、導入でレストラン・スーパー・道路など、周囲に人がいて、NPC達に話しかけられても不自然ではない場所に集まってほしい。
 「タマキ・遠山に話しかけられる」という目的が果たされるのであれば、場所はどこでも構わない。

描写例

 あなた達は、ファミレスの窓際の席でのんびりと昼ごはんを楽しんでいた。
 二人が食べ終わった、その時だ。
「あの、HO1さんですよね…?」
 声の主は、10歳ほどに見える子供だ。
 とても整った容姿をしている。子供はHO1を見るなり、がばりと頭を下げてくる。
「あの、あの……私とデートしてほしいんです!」
 その声は大きく、周囲の目線が集まる。
 そのことに気づいたのか、頭を上げた子供は申し訳なさそうな顔をする。
「その、私は…、私、タマキと申します。突然おかしなことをいって、ごめんなさい。…お話だけ、聞いてもらえませんか…?」
 子供の目じりにじわりと涙がにじむ。
 それと同時に、子供の背後を守るように、50〜60歳ほどに見える男性が現れる。
「ここからは、タマキ様に代わって私がお話いたします。少しお時間をいただけないでしょうか」
 タマキと名乗った子供を下がらせて、体格のいい男性は話を始める。
 丁寧だが抑揚のない、静かな口調だ。
「私は遠山幸彦。こちらのタマキ様のボディーガードです。(名刺を渡してくる)
 タマキ様は、とある日HO1様に出会い、ぜひもう一度会いたかったそうです。
 そのことを、タマキ様のお父様が…その、大げさにとらえてしまいました。「一度デートさせてやるから、それで諦めろ」と言い出した。
 今日はそのためにきました。
 HO1様。大変申し訳ないことだと思っていますが、一日お付き合いいただけないでしょうか」

KP向け補足
 ここで彼らの話を聞かないとシナリオが終了する。どうにかして話を聞き、依頼を受ける流れにしてほしい。
 この時点で遠山はタマキの「HO1をもてあそびたい」という目的を知っている。わずかに申し訳なく思っている。
 遠山がHO2を唐突で無理があるセリフで誘うのも、それが理由だ。タマキとHO1を二人きりにするのは不安。だが自分は邪魔をできない。HO2にタマキの異常性に気づいて、HO1を守ってほしいと考えている。

遠山・台詞例

「お礼は私を通して、いくらでも。
 子供とはいえ、見知らぬ人間とひとりきりというのもおかしな話、というよりは、職質を受ける恐れがあるので。私は同行します。
 しかし、こうなるとHO1様の心理的な負担が大きい。見知らぬ男と子供と一緒に行動するなど、おそろしいでしょう」
「だから、HO2様。よろしければあなたも付き合っていただけないでしょうか。お礼は、あなたにも同様に」

「タマキ様の身分を明かすことはできません。それがこの『一日デート』の条件です。…本当に、勝手なお願いだとわかっています。
 けれど、お願いです。タマキ様の願いをかなえてくれませんか」
「依頼を受けていただき、ありがとうございます。現地集合をお願いしてもよろしいでしょうか。料金は、すべてこちらがもちます」

タマキ・台詞例

「ごめんなさい、急におかしなことをいってしまって。私、別に、見ているだけで充分でしたし…こんな子供におかしなことを言われても、困らせるだけだとわかっているんですけど…お父様が変な方向に暴走しちゃいましたから…」
「お父様の中で『デートさせなかった場合、諦めることができなくて後々面倒なことになる』というストーリーができてしまっているみたいで…こちらのいうこと、聞いてくれないんです」
「あの、私、今度引っ越しますから。だから、もう会うこともないですから…。一日だけ、一緒に遊園地にいってくれませんか?」

「受けてくれてありがとうございます! あの、じゃあ、(探索者の都合が良い日)の10時! 10時に来ていただけますか!?」
「ありがとうございます、あの、私、お弁当作っていきますね! 頑張りますから! …うれしい」

「帰ろう、遠山。HO1さん、HO2さん、本当に、本当に…ありがとうございます」

 タマキは礼儀正しく一礼して去っていく。遠山もまた同様に去っていく。ちなみに、飲食をしているとしれっと奢ってくれる。
 この時点で遠山に「怪我でもしているのか」と聞けば「昔、仕事で怪我をしました」と嘘をつく。
 タマキにこの傷のことを聞くなら「知らなかった」「心配」などと嘘をつく。

タマキにふれる技能

  • 服装に<目星><値切り><変装>など成功:地味だが仕立ての良い、金のかかった一品だと分かる
  • 心理学:成功・失敗でも「とても楽しそうだと分かる」クリティカルにより「なぜここまで楽しそうなのか違和感を感じる」
  • EDU*5など礼儀作法に関係する技能成功:タマキの所作がとても洗練されている。10代の子供にしては不自然なほどに。
  • タマキに対して神話技能成功:なにか強烈に嫌な予感がする
  • 首元のネックレスが見えた場合<目星>成功:白いホイッスルのようにみえる
  • ネックレスに<博物学>などKPが適切と判断する技能成功:フクロウの骨ではないかと思う
  • ネックレスに<神話技能>成功:人の意識を操作する類のタチの悪い呪具ではないかという予感がする
  • 彼女が遠山をどう思っているかなどの心理学成功:彼のことをなにも疑っていないと分かる

遠山にふれる技能

  • 服装に<目星><値切り><変装>など成功:地味だが仕立ての良い、金のかかった一品だと分かる
  • 彼に<心理学>成功:ひどく疲れているように思える
  • 彼に<医学>成功:あまり健康そうに見えない。過労気味であるように思える
  • 彼に<目星>成功:肩を中心に上半身をかばうかのような歩き方をしているように見える
  • <目星>成功後に<医学>など適切な技能:今現在怪我をしているというよりは、怪我の後遺症で怪我の場所をかばう歩き方が癖になっている、と言う印象を受ける
  • 彼に<精神分析>が成功:精神が弱っているような印象を受ける。
  • タマキのことをどう思っているか<心理学>:成功・失敗共に「深い感情を向けているように思える」クリティカルで「わずかに怯えを感じる」

遠山の名刺

<続松医科工業(ついまつ いりょうこうぎょう)警護部門社員>と書いてある。

KP向け補足
別に嘘ではない。実はタマキの夫の死後、解雇されているが。
この会社についてKPが適切と判断する技能で調べるのであれば「経営に問題はない医療機器会社」であることが分かる。黒い噂は特にない。経営状態は「可もなく不可もなく」といったところ。
ただ、この会社の母体になっているグループがあり、多少黒い噂が付きまとっている。シナリオに関係はないが。よく役員が入れ変わったり、ちょくちょく自殺者が出たりしている。事件にはなっていないが、ミスを金でつぶしたり、関係者を自殺に追い込んでうやむやにしたりといったことを平気でする会社が母体。

【続松医科工業(ついまつ いりょうこうぎょう)】
遠山の名刺にある名前。
取り扱いは医療器具。手術・検査に使うような機械を製造・メンテナンスしている、それなりに大手の会社。
その機密などを守るための警護部門は確かに存在しているようだ。
本社はO府。探索者たちが住む町には支社がある。
現取締役会長は「大野竹・直正(おのたけ・なおまさ)」

【続松医科工業に遠山は在籍しているか確認する】

交渉技能に成功したのであれば、対応してくれた女性が教えてくれる。
「問い合わせたところ、確かに弊社におります」
「遠山が、いかがなさいましたか?」

「警備部門に所属していますが、とある関係者の護衛をしています」

KP向け補足
遠山の名刺に偽りはない。だが、タマキの夫の死後は解雇されている。以後、本格的にタマキのペット。
ただ、彼の名刺にある会社に問い合わせても「その社員は当社におります」「警備部門に所属していますが、とある関係者の護衛をしています」と答えられる。元役員夫人ことタマキ及び彼のことは人事で「かかわるな」とかん口令が引かれているので。詳しいことを聞こうとしても、個人情報保護の壁がある。
ちなみにこの受付の人は確認して指示されたことを言っているだけなので、心理学をふっても特に何も知らない。

デート当日:合流

 当日、待ち合わせ場所である遊園地前に行くと、タマキはすでにスタンバイしている。(タマキたちが待っているのは20分前から)
 このシーンの目的は「HO1・2とタマキたちを合流させる」以上のものはない。合流さえできれば改変可能だ。

描写例

 HO1を見たタマキは、ぱっと顔を明るくする。
 そして礼儀正しく一礼すると、明るい声をあげた。
「HO1さん、きてくれてありがとうございます! HO2さんも! 本当きてくれるなんて、夢みたいです!」

 にっこりと笑った子供は、おずおずと手を差し出してくる。

「えっと、デートですし。いえ、でも。きょうだい(親子)にしか見えないんでしょうけど。いえ、みえないからこそ、HO1さんは安心、というか…、…手をつないでもらって、いいですか…?」
 白い頬を赤く染めて、子供は頼んでくる。
 あなたが頼むのであれば心から嬉し気な笑顔を浮かべる。断ったとしても、少し残念そうにするだけだ。
「今日は、午後の2時くらいまでここにいて、そこから劇を見に行く予定なんです。お弁当は作ってきたから、食べてくれると嬉しいです。
 今が10時だから、たくさんのるには…たくさんのるためには、たくさんは知らないといけませんね。一緒にいきましょう!」
 はずむような足取りで歩くタマキは、とても無邪気に見える。

 タマキの後ろに控えていた遠山は、その様子を見てそっとHO2の方へ歩いてくる。
「HO2様。本日は、大変ありがとうございます。奇妙な形ではありますが、少しでも楽しんでいただけたら、と思います」
 初めて会った時同様、抑揚のない口調に無表情だ。
 けれどもキレイな角度でお辞儀をする姿は、とても真剣そうに見える。

KP向け補足
  合流シーンではまだタマキはしっぽをださずKPの考えた最強のロリショタロールを楽しんでほしい。
遠山はなるべく棒読みで「大丈夫かコイツ」と思うようなロールをしてほしい。彼は大丈夫ではない。
口説かれようがHO2がHO1をロリコンと罵っていようがセクハラをされようがすべて無反応。
彼が動揺するのは「探索者が彼を気遣った時」「タマキに肉体的な危険が及んだ時」である。

デート当日:遊園地の流れ

 探索者達とタマキ達が合流した後は、しばらく遊園地を楽しむ流れにしてほしい。
 それなりにこんでいるので、一か所につき1時間かかることにするのがおすすめ。合流したときに10時なので、大体2か所を回った時点でタマキが「お昼にしましょう」と誘ってくる。
 →お昼ご飯イベント
 とはいえ、このシナリオの時間経過には全く意味がないので、KPの好きにイベントを削除したり足したりしてほしい。

遊園地<うみのゆうえんち>・MAP

・ジェットコースター(CON*3)
・ゴーカート(運転)
・バイキング(CON*4)
・水上探検(CON*3)
・お化け屋敷(任意)
・コーヒーカップ(CON*5)
・観覧車

 探索者たちが住む町から電車で30分ほどの距離にある小さな遊園地。別に有名ということもない、地元民に愛されているようなタイプ。
 名前のわりに海に面していないのが笑いどころ。名物はうずしおに巻き込まれているという設定で海っぽい場所をくるくるする「水上体験」。めっちゃ酔いやすい。
*1か所回るために1時間。
それなりに込み合った遊園地だ。

お昼ご飯イベント

大体12時ころに、タマキがお昼を食べようと提案してくる。適当にフードコート的な場所を作り、移動させてほしい。
同じタイミングで、遠山は「飲み物を買ってきます」といって別行動になる。探索者がついてくるなら止めない。代わりに行くと言いうならば「これは私の仕事ですので」と言ってきかない。

描写例

 フードコート近くには、『お弁当スペース』という看板がかけられた芝生があった。
 そこにテキパキとビニールシートをひきながら、タマキはにっこりと笑う。
「お弁当、初めて作ったんです。遠山も手伝ってくれたんですよ」
 遠山は小さく頷きつつ弁当箱を開く。
 お肉中心で中々ちゃいろっぽく、ところどころ焦げてはいるが、可愛らしいピックなどで飾られたお弁当だ。
 確かに10代の子供が作ったと言われても納得する。
 角煮だけが妙に立派だが。
「申し訳ありません。飲み物を忘れていました。買ってきますが、お二人はなにがお好きですか」
 探索者の方を見、彼はやはり無表情で尋ねて来る。

KP向け補足
 このお弁当のおにぎりは、下記にある通り通常おにぎりに適さない食材が入っている。まずいと言ったり、顔に出したりするならば、タマキは眉を下げて悲し気に謝罪する。
「いちご大福って美味しいじゃないですか。それのイメージでした」「他の人と違うことをして…思い出にしたかったんです」等々。
 しかしここで<心理学>に成功すれば分かるだろう。タマキはちっとも申し訳ないと思っていない。楽しんでいる。
 タマキが人に思いやりを持っていないことば分かる描写の一つだ。ちなみに美味しいとも思っていない。純粋な嫌がらせだ。

描写例

 遠山を見送ったタマキは、お皿を片手ににっこりとほほ笑む。
「HO1さん、どれにしますか? 私の自信作は、焼いただけだからウィンナーです!」
 余談だがここで「はいあーん」などに応じてあげると、タマキはとても喜ぶ。

 角煮だけは買ったものだが、なるべくそれを言わない。HO1が褒めるのであれば「角煮、美味しいですか。…そっか。あの、一個嘘ついちゃったんです。角煮は、お店から買ったものです…。おいしいですよね」とコメントする。ささやかではあるが「タマキは割と嘘をつく」と印象づけるのに役立つ描写かもしれない。

お弁当の内容

・おにぎり:ノリで全体を覆われたおにぎり。不格好なのはご愛敬かもしれない。
・卵焼き:少し焦げた卵焼き。
・ウィンナー:こんがりと焼けている。少しこげすぎなほどだ。
・アスパラガスのベーコン巻き:かわいらしいピックが刺さっている。あまり色鮮やかではないが。
・ポテトサラダ:きゅうりとコーンが入っているタイプ。食べると少し塩辛い。
・角煮:とてもキレイ。トロトロでツヤツヤだ。

<おにぎりの内容:イチゴ・餡子&生クリーム・ミカン・豚肉・梅干し>
<コピペ用:choice[イチゴ,餡子&生クリーム,ミカン,豚肉,梅干し]>

 探索者たちがお弁当を食べている途中、遠山が帰ってくる。
 彼はHO1・2の分のドリンクとタマキのドリンクのみを買ってくる。自分のものはかってこない。
 タマキは一言も言わなかったためだ。「遠山。自分の分も買ってきなさい」と。
 以下のシーンは「遠山の異常性」を探索者に察せさせるためのシーン例である。

描写例

 戻ってきた遠山は、まずタマキに冷えたお茶を渡す。
 そして、HO1と2に順々に飲み物を配る。
「ありがとう、遠山。遠山も一緒に食べましょう?」
 彼は短くはいと頷くと、静かにおにぎりに手を伸ばす。

 もしも探索者が「自分の飲み物はかってこなかったのか」と聞けば彼は無表情のまま答える。
「不要です」
 探索者たちが納得すればそこで彼との会話が終わる。
 おかしい、真面目過ぎる、水分はとるべき。
 そのように指摘するのであれば、彼はちらりとタマキの方を見る。
 タマキは心配をしているような顔で言う。
「そうですよ、遠山。働き過ぎです。ちゃんと飲んでください。…ひとまずは、私のあげますから」
「ありがとうございます」
 丁寧にコップをうけとり、彼は静かに飲み物を飲む。

 彼の表情は変わらない。
 何を言っても、あまりに変わらないように思える。

 お弁当をすべて(あるいはおにぎりは残して)たいらげれば、タマキは上機嫌に立ち上がる。
「じゃあ、次はどこにいきましょうか、HO1さん!」
 HO1を見る目はわずかに潤み、整った唇は嬉しげに微笑んでいる。

KP向け補足
 ここから劇場に行くまで、決まった流れはない。
 このシナリオに「生存に必要な情報」というものはほぼ存在しない。
 遊園地を回るうちに、PLが遠山の異常性に気づき、それを気にしない風のタマキに違和感さえ抱いてもらえればいいのだ。
 タマキは身の上話などを聞くならば、基本的に嘘をつかない。
 彼女が語るのは「自信の幼少期の話」である。
 父親が死ぬまでの10歳までのことは「私、お父様が忙しくて…。お父様のお仕事の都合で、お父様とばかりいたんです」「お母様は早くに亡くなって」「遠山は…気づいたら、ずっと一緒にいます。お父様がつれてきてくれたんです。私と一緒にいるように、と」という。
 嘘ではない。父親がクズ魔術師であり、10歳の時に死別していることを除けば、だが。

劇場・四季折々

*劇団四季折々という命名はテストプレイに来ていただいた「ものぐさ様」からいただいております。

描写例

上演しているのは美女と野獣だ。
フランスの民話ではなく、ディズニーバージョン。
子供でも楽しめるように華やかなミュージカルとなっている。


劇団四季折々・美女と野獣(ディズニー版に近い)

美しく傲慢な王子は「見た目で人を判断したこと」により魔法使いの怒りを買い呪いを受ける。
恐ろしい屋裕の姿になる呪いを。同時に、使用人は喋る家具になる呪いを受けた。
呪いは『真実の愛』を見つければとけるのだと、魔法使いは言い残した。

時がたち、彼の屋敷にとある父親が迷い込む。
野獣は勝手に入り込んだ彼に激怒し、彼を牢につなぐ。

彼には娘がいた。村一番の美貌をほこるが、読書と空想が好きな性分を周囲に理解されない美しい娘・ベルが。
ベルは父を探しにきた。そして、牢につながれた父の代わりになるといった。

真実の愛を探す野獣と使用人は、ベルの提案を飲んだ。
最初はわがままにふるまう野獣は、次第にベルの利発さ、はつらつさにひかれて彼女に寄りそっていく。
彼女の愛する勉学を助け、丁寧に接し、鏡を使って彼女の愛する父の姿を見せた。

だが、鏡の中の乳は娘を案ずるあまり森をさまよっていた。
その姿をみたベルは、村へと戻っていく。
野獣はベルをおもいやり、それを見送った。

さて。
村には、ベルに言い寄る青年がいた。
青年は美しく力強い、村一番の人気者だった。
ただし、ベルの空想を全否定し、女が学問をすることを馬鹿にする傲慢な青年であり、ベルには嫌われていた。

村に帰ってきたベルが野獣と心かよわせたことを知った青年は、嫉妬に駆られ村人をたきつける。

恐ろしい野獣を駆除しなけれなければ自分たちは死ぬのだと。
野獣はそんなことをしないと訴えるベルを無視して閉じ込め、野獣のもとへと旅立った。


閉じ込められたベルは、使用人の助けにより野獣の元へと帰る。
その時、青年は野獣を追い詰めていた。
ベルを失い失意にくれた野獣は、そのまま死を受け入れるつもりだった。

だが、そこにベルが現れた。
野獣は生きる気力を取り戻し、青年を殺そうと追い詰める。
しかし、ベルとの日々に人間味を取り戻した野獣は、命乞いをする青年を殺すことはできなかった。
それがあだとなった。
青年は野獣をさし、崖へと落ちていき果てた。
野獣もまた崖の下へと落ちるところだったが、ベルにより引き上げられる。だが、青年による刺し傷は致命傷だった。

ベルへの愛を告げ死亡した野獣の亡骸に、ベルは自分も愛していたと告げる。
こうして、二人は真実の愛をしり、野獣は生き返る。

呪いから解放され、人に戻り、同じく人へと戻った使用人たち、ベルの父とともに、ベルと野獣はハッピーエンドを迎えた。

美女と野獣・原作】

 元はフランスの異類婚姻譚。
 1740年にガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ(ヴィルヌーヴ夫人)によって最初に描かれた。
 現在広く知られているのはそれを短縮して1756年に出版された、ジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン(ボーモン夫人)。
 ディズニー版に近いのは、ボーモン夫人のものだ。
 ディズニー版が「愛とロマンの物語」ならばポーマン夫人は「善人は幸せをつかみ悪人には報いがある物語」である。

 ポーマン版のベルは6兄妹で、3人の兄と2人の姉がいる。父が商人であることも、ディズニーバントの違いだ。
 とある日、港町に出かける父に姉たちは豪華なみやげをねだる。一方、ベルが頼んだのはバラだけだ。
 父は無一文になりながら、とある屋敷に迷い込む。そこでは体を温める料理があり、疲れた父はつい食べてしまう。そしてベルとの約束を思い出し、庭園のバラをつみとってしまう。
 そこに現れた野獣は、父を罵る。「もてなしてやったのにバラを摘むとは何事だ」と。
 娘のためだと弁解する父に、野獣は提案をした。
 「娘のひとりがここへきて死ぬならば許す。もし、ひとりもこないなら、3か月後にお前が戻ってきて死ね」
 かくしてベルは父の身代わりとしておもむき、野獣に求婚される。
 突然の求婚を断ったベルに、野獣は豪華な暮らしと、大きな鏡を与えた。父親が無事に暮らしている様子が見れる鏡だ。
 毎晩訪れてくる善良な野獣と心を通わせ始めたベルだが、鏡に父が病に倒れた姿が映し出される。
 父のみを案じたベルは、一度家に帰りたいと願い出る。野獣は「一週間で戻る」と約束した彼女を送り出す。

 帰宅したベルは、家族との再会を喜ぶ。姉たちはベルから野獣との暮らしを聞き、嫉妬した。
 約束の期限がすぎ、10日目の夜。ベルは野獣が死にかかった夢を見、屋敷に戻った。

 瀕死の野獣はベルに言う。「これで幸せに死ぬことができる」
 ベルはいいえと否定する。「あなたはわたしの夫となるのです」

 愛の言葉を受けた野獣は、ディズニー版同様人に戻る。
 ディズニー版との違いは王子が呪いを受けた理由が「傲慢さ」ではなく「幼女の意地悪」だ。
 最後に妖女が再登場し、意地悪な二人の姉を石に変えるくだりが追加されている。

 なお、最も最初に生まれたヴィルヌーヴ版は、ポーマン版のハッピーエンドの後に「ベルが身分などを理由に王子との結婚を反対される」といったエピソードがあった。
 その後、右京曲折の末、彼女もまた高貴な生まれが発覚したり、それゆえに苦労を重ねたり、様々な苦難がある。
 愛やロマンというよりは波乱万丈なファンタジーなのである。
 参照
 https://ja.wikipedia.org/wiki/美女と野獣
 https://bibi-star.jp/posts/1584

 劇の半ばあたりで、タマキはHO1に話しかけてくる。
 以下の台詞はHO1の反応にかまわずいっきに読み上げてほしい。
 探索者に不気味・胸糞悪いなどの感情を抱いてもらうことが目的だ。
 内容がおおよそ子供らしくないのはタマキが反応を伺っているため。
 彼女は探索者が自分を信じようが信じまいがどちらでも楽しいと思っている。頭のおかしい人間の行動に理由を求める必要はないが、しいていうならばこれは彼女の『恋』である。
 新しいおもちゃが欲しいという、おおよそ人間らしからぬ欲望だが。なにもありがたくないが。

描写例

 HO1にだけ聞こえるように気を遣っているのだろう、わずかに身を乗り出し、小さな声でタマキは語り始める。
 流れるように、静かな口調で。時に笑みをまじえながら。
「不思議ですよね、美女と野獣」
「普通、逆ですよねぇ。顔のキレイな方が愛されると思いません? いい人だと思いません? 私、あちらのイケメンが選ばれるのが普通だと思うんですけどねえ…」

「…いいえ。逆説的に、アレもまた『見た目で内面が図れる』ことを肯定していると思いませんか」
「顔がきれい。その分いい気になっているはずだ。そうといわんばかりのキャラ付けではありませんか」

「知っていますか? 美女と野獣の元になったのはフランスの民話。そこには恋敵は存在しないんですよ。そうではなく、姉が二人います。本来は異類婚姻譚(いるいこんいたん)にして末子成功憚ですね。
 父親の病気で家に帰るまでは一緒ですけど、それからは違う。
 ベルが豪華な生活をしていると知った姉二人は、嫉妬から妹を足止めする。
 ベルは姉たちの嫉妬から足止めされるも、野獣の死を夢にみて岐路につく」

「あとは、ディズニー版と同じく、ハッピーエンドです」
「どうして追加したんでしょうね。恋敵」

「見た目で差別しない、それが真実の愛。それを印象付けるためなのでしょうね。『美男がフラれる』というイベントは。  それをいうのなら『真実の愛』は恋敵の存在や周囲の妨害などなくとも、静かに燃えてそれだけで芽生えるものではないかと、そう思うのですけど。  なんだか、まるでおもしろくない、と言っているように見えます」
「不幸なケモノが救われるだけではつまらないと言っているよう。誤解で熱狂する民衆の滑稽さに盛り上がりとしているよう。恋敵の死すら、物語におけるアクセサリーのように、私には見えます」

「……身の程知らずが破綻するお話って、みんな好きですものね」

 おおよそ子供らしくない内容を一息ではなして、タマキはふうと息をつく。
「―――と、いうのを。お父様が話していたんです。…難しいですよね。よくわからないです」
 ふにゃりと眉を下げる顔は、あいらしい。困った顔をした子供に見える。

KP向け補足
 ここでとまどうも、怒るも、探索者次第だ。席を立つならばタマキは追ってくる。目じりに涙をためて「怒らせてしまってごめんなさい」と。内心はとてもおもしろがっている。
 遠山も慌てて追ってくる。彼は特に何も考えていない。もう物を考えられるような精神状態ではないのだ。

 最後まで一緒に劇を見るのであれば、楽しそうに美女と野獣を見ている。
 彼女が『楽しい』と感じているのはHO1の反応だが。ちなみに『ということを父が言っていた』というのは嘘だ。彼女自身の考えだ。

観劇後

 劇場まで付き合った探索者は、タマキに「もう一か所だけ付き合ってほしい」とお願いをされる。
 これを受け入れて車に乗るか、そのまま帰るかでルートが分岐する。

描写例

 劇を終えたあなたたちに、タマキが声をかける。
 困ったような、申し訳なさそうな顔で。
「もう一か所、付き合ってほしいところがあるんです」
「車に乗って、一緒にいってくれませんか?」

 不安げなタマキの背後、遠山はなにも言わない。
 静かにたたずみ、あなたたちを見ている。

 あなたたちがこの提案を飲むか飲まないかは、自由だ。
 この提案を受けた場合「タマキに付き合う」イベントが発生する。

KP向け補足
 この時、タマキの目的は「HO1にHO2を襲わせること」にすり替わっている。だって、いい子のフリ飽きてきたから。邪魔が入らないように人気のない教会に行くのである。
 遠山はそれに気づいてはいないが、ろくなことをしないと考えている。
 ここで断った場合は、遠山が車で送ると提案してくる。その場合は、車から降りた瞬間に「帰宅する」と同じイベントが入る。

タマキに付き合う

描写例

 タマキが遠山に指示して探索差たちをつれてきたのは、教会のような場所だった。
 おそらくは営業されていない、ところどころ朽ちた建物。
 それを前にして、タマキはHO1の手をとってくる。
「ごっこ遊びで構いません、ごっこ遊びにしかなりません」
「してくれませんか? 結婚式ごっこ。できれば、二人きりで」

KP向け補足
 このごっこ遊びの目的は「HO1とHO2を引き離すこと」だ。KPは頑張って誘導してほしい。無理なら一緒に入ってもらってもいい。その場合も、イベントの進行は止まらない。

描写例

 誰もいない教会は、埃っぽかった。
 誓いの言葉をとげる主祭壇や祭壇にかけられた布、参列者のための椅子は残っている。
 あとは電気もなく、まっくらだ。
 天井がステンドグラスになっているため、ほのかな月明かりがあたりを照らしていた。

「誓いの言葉は、なんでしたっけ。病める時も健やかなる時も?」
「愛し、支え合うことを誓います」
 探索者が答えてくれるなら喜ぶ。
 答えてくれなくても、タマキは笑う。

 誓いの言葉を言い終えたタマキは、てくてくと主祭壇の方へと歩いていく。
 そうしてくるりと振り向き、にこりとほほ笑む。
 そのまま何かを言うでもなく、胸元に手をつっこむ。白いホイッスルを取り出し、思い切りふく。
 HO1の耳に、ぴぃ、という音が届く。かすかな、ひどく胸を乱される音色だ。

*HO1のみ
 あなたの耳に、奇妙な音が聞こえる。
 まるでホイッスルのような音だとも聞こえるし、聞いたことがない音のようにも思う。
(魂の歌:コスト:1d4 MP8)
【HO1は12とのMP対抗をお願いします】
【HO2は教会内・教会外に関わらずPOW*3の判定をお願いします】
 HO2はPOW*3に成功すれば同じ音が聞こえます。

抵抗に成功した
抵抗に失敗した

教会MAP

呪いのホイッスルに抵抗した・HO1のイベント

描写例

 あなたは不快感から数度頭をふる。
 すると、気分が晴れていく。
 タマキはその姿を愉快そうに見ている。
「ああ、抵抗しましたか、さすが、HO1さん」
 笑うタマキは、再び白い何かを口につける。
 何かを拭くような動作をするが、HO1にはなんの音も聞こえない。
 この時点で、描写は「遠山がいる場所」に移る。
 シナリオは外でHO2と遠山が待機していることを想定しているが、HO2が一緒に教会に入る場合もあるだろう。その時は適宜描写を調整してほしい。
 なお、遠山が教会に入ってくることはない。タマキはそれを命じないからだ。

呪いのホイッスルに抵抗した・遠山豹変イベント

 HO2は遠山に話しかけるかもしれない。彼の様子は相変わらずだ。のらりくらりとしているようにも、疲れ果てているようにも見える。
 (HO2と遠山の会話シーンは設けてもいいし、もうけなくてもいい。KPの好みで)
 と、遠山の視点が教会に向く。
 そして、ビクンと肩を震わせると、HO2が止める暇もなく、教会の扉を蹴り開ける。

 ここでHO1とHO2の視点は合流する。
 教会の扉を蹴り上げた遠山は、そのままHO1に向い、歩いてくる。
 その様子は、明らかに正気ではない。そして、明らかに害意がある。
 これより、遠山との戦闘が開始する。KPは教会MAPを開示してほしい。

【戦闘ギミック】
・MAPで同じ黒枠に入っている探索者のみ「タッチの距離」
・隣の枠には飛び道具が必要。
・タマキは「1」のエリア
・遠山は「3」エリア
・エリアの移動には一ターン必要とする。DEX*5に成功した場合、同じターンで攻撃可能。

KP向け補足
 遠山のターゲットは基本的にHO1だが、攻撃さればHO2を含めたランダム。
 彼は「呪いのホイッスル」の効果でおかしくなっているわけではない。呪いのホイッスルの音は聞こえているが。
 その音を聞くと、いつもタマキに虐待を受けていた。その状態で、「タマキ以外のものを攻撃しろ」と躾けられた。条件反射による発狂。神話要素のある犬笛。心理学・精神分析で「ひどく怯えている」と分かる。基本的にノックアウトするまで止まらない。死亡したとしても、彼は穏やかだろう。

呪いのホイッスルの抵抗に失敗した

描写例

 あなたの目には、真っ暗な闇が見える。そして何も聞こえない。
 今までたっていたはずの教会はない。
 そして、その闇の中、ぽっかりと浮かび上がる化け物が見える。黒っぽい粘膜で覆われ、テロテロと光る、ゼリー状の化け物だ。
 化け物はHO2を襲っているように見える。
【化け物を見たことへの正気度喪失:0/1d4】

 周囲の音は聞こえない。
 ただ、アレを止めなければと思う。

魂の歌の効果(基本P271)
 詳細は著作権の観点から省略する。ここで重要なものは、呪いのホイッスルによってこちらの呪文をかけられた人間は、術者の望むもの抱けを見て、聞くこと。今回の場合はタマキの望む光景が見えて、すべての音はHO1への「攻撃する」「倒す」といった意図を持つものに聞こえる。HO2のことは化け物に見える。ありもしない誰か・あるいはHO2を襲う化け物に。
 遠山はなにか靄のようなものに見える。
 ここからは戦闘を想定しているが、HO1が「化け物みたらガクガク震えてお家帰ります」というタイプだとPLが宣言するなら、KPは戦闘を省略してもいい。魂の歌の効果にオリジナル要素をつけて、強制的に襲わせてもいい。

 教会を出たHO1は、HO2に襲い掛かる。
 HO2がどんな声をかけても、まったく伝わっていないようだ。
 その様子に、HO2はショックを受けるだろう。
【あなたは友人が襲ってきたことにショックをうけることだろう。正気度喪失:0/1d3】

【戦闘ギミック】
・MAPで同じ黒枠に入っている探索者のみ「タッチの距離」
・隣の枠には飛び道具が必要。
・タマキは「1」のエリア
・遠山は「3」エリア
・エリアの移動には一ターン必要とする。DEX*5に成功した場合、同じターンで攻撃可能。

KP向け補足
 これで操られた場合、HO1はHO2を襲いに行く。
 その場合、タマキは教会の主祭壇に書いてある「門の創造」(使用にはタマキのみが知る身振り・手振りが必要)を使い、国内のどこかに逃げる。行き先のことを、遠山は知らない。
 HO2を襲うHO1は、ノックアウトの対象にはなる。KP任意のターンで我に返ってもいいだろう。HO2には頑張ってほしい。タマキの目がなくなった時点で、遠山はHO2を守るために戦う。
 もしもHO1がHO2を気絶させる・死亡しかねない攻撃が入る場合、遠山がかばう。ステータス的に高確率で気絶するが、起きていれば2撃目もかばう。
 彼にマトモな思考能力は遺されていない。しかし、HO1がHO2を傷つけるのも、HO2が死亡するのも嫌なのだ。二人が彼にどんな接し方をしても、それは変わらない。  この時の彼の行動は「タマキにこれ以上罪を重ねてほしくない」という、昔の信念なのだから。

 戦闘開始から1ターン後、タマキは「門の創造」を使い、国内のどこかに逃亡する。(逃亡を目撃した際には「目の前で人が消えたことにより、不気味さを感じることだろう。【正気度喪失:1/1d3】だ)

 これを止める方法は、「1ターン目でのタマキの殺害」か「1ターン目の主祭壇の破壊」のいずれか。主祭壇を倒しただけではタマキは逃亡する。
 とはいえ、戦闘は探索差がマップのエリア3・エリア2のどちらかにいる時点&タマキはエリア1でスタートを想定している。なにかの飛び道具を所有していない場合、こちらのルートは厳しいだろう。PLには「続編かきあげられたらリベンジチャンスあるから…」と伝えてほしい。

タマキの逃亡・描写例

 主祭壇に手をついたタマキは、赤い布をはぎ取る。
 そこには不気味に輝く魔法陣が描かれていた。タマキの口から、2、3意味不明な文言が聞こえる。
 その瞬間、タマキの姿が掻き消える。まるで、魔法陣にすいこまれたかのように。
【正気度喪失:1/1d3】
(探索者・遠山が触ってもただの絵にすぎない。門の活性化にはタマキのみが知る呪文が必要だ)

 なお、一度ノックアウト・精神分析が成功すれば、HO1は我に返る。HO1が強すぎるなどの理由KPが望むか、PLからの提案があるなら、他の条件で元に戻ってもいい。一発殴るとか。
 我に返ったHO1は【あなたは自分の視界が不可解に操られたことに衝撃を受ける。正気度喪失:0/1d4】が入る。

戦闘終了後の流れ

 遠山が襲ってきた場合、ノックアウトで落ち着きを取り戻す。だが、マトモなコミュニケーションをとることは難しい。彼は心身ともに衰弱している。マトモな話をしたいなら、年単位の精神病院への入院・適切な投薬が必要だ。

描写例

「デートも、この戦いも、すべてタマキ様の悪ふざけ。私が残されたのは、説明をしろということでしょう」
「タマキ様が何者か。そう問われれば、私は答えられない。分からないのです」
「ですが、一つの答えとして。こちらをご覧ください」
 彼が差し出すのは、40〜50と思わしき女性が映った写真だ。
 とても美人で、タマキと似た面影を感じる。
「それがタマキ様の本来の姿です。今回の姿は、HO1様をからかうために作ったもの」

 あなた方はこの話を信じてもいいし、信じなくてもいい。
 ただ、あなたがたは「人がまるで違う姿になる」ことを信じるならば、正気をゆるがされることだろう。【正気度喪失:0/1d3】
 あなたが出会い、交流をはぐくんだ人間の真実に驚くのならば追加でショックを受けるだろう。【正気度喪失:0/1】

「あの方はいつもそうです。適当に目を付けた人間をもてあそび、破滅させる。
 HO1様とHO2様が戦う様子が見たかったのでしょう。(失敗で:「失敗しましたが」と添える)」
「理由などありません。ないと言っていました。あの方は、そのような方なのです」

「あの方が今どこにいるかはわかりません。私は聞いていません」
「ただ、私はその代理。もしもあなた方に憤りがあるのなら、私が代わりに受けましょう」
「死を望むなら、それでよいでしょう」
「なんなりと、お好きなように。私はそのためのもの」
「あの方の、タマキ様のモノです」

KP向け補足
 遠山は自分の応えられる範疇ならば何でも答える。ただし「自分の考え」を聞くのであれば答えは曖昧だ。彼には自分の意志など、ほとんど残っていないのだから。見捨てられた、捨て駒と言われても肯定する。彼は自分を「モノだと思い込まされている」長期の暴力で気力・体力共にギリギリの病人だ。タマキの家につれていけというのであれば、連れていく。タマキの自宅

 あるいは、体を見せるかもしれない。その時の描写は以下の通り。
【遠山の傷】
 遠山は背中を見せる。そこにあるのはおびただしい傷だ。
 すぐに血がしたたるような生々しいものはない。ただ、長年付け続けられた傷であることは医学の知識がないものでも予想がつく。
 遠山の動きがぎこちなかった理由も、これなのだろう。痛みはなくとも、既に神経の一部がマヒしている。

 まず目立つのは肩の下あたりにあるやけどと思わしき傷痕。
 その周囲にあるのは、なにかの刃物で切り付けられたような跡。
 背中全体に走るのは、なにか、見たこともないようなミミズ腫れだ。
 なによりもおぞましいのは、それがすべて「服で隠れる位置」にほどこされているということだ。
 傷の深さも、位置も。彼をなぶるためだけに誰かがひそかにつけたものだと、はっきりとそうわかる。

 おぞましい拷問のあとは、あなたの背筋を冷やすだろう。【正気度喪失:1/1d3】
(凶器はアイロン・大型のハサミ・ムチ。その他も色々あったけれど、残っているのはこのあたり)

 この後は遠山を放置してもいいし、病院や自宅に連れて行ってもいいし、殺してもいい。遠山に住所を聞けば、タマキの自宅に行くことも可能だ。
 詳しくは、下記のED分岐にて説明する。
 ED分岐


帰宅する

描写例

 あなた方は二人、帰路につく。
 あんな不気味な、あるいは不愉快な子供に付き合っているのが嫌になったのかもしれない。
 ただ単に用事があったのかもしれないし、他の理由かもしれない。

 ただ、HO1のみは聞く。
 タマキ達に背を向けて、数分後。ピィ、というホイッスルのような音を。
【HO1は18とのMP対抗をお願いします】
【HO2がHO1の傍にいる場合、POW*3の判定をお願いします】
 HO2はPOW*3に成功すれば同じ音が聞こえます。

・抵抗に成功した
 →このまま何事もなく帰宅する
・抵抗に失敗した
 HO1の目の前に、暗闇だけが広がる。今まで見えた光景はなにもない。
 ただ、耳だけは正常だ。
 暗闇の中には、棒のようなものが歩いている。察するに「棒」歩いていた人間だ。
 HO2が声をかけるなら、同じように聞こえるだろう。その姿は棒きれのようではあるが。
 正常な視界を喪ったことに対するショックで、HO1の背中は冷たくなる。
【HO1は自分の視界が不可解に操られたことに衝撃を受ける。正気度喪失:0/1d4】
(HO2の声で誘導・手を引くなどがなければ通行人にぶつかる)

 その視界で歩いているうちに、HO1の視界に唯一人の影が見える。
 その人間は、いかめしい顔でスーツを着ている。遠山だ。
「HO1様。お話があります。その目のことです。どうぞ、ついてきてはくれませんか」
 大きな体躯を折って深く頭を下げる彼に、周囲の注目が集まることが、HO2には見える。

KP向け補足
 ここでついていかなかったとしても、この30分間後、呪文の効果は消える。タマキはHO1が困ればそれでいい。困り続けてもいいと言えばいい。
 けれど、健全な視界で自分を探しに来てくれる方が、好みだからである。

遠山についていった

 遠山についていけば、港のわきの路地、人気のないところで立ち止まる。
「HO1様の状態は、タマキ様の悪ふざけ。もうすぐ戻るはずです」
 確かに言葉通り、視界が元通りになる。
 遠山は話を続ける。
「タマキ様が何者か。そう問われれば、私は答えられない。分からないのです」
「ですが、一つの答えとして。こちらをご覧ください」
 彼が差し出すのは、40〜50と思わしき女性が映った写真だ。
 とても美人で、タマキと似た面影を感じる。
「それがタマキ様の本来の姿です。今回の姿は、HO1様をからかうために作ったもの」

 あなた方はこの話を信じてもいいし、信じなくてもいい。
 ただ、あなたがたは「人がまるで違う姿になる」ことを信じるならば、正気をゆるがされることだろう。【正気度喪失:0/1d3】
 あなたが出会い、交流をはぐくんだ人間の真実に驚くのならば追加でショックを受けるだろう。【正気度喪失:0/1】

「あの方はいつもそうです。適当に目を付けた人間をもてあそび、破滅させる。
 今回、もしあの時ついていったのであれば、HO1様はその術の効果で視界を奪われ、HO2様との殺し合いを演じる羽目になった。その予定でした」
「今回は断られたので、その視界は嫌がらせでしょうね」

「あの方が今どこにいるかはわかりません。私は聞いていません」
「ただ、私はその代理。もしもあなた方に憤りがあるのなら、私が代わりに受けましょう」
「死を望むなら、それでよいでしょう」
「なんなりと、お好きなように。私はそのためのもの」
「あの方の、タマキ様のモノです」

KP向け補足
 遠山は自分の応えられる範疇ならば何でも答える。ただし「自分の考え」を聞くのであれば答えは曖昧だ。彼には自分の意志など、ほとんど残っていないのだから。見捨てられた、捨て駒と言われても肯定する。彼は自分を「モノだと思い込まされている」長期の暴力で気力・体力共にギリギリの病人だ。タマキの家に連れて行けというなら、連れていく。タマキの自宅
 あるいは、体を見せるかもしれない。その時の描写は以下の通り。
【遠山の傷】
 遠山は背中を見せる。そこにあるのはおびただしい傷だ。
 すぐに血がしたたるような生々しいものはない。ただ、長年付け続けられた傷であることは医学の知識がないものでも予想がつく。
 遠山の動きがぎこちなかった理由も、これなのだろう。痛みはなくとも、既に神経の一部がマヒしている。

 まず目立つのは肩の下あたりにあるやけどと思わしき傷痕。
 その周囲にあるのは、なにかの刃物で切り付けられたような跡。
 背中全体に走るのは、なにか、見たこともないようなミミズ腫れだ。
 なによりもおぞましいのは、それがすべて「服で隠れる位置」にほどこされているということだ。
 傷の深さも、位置も。彼をなぶるためだけに誰かがひそかにつけたものだと、はっきりとそうわかる。

 おぞましい拷問のあとは、あなたの背筋を冷やすだろう。【正気度喪失:1/1d3】
(凶器はアイロン・大型のハサミ・ムチ。その他も色々あったけれど、残っているのはこのあたり)

 この後は遠山を放置してもいいし、病院や自宅に連れて行ってもいいし、殺してもいい。遠山に住所を聞けば、タマキの自宅に行くことも可能だ。
 詳しくは、下記のED分岐にて説明する。
 ED分岐

タマキの自宅

【タマキ邸宅MAP】
1F:リビング・キッチン・トイレ・2Fへの階段
2F:手前の部屋・中央の部屋・奥の部屋

・1F描写
リビングがあり、キッチンがあり、トイレがあり、押し入れがある。
どれも一般家庭にあるレベルの家具で、キレイに整理されているという印象だ。

キッチンもキレイに片付けられ、皿もキチンとしまわれている。
冷蔵庫を開けるならば、今日食べた弁当に入っていたモノの余りと思わしき塊肉がある。
コンロにあるヤカンにはぬるくなったお湯がわずかに残り、生活感を感じさせた。

ここだけ見ていれば、普通の生活空間だ。
よくよく見て違和感を探すのであれば、食事をしていると思わしきテーブルには椅子が一つしかないが。
使用感のある箸は一膳だが。

・2F描写
部屋は三つある。
一番手前の部屋、中央の部屋、奥の部屋。すべて鍵はかかっていないようだ。

手前の部屋
それは寝室と思わしき部屋だった。
セミダブルのベッドが一つ、書き物をできそうな机が一つ、本棚が一つ。
クローゼットを開けるならば、服がつまっている。

・クローゼット
そこには成人女性が着るにふさわしいデザイン、サイズの服があった。
どれもそこそこに仕立てが良い。デパートで売ってるタイプ。

・本棚
<調べる宣言で開示>
一般的な書籍がつまっているようだ。
一部外国語の本がある。

→外国語の本について
英語のほかにも、見覚えのない文字での背表紙がある。気になるのは3冊だ。
<英語・ギリシア語・フランス語>それぞれ成功で表紙に<ネクロノミコン>と書いてあることがわかる。
(ペーパーバック版「ネクロノミコン」不完全バージョンの集まり)

→研究・理解に一週間・あるいは3時間かけて内容を読み進めるならば
 どれも不完全な写本であることがわかる。
 どれも粗悪品であり、読んだところで有益な情報はない。

 けれども、その冒涜的な知識に触れれば、正気がゆさぶられる。蝕まれる。
 触れてはならぬ知識に、あなたは触れてしまったのだから。
【正気度喪失:0/1d4 神話技能1%プラス】

<図書館・目星・神話技能に成功>
 あなたは本と本の間に、一つの額縁を見つめる。
 その額縁には、あまり見たことのない材質の紙が収められている(羊皮紙)

 それには、日本語でこう書いてあった。
<我らの偉大な 肉を持たぬ神との謁見>
 その下には、外国語で何事か書きつけられている。(フランス語)
 何を書いてあるかはわからない。けれど、ひどくまがまがしい印象を与える紙が、そこには収められている。
(ニャルラトテップの化身:皮膚なきものとの接触の呪文(基本263P)

<読解するのは数分だが、呪文を習得するにはルルブ通りの処理が入る。一度読解してこの羊皮紙を持ち帰るならば、何度でも呪文習得にチャレンジすることはできるだろう>

皮膚なきものとの接触(基本P261)
*ニャルラトテップの化身の一つに接触する。皮をはぎたての死体必要となる呪文。
死体が<皮膚なきもの>により消滅させられるまで、三つ質問することができる。

この羊皮紙を解読するならば冒涜的な呪文に触れたことで神話技能+1
呪文を習得するならばさらに神話技能+2
解読に必要なものはフランス語。(文章量が少ないので即時)呪文収得の時間経過に関してはルルブ準拠。

真ん中の部屋
そこは、殺風景ななにもない部屋だった。
ベッドもない。家具は一切おいていない。絨毯もない。窓にひかれたカーテンだけが、ゆらりとはためいている。
洋服立てが一つだけ立っており、それには男性物のシャツと背広がつるされている。
おそらく遠山の服だろう。

このなにもない部屋に、落ちているのは一つだけ。
ところどころが黒く汚れた、薄い毛布だ。
(KP向け:遠山の寝室だ。毛布の汚れは血液)

奥の部屋
そこは物置のような場所だった。
段ボールが大量に置かれ、中を見るのであればナイフや毛布がある。真新しいものだ。
段ボールの奥には、鍵のついた細長いカバンや、かぎのついた奥行きのあるカバンがある。(あければ銃器が詰まっている)
わけの分からぬ薬品もあるし、壁にはムチがたてかけられていた。

この光景は、ここに住む人間が犯罪行為をしている十分な証拠になるだろう。

ED分岐

タマキの自宅に行く

 いくつかの神話的なアイテムを発見することができる。楽しい。
 タマキの行き先の手がかりはない。なにしろタマキは直前まで逃亡する予定もなかったのだから。

 以下、遠山の処遇について追記する。
 どのルートに言っても報酬は変わらない。これに当てはまらないパターンもあるだろうから、PLの望むようにしてほしい。

遠山を放置する

 探索者が彼になにかリアクションを起こさないなら、彼はタマキの自宅へと戻る。その1週間後、タマキが迎えに来る。
 彼からタマキに連絡を取ることはない。その手段を有していないからだ。
 タマキが再び探索者たちにちょっかいを出すことはない。平和に終わることができる。

遠山を病院につれていく・警察につれていく

 遠山を病院に連れていくなら、彼が「長期の暴力により、思考・判断能力共に弱っていること」「栄養状態も悪く、衰弱していること」が分かる。
 入院を勧められるし、遠山にも入院できるだけの金はある。ちゃんと保険証もある。
 ただ、その病院が通常の病院である場合は、6か月ほど後に「遠山の養父」に化けたタマキがやってくる。
 もしかしたら病院が面会謝絶にしてくれるかもしれないが。養父の姿を見た遠山は、自力で病院を抜け出てしまう。
 彼はタマキについていく。
 たとえ探索者たちと心を通わせていたとしても。

 警察につれていった場合も似たことが発生する。探索者たちへの傷害で拘束されるが、養父に化けて面会に訪れ、門の創造を持ってしのびこみ、拉致する。POWを削っても取り戻したい程度に執着があるのが不幸か、幸いか。それはPLの判断に任せる。

 これを防ぐためには「関係性に関わらず絶対に部外者が立ち入れない環境」に遠山を置く必要がある。
 探索者が無理を通せる程度の仲の病院・治療施設だ。国外でもいい。パスポートもある。タマキの趣味が諸国漫遊だったためだ。

遠山を自宅につれていく

 遠山を自宅につれていき、共に生活することを選ぶなら、拒否はされない。床で寝ようとしたりシャワーを水ですませたり食事に手を付けない様子を観測することができる。
 そして2週間後、失踪される。タマキが探索者たちの家の周りを「遠山の養父の姿」でうろつくためだ。
 遠山を窓のない場所に閉じ込め、手足を拘束するならば、このイベントを防ぐことができる。
 自宅に彼をつれていく探索者が、そういった手段を選びづらい気はするが。

遠山と仲良くなりたいく

「あんなくそ女にもてあそばれるくらいなら!自分が調教してやらぁ!」という剛の者がいた場合、KP判断で「人を調教するのに必要と感じる技能」で判定させてほしい。
 成功した場合、遠山はその探索者に従者としての親愛を注ぐ。お手軽に幸せになれる。病んだ心を直すのではなく、タマキの代わりになるだけなので、人によってはバッドエンドに見えるだろうが。
 遠山と人として「友達になりたい」「恋人になりたい」というのは、長い時間が必要になる。
 彼の衰弱しきった心が医療行為によって癒え、探索者がそれを支え続けたのであれば、友愛を返す可能性も、愛を返す可能性もある。シナリオ中の時間軸では無理。彼はそういう生き物である。

遠山を殺害する

 遠山は一切抵抗しない。少し安らかな顔をする。もしかしたら「ありがとうございます」とでも呟くかもしれない。
 ただ死体は残る。探索者は死体の処理を頑張ってほしい。KPは適切な技能をふらせ、逮捕エンドを回避してほしい。
 戦闘で遠山を殺害してしまった場合も同様だ。彼はタマキに人として扱われていないが。世間的にはきちんと戸籍がある。頑張って隠蔽してほしい。
 遠山が死亡した場合は【殺人に対する正気度喪失:1/1d4+1】が発生する。

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共有メモ

事前調査情報

【続松医科工業(ついまつ いりょうこうぎょう)】
遠山の名刺にある名前。
取り扱いは医療器具。手術・検査に使うような機械を製造・メンテナンスしている、それなりに大手の会社。
その機密などを守るための警護部門は確かに存在しているようだ。
本社はO府。探索者たちが住む町には支社がある。
現取締役会長は「大野竹・直正(おのたけ・なおまさ)」

【続松医科工業に遠山は在籍しているか確認する】

交渉技能に成功したのであれば、対応してくれた女性が教えてくれる。
「問い合わせたところ、確かに弊社におります」
「遠山が、いかがなさいましたか?」

「警備部門に所属していますが、とある関係者の護衛をしています」

KP向け補足
遠山の名刺に偽りはない。だが、タマキの夫の死後は解雇されている。以後、本格的にタマキのペット。
ただ、彼の名刺にある会社に問い合わせても「その社員は当社におります」「警備部門に所属していますが、とある関係者の護衛をしています」と答えられる。元役員夫人ことタマキ及び彼のことは人事で「かかわるな」とかん口令が引かれているので。詳しいことを聞こうとしても、個人情報保護の壁がある。
ちなみにこの受付の人は確認して指示されたことを言っているだけなので特に何も知らない。

【遊園地<うみのゆうえんち>・MAP】
・ジェットコースター(CON*3)
・ゴーカート(運転)
・バイキング(CON*4)
・水上探検(CON*3)
・お化け屋敷(任意)
・コーヒーカップ(CON*5)
・観覧車

 探索者たちが住む町から電車で30分ほどの距離にある小さな遊園地。別に有名ということもない、地元民に愛されているようなタイプ。
 名前のわりに海に面していないのが笑いどころ。名物はうずしおに巻き込まれているという設定で海っぽい場所をくるくるする「水上体験」。めっちゃ酔いやすい。
 *1か所回るために1時間。それなりにこみ合った遊園地だ。

遊園地関係描写

【お弁当の内容】
・おにぎり:ノリで全体を覆われたおにぎり。不格好なのはご愛敬かもしれない。
・卵焼き:少し焦げた卵焼き。
・ウィンナー:こんがりと焼けている。少しこげすぎなほどだ。
・アスパラガスのベーコン巻き:かわいらしいピックが刺さっている。あまり色鮮やかではないが。
・ポテトサラダ:きゅうりとコーンが入っているタイプ。食べると少し塩辛い。
・角煮:とてもキレイ。トロトロでツヤツヤだ。

<おにぎりの内容:イチゴ・餡子&生クリーム・ミカン・豚肉・梅干し>
<コピペ用:choice[イチゴ,餡子&生クリーム,ミカン,豚肉,梅干し]>

劇団関係描写

【劇団四季折々・美女と野獣(ディズニー版に近い)】
美しく傲慢な王子は「見た目で人を判断したこと」により魔法使いの怒りを買い呪いを受ける。
恐ろしい屋裕の姿になる呪いを。同時に、使用人は喋る家具になる呪いを受けた。
呪いは『真実の愛』を見つければとけるのだと、魔法使いは言い残した。

時がたち、彼の屋敷にとある父親が迷い込む。
野獣は勝手に入り込んだ彼に激怒し、彼を牢につなぐ。

彼には娘がいた。村一番の美貌をほこるが、読書と空想が好きな性分を周囲に理解されない美しい娘・ベルが。
ベルは父を探しにきた。そして、牢につながれた父の代わりになるといった。

真実の愛を探す野獣と使用人は、ベルの提案を飲んだ。
最初はわがままにふるまう野獣は、次第にベルの利発さ、はつらつさにひかれて彼女に寄りそっていく。
彼女の愛する勉学を助け、丁寧に接し、鏡を使って彼女の愛する父の姿を見せた。

だが、鏡の中の乳は娘を案ずるあまり森をさまよっていた。
その姿をみたベルは、村へと戻っていく。
野獣はベルをおもいやり、それを見送った。

さて。
村には、ベルに言い寄る青年がいた。
青年は美しく力強い、村一番の人気者だった。
ただし、ベルの空想を全否定し、女が学問をすることを馬鹿にする傲慢な青年であり、ベルには嫌われていた。

村に帰ってきたベルが野獣と心かよわせたことを知った青年は、嫉妬に駆られ村人をたきつける。

恐ろしい野獣を駆除しなけれなければ自分たちは死ぬのだと。
野獣はそんなことをしないと訴えるベルを無視して閉じ込め、野獣のもとへと旅立った。


閉じ込められたベルは、使用人の助けにより野獣の元へと帰る。
その時、青年は野獣を追い詰めていた。
ベルを失い失意にくれた野獣は、そのまま死を受け入れるつもりだった。

だが、そこにベルが現れた。
野獣は生きる気力を取り戻し、青年を殺そうと追い詰める。
しかし、ベルとの日々に人間味を取り戻した野獣は、命乞いをする青年を殺すことはできなかった。
それがあだとなった。
青年は野獣をさし、崖へと落ちていき果てた。
野獣もまた崖の下へと落ちるところだったが、ベルにより引き上げられる。だが、青年による刺し傷は致命傷だった。

ベルへの愛を告げ死亡した野獣の亡骸に、ベルは自分も愛していたと告げる。
こうして、二人は真実の愛をしり、野獣は生き返る。

呪いから解放され、人に戻り、同じく人へと戻った使用人たち、ベルの父とともに、ベルと野獣はハッピーエンドを迎えた。

【美女と野獣・原作】
 元はフランスの異類婚姻譚。
 1740年にガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ(ヴィルヌーヴ夫人)によって最初に描かれた。
 現在広く知られているのはそれを短縮して1756年に出版された、ジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン(ボーモン夫人)。
 ディズニー版に近いのは、ボーモン夫人のものだ。
 ディズニー版が「愛とロマンの物語」ならばポーマン夫人は「善人は幸せをつかみ悪人には報いがある物語」である。

 ポーマン版のベルは6兄妹で、3人の兄と2人の姉がいる。父が商人であることも、ディズニーバントの違いだ。
 とある日、港町に出かける父に姉たちは豪華なみやげをねだる。一方、ベルが頼んだのはバラだけだ。
 父は無一文になりながら、とある屋敷に迷い込む。そこでは体を温める料理があり、疲れた父はつい食べてしまう。そしてベルとの約束を思い出し、庭園のバラをつみとってしまう。
 そこに現れた野獣は、父を罵る。「もてなしてやったのにバラを摘むとは何事だ」と。
 娘のためだと弁解する父に、野獣は提案をした。
 「娘のひとりがここへきて死ぬならば許す。もし、ひとりもこないなら、3か月後にお前が戻ってきて死ね」
 かくしてベルは父の身代わりとしておもむき、野獣に求婚される。
 突然の求婚を断ったベルに、野獣は豪華な暮らしと、大きな鏡を与えた。父親が無事に暮らしている様子が見れる鏡だ。
 毎晩訪れてくる善良な野獣と心を通わせ始めたベルだが、鏡に父が病に倒れた姿が映し出される。
 父のみを案じたベルは、一度家に帰りたいと願い出る。野獣は「一週間で戻る」と約束した彼女を送り出す。

 帰宅したベルは、家族との再会を喜ぶ。姉たちはベルから野獣との暮らしを聞き、嫉妬した。
 約束の期限がすぎ、10日目の夜。ベルは野獣が死にかかった夢を見、屋敷に戻った。

 瀕死の野獣はベルに言う。「これで幸せに死ぬことができる」
 ベルはいいえと否定する。「あなたはわたしの夫となるのです」

 愛の言葉を受けた野獣は、ディズニー版同様人に戻る。
 ディズニー版との違いは王子が呪いを受けた理由が「傲慢さ」ではなく「幼女の意地悪」だ。
 最後に妖女が再登場し、意地悪な二人の姉を石に変えるくだりが追加されている。

 なお、最も最初に生まれたヴィルヌーヴ版は、ポーマン版のハッピーエンドの後に「ベルが身分などを理由に王子との結婚を反対される」といったエピソードがあった。
 その後、右京曲折の末、彼女もまた高貴な生まれが発覚したり、それゆえに苦労を重ねたり、様々な苦難がある。
 愛やロマンというよりは波乱万丈なファンタジーなのである。
 参照
 https://ja.wikipedia.org/wiki/美女と野獣
 https://bibi-star.jp/posts/1584

教会MAP

終盤の遠山関係描写

<遠山の傷の描写>
そこにあるのはおびただしい傷だ。
すぐに血がしたたるような生々しいものはない。ただ、長年付け続けられた傷であることは医学の知識がないものでも予想がつく。

まず目立つのは肩の下あたりにあるやけどと思わしき傷痕。
その周囲にあるのは、なにかの刃物で切り付けられたような跡。
背中全体に走るのは、なにか、見たこともないようなミミズ腫れだ
なによりもおぞましいのは、それがすべて「服で隠れる位置」にあるとということだ。
傷の深さも、位置も。彼をなぶるためだけに誰かがひそかにつけたものだと、はっきりとそうわかる。

おぞましい拷問のあとは、あなたの背筋を冷やすだろう。
【正気度喪失:1/1d3】

*主な傷はムチ。たまにナイフ。熱したフライパンなど。治療が施された気配はあまりない。
 犯人はほぼタマキ。一個くらいはタマキの父かもしれないが。

教会関係描写

【教会描写】
 誰もいない教会は、埃っぽかった。
 誓いの言葉をとげる祭壇や祭壇にかけられた布、参列者のための椅子は残っている。
 あとは電気もなく、まっくらだ。
 天井がステンドグラスになっているため、ほのかな月明かりがあたりを照らしていた。

 誓いの言葉を言い終えたタマキは、てくてくと祭壇の方へと歩いていく。
 そうしてくるりと振り向き、にこりとほほ笑む。
 そのまま何かを言うでもなく、胸元に手をつっこむ。白いホイッスルを取り出し、思い切りふく。

 HO1の耳に、ぴぃ、という音が届く。かすかな、ひどく胸を乱される音色だ。
<HO1は12とのMP対抗をお願いします>
<HO2は教会内・教会外に関わらずPOW*3の判定をお願いします>
 HO2はPOW*3に成功すれば同じ音が聞こえます。

【HO1がMP対抗に負けた場合の描写】
 あなたの目には、真っ暗な闇が見える。そして何も聞こえない。
 今までたっていたはずの教会はない。
 そして、その闇の中、ぽっかりと浮かび上がる化け物が見える。黒っぽい粘膜で覆われ、テロテロと光る、ゼリー状の化け物だ。
 化け物はHO2を襲っているように見える。
【化け物を見たことへの正気度喪失:0/1d4】
 周囲の音は聞こえない。
 ただ、アレを止めなければと思う。

魂の歌の効果(基本P271)
 詳細は著作権の観点から省略する。ここで重要なものは、呪いのホイッスルによってこちらの呪文をかけられた人間は、術者の望むもの抱けを見て、聞くこと。今回の場合はタマキの望む光景が見えて、すべての音はHO1への「攻撃する」「倒す」といった意図を持つものに聞こえる。HO2のことは化け物に見える。ありもしない誰か・あるいはHO2を襲う化け物に。

 教会を出たHO1は、HO2に襲い掛かる。
 HO2がどんな声をかけても、まったく伝わっていないようだ。
 その様子に、HO2はショックを受けるだろう。
【あなたは友人が襲ってきたことにショックをうけることだろう。正気度喪失:0/1d3】

【戦闘ギミック】
・MAPで同じ黒枠に入っている探索者のみ「タッチの距離」
・隣の枠には飛び道具が必要。
・タマキは「1」のエリア
・遠山は「3」エリア
・エリアの移動には一ターン必要とする。DEX*5に成功した場合、同じターンで攻撃可能。

教会についていかなかった描写

HO1の耳に、ぴぃ、という音が届く。かすかな、ひどく胸をみだされる音色だ。
【HO1は12とのMP対抗をお願いします】
【HO2がHO1の傍にいる場合、POW*3の判定をお願いします】
 HO2はPOW*3に成功すれば同じ音が聞こえます。

【HO1がMP18とのMP対抗に負けた場合の描写】
 HO1の目の前に、暗闇だけが広がる。今まで見えた光景はなにもない。
 ただ、耳だけは正常だ。
 暗闇の中には、棒のようなものが歩いている。察するに「棒」歩いていた人間だ。
 HO2が声をかけるなら、同じように聞こえるだろう。その姿は棒きれのようではあるが。
 正常な視界を喪ったことに対するショックで、HO1の背中は冷たくなる。
【正気度喪失:0/1d4】

タマキ邸宅描写

【タマキ邸宅MAP】
1F:リビング・キッチン・トイレ・2Fへの階段
2F:手前の部屋・中央の部屋・奥の部屋

・1F描写
リビングがあり、キッチンがあり、トイレがあり、押し入れがある。
どれも一般家庭にあるレベルの家具で、キレイに整理されているという印象だ。

キッチンもキレイに片付けられ、皿もキチンとしまわれている。
冷蔵庫を開けるならば、今日食べた弁当に入っていたモノの余りと思わしき塊肉がある。
コンロにあるヤカンにはぬるくなったお湯がわずかに残り、生活感を感じさせた。

ここだけ見ていれば、普通の生活空間だ。
よくよく見て違和感を探すのであれば、食事をしていると思わしきテーブルには椅子が一つしかないが。
使用感のある箸は一膳だが。

・2F描写
部屋は三つある。
一番手前の部屋、中央の部屋、奥の部屋。すべて鍵はかかっていないようだ。

手前の部屋
それは寝室と思わしき部屋だった。
セミダブルのベッドが一つ、書き物をできそうな机が一つ、本棚が一つ。
クローゼットを開けるならば、服がつまっている。

・クローゼット
そこには成人女性が着るにふさわしいデザイン、サイズの服があった。
どれもそこそこに仕立てが良い。デパートで売ってるタイプ。

・本棚
<調べる宣言で開示>
一般的な書籍がつまっているようだ。
一部外国語の本がある。

→外国語の本について
英語のほかにも、見覚えのない文字での背表紙がある。気になるのは3冊だ。
<英語・ギリシア語・フランス語>それぞれ成功で表紙に<ネクロノミコン>と書いてあることがわかる。
(ペーパーバック版「ネクロノミコン」不完全バージョンの集まり)

→研究・理解に一週間・あるいは3時間かけて内容を読み進めるならば
 どれも不完全な写本であることがわかる。
 どれも粗悪品であり、読んだところで有益な情報はない。

 けれども、その冒涜的な知識に触れれば、正気がゆさぶられる。蝕まれる。
 触れてはならぬ知識に、あなたは触れてしまったのだから。
【正気度喪失:0/1d4 神話技能1%プラス】

<図書館・目星・神話技能に成功>
 あなたは本と本の間に、一つの額縁を見つめる。
 その額縁には、あまり見たことのない材質の紙が収められている(羊皮紙)

 それには、日本語でこう書いてあった。
<我らの偉大な 肉を持たぬ神との謁見>
 その下には、外国語で何事か書きつけられている。(フランス語)
 何を書いてあるかはわからない。けれど、ひどくまがまがしい印象を与える紙が、そこには収められている。
(ニャルラトテップの化身:皮膚なきものとの接触の呪文(基本263P)

<読解するのは数分だが、呪文を習得するにはルルブ通りの処理が入る。一度読解してこの羊皮紙を持ち帰るならば、何度でも呪文習得にチャレンジすることはできるだろう>

皮膚なきものとの接触(基本P261)
*ニャルラトテップの化身の一つに接触する。皮をはぎたての死体必要となる呪文。
死体が<皮膚なきもの>により消滅させられるまで、三つ質問することができる。

この羊皮紙を解読するならば冒涜的な呪文に触れたことで神話技能+1
呪文を習得するならばさらに神話技能+2
解読に必要なものはフランス語。(文章量が少ないので即時)呪文収得の時間経過に関してはルルブ準拠。

真ん中の部屋
そこは、殺風景ななにもない部屋だった。
ベッドもない。家具は一切おいていない。絨毯もない。窓にひかれたカーテンだけが、ゆらりとはためいている。
洋服立てが一つだけ立っており、それには男性物のシャツと背広がつるされている。
おそらく遠山の服だろう。

このなにもない部屋に、落ちているのは一つだけ。
ところどころが黒く汚れた、薄い毛布だ。
(KP向け:遠山の寝室だ。毛布の汚れは血液)

奥の部屋
そこは物置のような場所だった。
段ボールが大量に置かれ、中を見るのであればナイフや毛布がある。真新しいものだ。
段ボールの奥には、鍵のついた細長いカバンや、かぎのついた奥行きのあるカバンがある。(あければ銃器が詰まっている)
わけの分からぬ薬品もあるし、壁にはムチがたてかけられていた。

この光景は、ここに住む人間が犯罪行為をしている十分な証拠になるだろう。

NPCに触れる技能一覧

タマキにふれる技能
<常時>
・服装に目星・値切り・変装など:地味だが仕立ての良い、金のかかった一品だと分かる
・心理学:成功・失敗でも「とても楽しそうだと分かる」クリティカルにより「なぜここまで楽しそうなのか違和感を感じる」
・EDU*5など礼儀作法に関係する技能:タマキの所作がとても洗練されている。10代の子供にしては不自然なほどに。
・タマキに対して神話技能:なにか強烈に嫌な予感がする
・首元のネックレスが見えた場合<目星>;白いホイッスルのようにみえる
・ネックレスに<博物学>などKPが適切と判断する技能:フクロウの骨ではないかと思う
・ネックレスに<神話技能>:人の意識を操作する類のタチの悪い呪具ではないかという予感がする
・彼女が遠山をどう思っているかなどの心理学:彼のことをなにも疑っていないと分かる

<遊園地>
・心理学:成功・失敗でも「とても楽しそうだと分かる」クリティカルにより「なぜここまで楽しそうなのか違和感を感じる」
・弁当を食べているときに心理学:成功で(探索者がどれだけ苦悶の表情を浮かべていたとしても)とても楽しそうだとわかる。失敗で「申し訳なさそうだと感じる」
・遠山の様子がおかしいと言われた時に心理学:成功・失敗ともに「あまり気にしていない。「彼はいつもこのような様子」と思っているのではないだろうか。と感じる」
・親について聞かれた時に心理学:成功・失敗ともに「親に関心がなさそうだと感じる」

<劇場四季折々>
・劇を見ている最中に心理学:成功・失敗でも「とても楽しそうだと分かる」クリティカルにより「なぜここまで楽しそうなのか違和感を感じる」
・劇中、美女と野獣の原作を話し出した時に心理学:成功で「この上なく楽しそうだ(探索者が嫌悪・怒りなどを示したとしても変わらない)」失敗で「なにか思うところがあるようだ:
・観戦態度が不愉快だととがめられた時に心理学:成功で「表情はおびえているが「この上なく楽しそうだ」と分かる」失敗で「申し訳なさそうな顔を作っているように見える」

<教会で結婚式ごっこを行う場合>
・誓いの言葉に嘘があるか<心理学>:成功で「HO1に恋心を抱いているように見える」失敗で「楽しそうに見える」


遠山にふれる技能
<常時>
・服装に<目星・値切り・変装>など:地味だが仕立ての良い、金のかかった一品だと分かる
・彼に<心理学>:ひどく疲れているように思える
・彼に<目星>:肩を中心に上半身をかばうかのような歩き方をしているように見える
<目星>成功後に<医学>など適切な技能:今現在怪我をしているというよりは、怪我の後遺症で怪我の場所をかばう歩き方が癖になっている、とお言う印象を受ける
・彼に<医学>:あまり健康そうに見えない。過労気味であるように思える
・彼に<精神分析>が成功:精神が弱っているような印象を受ける。
・タマキのことをどう思っているか<心理学>:成功・失敗共に「深い感情を向けているように思える」クリティカルで「わずかに怯えを感じる」

<遊園地>
・弁当を食べている時に<心理学>:成功・失敗共に「特に何も感じていないようだ」
・疲れているかなどと気遣われた時に<心理学>:成功・失敗共に「特に何も感じていないようだ」
・休んだ方がいいなどと提案された時に<心理学>:成功・失敗共に「特に何も感じていないようだ」クリティカルで「不思議そうな気配を感じる」
・探索者がお化け屋敷で驚いていたときに<心理学>:成功で「どこか申し訳なさそうな雰囲気を感じる」失敗で「何も感じていないようだ」

*このほか彼が「申し訳なさそうにするタイミング」は「探索者が大変な目に合っているとき」だ。
 遠山は長年の虐待・洗脳により判断能力が弱っている。有体にいえば「重度のうつ病」(シナリオ作者が実際の病名を使いたくないため、判断能力の欠如とアナウンスしている)
 探索者が彼を思いやる言葉をかけたところで、届かない。交渉技能・精神分析成功で「不思議そうにしている」程度である。
 タマキが彼に繰り返した言葉は「あなたは私のオモチャ」「私から離れて、生きていける場所などない」なのだから。

<劇場四季折々>
・HO2と話しているときに<心理学>:HO2に申し訳なさそうだ
・タマキを慰めているときに<心理学>:偽り・嘘の気配を感じる
 (彼の胸にあるのは探索者たちへの申し訳なさだ)

*遠山は長年の虐待・洗脳により判断能力が弱っている。有体にいえば「重度のうつ病」(シナリオ作者が実際の病名を使いたくないため、判断能力の欠如とアナウンスしている)
 探索者が彼を思いやる言葉をかけたところで、届かない。交渉技能・精神分析成功で「不思議そうにしている」程度である。
 タマキが彼に繰り返した言葉は「あなたは私のオモチャ」「私から離れて、生きていける場所などない」なのだから。

報酬関係

【SAN報酬】
生還報酬…SAN+1d3
シナリオ終了時の遠山の生還…人を助けようとしたことへSAN+1

【背景】
とあるところに女がいた。
女は狂った実父により、人目につかぬ場所でひっそりと生贄として育てられたが、10歳の際に助けられる。
呪文や冒涜的な知識に理解があり、実父のやろうとしたことを理解している者たちだった。

だが、その時すでに女の精神はゆがみ切り、お付きとしてつけられた遠山をなぶり、そのほかの人間もなぶった。
彼女は言う。私を殺すのならばこの家ごと呪ってやる。
なまじ呪文の知識があり、彼女の危険性を理解していた彼女の引き取り先は、それを嘘だと受け取らなかった。彼女を早々に何も知らない家へと押し付けた。

そこでも彼女は気ままにすごした。外国に足を運び、冒涜的な知識を収集したこともある。
夫は留守がちで家庭に関心のない医療器具メーカー役員であり、彼女の行為はだれにもとがめられないまま、遠山が主な被害者となる。

月日が流れ、現在より10年前。夫は死んだ。
それにより、彼女はさらに奔放に「人の裏切られる瞬間」を収集するようになる。

遠山はずっとそれを見ていた。
殴られ切られなぶられもてあそばれ、それでもずっと主人を見ていた。

いつものようにおもちゃを見つけた主人は、一点だけいつもと違った。
一対一ではなく、二人の人間をおもちゃにしようとしていた。

ならば。そこがスキになるのではないか。
今回の獲物の傍らにいる人は、きっと今回の獲物を助けてくれるだろう。
彼は彼のできる精いっぱいで、彼女の異常性のサインをHO2に発信していくことになるのである。

【使用呪文】
・魂の歌(基本ルルブP271)
犠牲者に呪文の使い手が望むものだけを見せ、望んだものだけを聞くことになる呪文。
オリジナル要素として「呪文の使い手の死亡」か「ホイッスルの破壊」か「使い手の望んだラウンド後」に正気に返る。
呪いのホイッスルは旅行中に現地民からもらった。

・ゴルゴロスのボディワープ(基本ルルブP257)
著作権の観点で詳細ははぶくが、POWとMPとSANを使って呪文の使い手を実在の望む姿に変えることのできる呪文。
STR・CON・INT・POW・DEXは元の姿のまま。
タマキの力の強さに違和感が入る理由はこれ。
なお、タマキが美少女の場合は「彼女の幼少期」美少年の場合は「実父の幼少期」に化けている。自分や父の容姿に執着があるわけではない。ただ単に「手近なモデル」なのである。

・門の創造(基本P290):説明不要。便利。今回はタマキの指定した身振り手振りと短い冒涜的な呪文がないと通れない作りになっている。あとは「タマキが目視して確認したところならば、門を作れる」という要素がついている。遠山が拘置所に入った場合、これを使って拉致しに来る。