概要
NPC設定

HO1導入
HO2導入

>事前調査開始
蜜谷カウンセリングルーム
帰路&手塚と遭遇

>夜行動前分岐
カウンセリングルーム

1階
2階
手塚と由佳子を引き合わせる

>ED分岐
蜜谷のその後
HO2ED
HO1・EDA
HO1ED・EDB
HO1ED・EDC

>任意イベント
手塚の実家
協力者の登場
星の精の襲撃

NPC裏話& コピペ用共有メモ

シナリオ概要

シナリオ名:エゴの在り処
プレイ時間:約3〜4時間前後
人数:2〜3人
HO1:あなたは「花浜・由佳子(はなはま・ゆかこ(20後半〜30前半)」という友人がいる。彼女の相談を受けたいと思う程度の友人だ。
HO2:あなたは裏社会とつながりがあり「名木原(なぎはら)組」というヤクザの構成員から依頼を受ける立場である。
*HOが二つありますが、探索者のすべてがHO1でも構いません。逆にHO2のみでも構いません。情報の出方、目標が変わるだけで難易度やプレイ時間に関係はありません。
 花浜が依頼を探偵ではなく友人に持ち込む理由は、心のどこかで手塚を信じているためです。友人により「なにか事情がある。心変わりではなかった」と言ってほしいと望んでいるためです。
ロストを避ける技能:回避
ふる機会がる技能:戦闘・交渉・図書館・医学・心理学・精神分析・経理
PL向けトレーラーページ

KP向け概要

 一言でいえば「番犬(星の精)の目を掻い潜るシナリオ」「毒親の被害者を救うも救わぬもHO1次第」「麻薬を探してたと思ったらAF。どんまいHO2」

 真面目に言うならば、友人・知人である花浜・由佳子の頼みで彼女の恋人・手塚万作の豹変の理由を探るシティシナリオ。
 高い確率で戦闘が発生するが、戦闘を経由することがクリア条件ではない。
 ロスト率は低く設定してあるが、KPの出目が振るえばサクっとロストする。
 KPは「ロストを避けたいならば回避必須」と告知してもいいだろう。

KP向け概要・詳細

 星の精が守るファンの醸造酒を入手すると良いことがあるが入手すると星の精が襲ってくる回避シナリオ。ただし、3R後逆転のチャンスがある。KP裁量で3Rで戦闘を終了することもできる。
 シナリオの依頼人の恋人・手塚は、シナリオ開始時に毒親に監禁のち薬物投与という気の毒な目にあっている。
 彼のカウンセラー・蜜谷はファンの醸造酒の製法(キーパーコンパニオンP88)を1本10万円で売る魔術師である。なお、売上は彼女の所属する教団の軍資金になっている。
 蜜谷は慢心しているし肉体的に弱いし銃弾一発で死ぬか気絶する回避初期値。…だが、星の精の召喚/従属(基本283p)が曲者であり、本シナリオのラスボス。
 蜜谷の商売は、当初、あくまでカウンセリングルームにやってきた患者・あるいはその関係者に醸造酒を盛り、意のままに操り、金を巻き上げることだった。
 しかし、ある時、醸造酒により人を意のままに操れることがとあるヤクザにバレた。
 そのヤクザに暗示をかけることもできなくはなかったが、彼女は手を組み商売の手を広げていくことを選んだ。
 手塚の両親はヤクザとつながりのある地元の地主であったため、息子を家に引き戻すために醸造酒を投与した。両親を嫌い、警戒していたがまさか薬物盛られるとまでは思っていなかった手塚は、醸造酒入りのお茶を飲んでしまったために「由佳子に会ってはいけない」という暗示をかけられる羽目になった。

 蜜谷はヤクザと手を組み、商売の手を広げたことでより大きな収入を得た。彼女の所属する教団は警察にも食い込んでいるため、ケシの花の栽培がとがめられることもない。
 しかし、彼女が手を組んだヤクザがいる組は、本来麻薬を扱うことが御法度。
 彼女が手を組んだのは、先代の頃は許されていた麻薬を禁じられ、不満に思っていた勢力だった。
 よって、蜜谷は「名木原組」の現組長勢力から狙われるハメになるのである。大体全部慢心の所為。

シナリオの流れ

・蜜谷、やくざと手を組み醸造酒の販売を始める
 ↓
・手塚、両親に醸造酒を盛られ「由佳子に会わない」という暗示をかけられる
 ↓
・シナリオ開始
 ↓
・蜜谷、夜に所属する宗教団体の寄り合いに出席。あらかじめ準備していた「消滅」の呪文で帰宅。
 ↓
・家に帰ると探索者たちが侵入している痕跡を見つけ、とどめを刺しに来る
 ↓
・HO2がケシの花栽培を名木原組に報告するのであれば満谷は現組長勢力により襲撃される(生死不明)

シナリオ規約

シナリオ作者が「青月七日」であることを明記していただければ、好きに改変していただいて構わない。
NPCの性格から神格の変更まで特にこだわりはない。シナリオフックとして活用していただきたい。
ただ、どこを改変したのかをセッション後にPLの皆さんに説明していただけると多少嬉しい。
2020/03/28 初版アップ 2020/04/19ED情報追加

NPC一覧

蜜谷・妃(みつたに・きさき)35歳

SAN値:30
STR:11  DEX:8  INT:10 アイデア:50
CON:7  APP:14  POW:15  幸 運:75
SIZ:10 SAN:69 EDU:17 知 識:85
H P:9  M P:15  回避:dex*2  ダメージボーナス:0
見た目:明るめの茶髪・おかっぱ。スーツ姿の美人。
回避初期値・戦闘技能なし。星の精を信じすぎ系黒幕。
所有呪文は呪文はファンの醸造酒の製法・消滅・星の精の召喚/従属(基本283p)

 とあるニャルの化身を信仰する教団の資金調達担当者。自身も金目当てに色々しているうちに気づいたら狂信者になっただけなので、案外正気である。
 だからこそ星の精という強力な使い魔にきゃっきゃうふふと浮かれる脇の甘い女。自分が拠点にした地域のヤクザが代替わりして、麻薬を嫌い始めたのを知らなかったのもその脇の甘さが原因。POWの高さだけで人生やってきたような女である。
 臨床心理士の資格は普通に持ち合わせている。(心理学50%・精神分析30%)
 探索者には人当たりよく接するが、自分以外の生き物は基本金蔓だと思っている。彼女が本心から信仰していたのは金なのかもしれない。
 ちなみに彼女のカウンセリングに対して、精神分析・医学を持っている探索者ならば、心理カウンセラーとして適切だと感じる。可もなく不可もなくといった腕前の印象だ。
 醸造酒に関しては「暗示をかけたい人間がいる人に売る」→「口頭で<暗示をかけるための呪文>(本シナリオのオリジナル処理)を教える」→「さらに暗示をかけたいならば追加で売る」の繰り返し。
 このシナリオで探索者が醸造酒をGETすることは可能だが、彼女から「暗示をかけるための呪文」を聞きださなければ醸造酒で人に暗示をかけることはできない。
 暗示をかけなくても、飲ませるとポヤポヤといい気分にはなる。謎の違法薬物という扱いになるので、HO1がもっていると後々まずいかもしれない。HO2は特にデメリットがない気がする。

 余談だが、彼女の身なりや彼女の私室のクローゼットに値切り・変装・経理など、衣服の値段がわかりそうな技能が成功すれば「簡素に見えるが金のかかった衣服だ」と分かる。私服肥やしてるあたり教団への忠義も怪しい。
 死亡ルートは星の精との戦闘の際に殺害・探索者がコトの次第を名木原に報告して死亡。
 彼女を警察につれていっても、取り調べを受けるものの釈放される。彼女はあくまで星の精をけしかけるだけだし、ケシの花に関してはスルー。なぜなら警察上層部に彼女と同じ教団の幹部がいるし、彼女の客にもなっているためである。
 由佳子はコトが終わった後こんな町捨てた方がいいかもしれない。ドンマイ。
 【蜜谷キャラシ

花浜・由佳子(はなはま・ゆかこ)20代後半〜30代前半(探索者の年齢に合わせ不自然ではない年に変化)

SAN値:55
STR:10  DEX:10  INT:12 アイデア:60
CON:13  APP:13  POW:12  幸 運:60
SIZ:14  EDU:15 知 識:75
H P:14  M P:12  回避:dex*2
目星・聞き耳・図書館・心理学・言いくるめ各60%
見た目:黒髪ショート。目つきはキツめだけどよく見ると可愛いタイプ。

 K県に勤務するジャーナリスト。とある旅行雑誌の係長。性格と目つきはキツいが心根は割とやさしいキャリアウーマン。
 雑誌の編集者になるのが昔からの夢であり、努力と人脈で夢をかなえた堅実な女。
 K県K市で恋人である万作と同棲して2年目。だが、彼が実家のゴタゴタに彼女を巻き込みたくなかったため、実際どのようにヤバイのかはわかっていない。
 実家に顔を出してくるという万作に、そんなに嫌なら帰らないほうがいいんじゃないだろうかと心配はしていた。
 もしも彼がどんな風に育ってきたのをキチンと説明していれば絶対に行かせなかったと思われる。

手塚・万作(てづか・まんさく)由佳子と同い年

SAN値:45(由佳子と暮らしていた頃は80)
STR:14  DEX:11  INT:10 アイデア:50
CON:14  APP:13  POW:14  幸 運:70
SIZ:13 EDU:17 知 識:70
H P:14  M P:14  回避:dex*2
聞き耳・登攀・言いくるめ・運転(自動車全般)各80%。応急手当・60%。芸術(縄抜け)・隠す 各30%
見た目:明るめの茶髪・パーマ。見た目は割と今どきのあんちゃんで、いかにも気弱そう。

 Z県の土地持ちの所謂名家の長男。
 …だが、彼がどんな扱いを受けてきたのかは技能値からご想像ください。
 絵にかいたような毒親に家を継ぐことを強制それそうになり、大学進学を機にどうにか脱出し幸せに暮らしていた。
 由佳子と出会い、結婚を決め、縁を切る前に一発両親を殴りたいという気持ちになった。
 一発殴りたいと思いつつもまさか飲み物に一服盛られるとは思わなかった。不幸。
 由佳子はもちろんのこと、友人を連れて行れずに一人でいった理由は「親が彼らに何をするかわからないから」自身も危ない目にあわせられるかもしれないと警戒はしていたのだが、お茶を飲んだだけでアウトだとは思わなかった。
 しいて言えば自分の肉体の屈強さを信じたのが彼の敗因かもしれない。

 本シナリオでは開始時点で醸造酒の影響下にあり「花浜由佳子に二度と会わない」「帰ってきて家を継ぐ」という暗示をかけられている。が、本来の人格まで変わったわけではないので、ひどくちぐはぐな印象を受ける。
 まるで洗脳を受けている人だし、事実洗脳を受けている人である。
 内向的だが誠実で責任感が強いため、突然の退職は同僚や友人の間で不審がられてはいる。著しくヘタレというわけでもなかったので、由佳子も突然の心変わりをいぶかしんではいる。
 探索者たちを「由佳子を心配してくれている人」と認識すれば、とても好意的に接する。だが、絶対に彼女のもとに行こうとはしない。彼を由佳子のもとに連れていくのは力づく一択。由佳子を彼のもとに連れていくことは、探索者が彼女を説得すればよい。
 二人を会わせたところで「もう会えない」「だめなものはダメ」「ともかく会えない」としか言えないが。

 彼を救うためには「手塚を一人呼び出す・あるいは強制的に拉致」し「探索者が醸造酒を入手し、警察機関に渡さない」した上で「神話技能または医学または薬学またはその他KPが適当だと思う技能に成功」あるいは「探索者の味方になってくれる医療機関に引き渡す」ことが必要となる。  HO2による拉致でも一応の解決にはなる。醸造酒の影響は、醸造酒を医学的に研究しなければ解決しない。
 彼に<医学><薬学>などをふると「薬物をもられてはいない」と分かる。彼がもられているのはAFである。
 壊れたラジオのように気持ち悪いロールを推奨しているが、醸造酒の影響なので多めにみてあげてほしい。本来はきちんと物事を考えられる人間である。

山尾下・勇武(やまおか・いさむ)30歳

SAN:60
STR:13  DEX:10  INT:17 アイデア:85
CON:12  APP:13  POW:10  幸 運:50
SIZ:12  EDU:16 知 識:80
H P:12  M P:10  回避:dex*2  ダメージボーナス:1d4
見た目:黒髪スーツの勤め人風ヤクザ。笑顔が標準装備。

 HO2の導入役およびこのシナリオの「探索者が犯罪行為を行った時隠蔽してくれる」便利なNPC。
 名木原組という内輪もめで忙しいヤクザに所属する青年。扱いはしょっぱい。なぜなら現組頭勢力だから。
 本人は組のメンツに興味がない。ならば正義の心から麻薬を調べているのかというとそんなことはない。
 探索者たちにはまったく関係ない理由で現組頭に忠誠を誓い、なるべく彼らの望みがかなうように動いているだけで。
 現組頭がカタギを巻き込むことをよしとしないので、HO1の安全は割と保障される。もし仮に蜜谷を殺してしまったとしても「一夜の悪夢と思えばいいんじゃないですか」といった風にかばってくれる。HO2がHO1を脅かす際は、止めはしないが。

 シナリオに関係はないが。性格は自己中心的で人が傷つこうが死のうが薬中になろうがさほど気にしないタイプである。要はどんなHO2で来ても大丈夫! 嘘をつかずに本当のことを言わないタイプの男。現組頭夫婦に対する忠義だけは本物である。
 【山尾下キャラシ

幸原・綾彦(ゆきはら・あやひこ)22歳

SAN:60
STR:12  DEX:15  INT:15 アイデア:75
CON:10  APP:12  POW:13  幸 運:65
SIZ:12  EDU:13 知 識:65
H P:11  M P:13  回避:dex*2
見た目:茶髪で短髪。むやみに元気いっぱいでなんかコーギーみがある青年。安月給。

 探索者が三人に満たない場合のみ登場するお助けNPC.立ち位置はHO1と同じ。
 幸原探偵事務所に勤める新人社員。醸造酒の被害者の友人から依頼を受けている。人が良く、真面目なので割と個人的に心を痛めて気合も入れている。ただ、NPCなので事態を好転させることはできない。ロール的にいうと若くてちゃらくて信用がない。
 蜜谷と警察が癒着していることを、ケシの花栽培をスルーされたことで確信している。…が、もみけされてしまったので困ってる。よその警察に訴えることも考え始めていたタイミングで、手塚ともめる(あるいは、意味ありげに見る)探索者たちを目撃し、協力を仰いだ形である。
 そこそこの探索技能と、探索者の邪魔にならない程度の回避を持つ。火力はないので彼を当てにしても星の精は殺せない。
 ただ、個人で診療所をしている医者の友人を持つので、彼が醸造酒を入手した時点で解毒剤ができるルートが開ける。
 KP裁量によっては戦闘・調査の時点では合流させずに、蜜谷カウンセリングルームから生還後のHO1に接触させ、手塚を助ける手段があると持ち掛けてもいいかもしれない。
 彼は善良な探偵なので、困っている人は特に理由がなく助けたいのだ。健全な成人男性なので、そんな願望を恥ずかしくて口にはできないが。
 【幸原キャラシ

HO1導入

 HO1であるあなたのもとに、「花浜・由佳子」(はなはま・ゆかこ)がやってくる。とある出版社の管理職を務めるキャリアウーマンだ。
 彼女はどこか浮かない顔で、探索者たちに相談があると言ってくる。

描写例

「ねえ、蜜谷カウンセリングルームって、聞いたことある?」
「…知り合い、いえ、別れた恋人が、そこに行ってるんだけど。様子がおかしくて」
「私と別れるだけなら、心変わりとか、浮気とか、際われたとか…。ともかく納得できるんだけど。
 大事にしてた仕事いきなりやめるし、嫌っていた実家の稼業継ぐって言いだすし……様子がおかしくて」

「そもそもカウンセリングにかかっていた理由が、親を納得させるためというか…義理立てだったらしいの。
 彼、実家には私の結婚を報告に行っていたの。ロクな親じゃないから、絶縁がてら最後に文句だけ言ってくる、って…一人で実家に行ったの。私は殴られたりされるのが怖いから来るな、って。  …そんな家なら帰らなくてもいいようなものだけど。どうしても文句を言っておきたいんだ、って。
 だから2週間前、実家に帰って…。その次の日、カウンセリングに行けとうるさいから付き合ってくるって連絡があった。
 それが蜜谷カウンセリングルーム」

「…親も一緒に行くって言うから、いっそそのまま親に受けさせられないか頑張るって言ってたけど…。…そのまま連絡がとれなくなった」
「今から一週間前、ようやく連絡がきたら別れよう、だもの。…納得いかなくてそのカウンセリングルームに行ったら。…そこでも『ともかく別れることにした』としか言ってくれなかった」

「もしよかったら、そのカウンセリングルーム、一度見に行ってくれないかしら…」
「私は、その。お医者さんにね、一度思いっきり文句言いに行っちゃったから…もういけなくて」
「…あんまりに評判がいいし、魔性の女医とか言われてて…少し、気味が悪いの」

*KP向け補足:由佳子の勤める出版社で彼女についてのゴシップ記事が出たことがある。
 彼女は担当ではなかったので詳しくは知らないし、さほど重要な情報は出てこない。
 彼女が手塚をあきらめるに諦められない理由づけのようなモノである。

「…恋人…万作は、こういう顔」(写真を入手できる)
「未練は…別に。ないわ。理由が何であれ、別れを告げられたのは事実だもの。
 ………なにか事情があったとしても、ともかく別れようなんて。そんな意味の分からないこと言う人、嫌よ」
「会えて、もう一回くらい文句を言いたい気はするけどね」
 そう語る彼女の右手が、自信の左手を握る。
 左薬指に光る指輪は、女性のものとしては少しばかりいかめしい。写真の中の手塚がしている指輪と揃いであると分かる。

心理学・アイディア・他KP裁量
→本心では心変わりを信じたくはない・そんな人ではないと信じたい。
目星・医学・その他KP裁量
→化粧をしていても目元のクマが目立つ。目も赤く、寝不足であることがうかがえる。おそらくは心理的なものだろう。

由佳子の話のまとめ

・恋人との仲をその両親に反対され、会えない。
・恋人の名前は「手塚・万作」(てづか・まんさく)。とある農家の長男であり、結婚したら実家に帰れト言われていたらしい。
・彼本人にその気はなく、由佳子の夢を邪魔する気もなかった。それでも結婚はけじめだから…、と実家に帰ったところ軟禁された模様。
・反対されてからも、彼に連絡をとっていたが、ここ一週間会えない。
・心変わりをしたのかもしれない。できれば最後に一度あって、文句を言いたい。

・最後に連絡があった日「蜜谷カウンセリングルーム」に連れていかれると連絡があった。 ・実は一度そこで待ち伏せたが、冷たくあしらわれてしまった。
・どうしても納得できずにカウンセリングの評判を調べたところ、おかしな噂を聞いた。
・「蜜谷カウンセリングルームにいった人間は、絶対に治る」
・ネットで調べた限り、あまりに評判が良くて気味が悪い。

「だって、全員治るなんて。そんなこと、あると思う? 絶対、なんて…なんだか気味が悪くって」
「それに…同じ会社の友達に聞いたウワサなんだけど。そこで、おかしな薬を配ってるって噂があったらしくて…」
「…あそこ、でカウンセリング施設で、なんて出せないはずだから。噂でしょうけど」

蜜谷カウンセリングルームについて(自動開示情報)

・今から五年ほど前に開業した小さなカウンセリング施設
・入院施設はない
・個人の病院であり、医者は「蜜谷・妃(みつたに・きさき)」のみ ・あとは数名のスタッフがいるようだ。
・完全予約制で、受付時間は 8:30〜17:00
・受付時間は平日午前 8:30〜11:30・13:30〜16:00

 この情報を渡したうえで、由佳子は「なぜ患者を絶対に治すカウンセラーが不気味なのか」を説明してくる。

精神科医・臨床心理士の違い(由佳子の口からの自動開示情報)

 臨床心理士の仕事はカウンセリングであり、病気の完治は不可能ではないが「解決率100%」というのは不自然だ。
 病気の治療は精神科医の仕事なのである。

 精神科医や心療内科医は心の病を診断し、病気を治療する。
 その際に投薬を行うことも多い。
 一方、臨床心理士は投薬を行うことはできない。

 臨床心理士は依頼人に対する心理検査や面談、カウンセリングにより回復を目指す。
 臨床心理士は依頼人の悩みの解決策を提案することはない。

 依頼主が臨床心理士との話をすることによって、依頼人自身が考えを整理し、答えを見つけることを支える仕事なのである。
 依頼主が重篤な病を持っていると判断された場合は、精神科医・心療内科医などの医師と相談しながら回復を目指していく。

 この情報を入手した後、想定していること行動は「蜜谷カウンセリングルームの情報収集のためにダイスをふる」「蜜谷カウンセリングルームに予約をとる」「なにかしらの理由で取材する」「手塚のことを聞きに行く」だ。KPは頑張って一度はカウンセリングルームに行くように誘導してほしい。
 手塚の家に行った場合、ラスト以外「手塚万作」は出てこない。基本的に軟禁されているためだ。
 これはヤバイという感じの母親が対応してくれる。コイツら話通じねえというロールを頑張ってほしい。
 →手塚邸

蜜谷カウンセリングルームの書き込み(図書館などKP裁量の技能成功)

・重度の〇〇病だったが全快した
・死にたいと思っていたのがうそのようだ
・甘いお茶を飲み、ゆっくりと離しているうちに不安感がなくなる
・ずっと気にしていたことを告白した。気にしたくないと訴えた。そうすることでよくなったのだと思う。

*〇〇病と伏せているのはシナリオ作者が実在の病気の名前を出したくないだけで、シナリオ的な意味はない。

蜜谷カウンセリングルームの悪い評判

・ネット上には悪い評判がない。
・この時代に悪い口コミがないというのも、多少不自然に思える。
・ましてや心理カウンセリングは病気の役には立つが、精神病院と違い「投薬を行わない」

週刊誌の蜜谷妃の特集(図書館などKP裁量の技能成功)

・彼女に取材が来たそもそものきっかけは「とある警察上層部が彼女のもとに通っているから」である。
・美人すぎる臨床心理士として特集されている。
・男女問わず虜にする「魔性の女医」とも評されている。
・目線をつぶされているが、確かにそこそこの美人であるように見える。
・どういった治療を行っているかに触れられてはいない。

人づてに調査する(交渉技能他KP裁量)

・定期的に大きなトラックが入っている。なにを搬入しているのだろう。
・あそこにいった患者はあまりに「治りすぎる」という噂がある
・法外な値段でおかしな薬物を売っているという噂がある。

KP向け補足:ネット上は蜜谷と同じ教団の信者により情報規制がなされているが、人の口までは完璧にふさげない。 このシナリオの背景にいるのはニャルそのものではなく、とある教団だからだ。
なお、トラックで定期的に搬入されているのは熊。ベアー。新鮮な内臓が醸造酒に必要なための密輸である。

HO2導入

 HO2であるあなた方は、名木原組(なぎはらぐみ)の山尾下・勇武(やまおか・いさむ)という構成員に呼びだされる。
 キチンとスーツを着た、ニコニコと人当たりがよさげの30歳で、おおよそヤクザらしくない。
 彼から持ちかけられる相談とは「現在の組長に対する反乱分子が、現在は禁止している麻薬の取引に手を出している」というものだ。
 「反乱分子が麻薬の栽培・販売に手を貸している証拠を入手してほしい」「それさえあれば、麻薬本体はどうしてくれてもかまわない」というものだ。死体の2,3個までならどうにか隠蔽できるが、あまり派手に暴れられるとフォローできないかもしれないとも言われる。

「今の頭は、穏便派…。というか。ヤクザが嫌いでね。そのうえ婿なんだよね。先代の娘の婿」
「姐さんも先代のことが嫌いでね。そうしてできたのがやくざの邪魔するために頭をしているという、どこの少年漫画だっていう夫婦で…。当然麻薬も嫌いでさ」
「禁止したはいいけど、先代を慕っている連中が反発する反発する。で、こっそりうってるの」
「売ってること自体はね。頭も俺もどうでもいいんだ。ただ、上の言うことを聞かないって言うのはダメだよね」
「だからとっとと片付けたいけど…その疑惑が出てるのが、先代のお気に入りだったんだ。慕う連中も、割と多いね。だから証拠がいる。ある程度根拠のいる証拠が。外部がとってきてくれた写真とか、実物とかね」
「それを入手してほしいんだ」

「共犯者が分かったら、そいつのことも教えてほしいな。生死は問わないよ」
「死体は…一つや二つくらいなら俺がどうにかするけど。逆に、俺の個人的なツテとか頭側の奴らしか動かせないから。なるべくこっそり動いてね」
「武器は…うちで使ってる銃を貴方たちの人数分くらいは融通できるね。銃弾入っているぶんだけだ、悪いけど、種類の融通は利かない。ナイフとかは、普通に自分でいけるよね?」
「麻薬? 個人的にはどうでもいいよ。俺は今のスイーツな姐さんと頭が好きなだけ。あの二人にバレないようにしてくれるなら、それ、横取りしてもいいから」

 山尾下はHO2側の都合の良い協力者だ。嘘はつかない。組が内輪もめをしている状況も、交渉技能に成功すれば話してくれる。彼の忠誠は組ではなく、現組頭の夫婦のみに向いているためだ。メンツ、仁義、道徳。なにそれおいしいの?である。
 探索者が三名に満たない場合は、彼を途中で合流させてもいいだろう。
 カタギとつるんで行動する時に彼が名乗る身分は「探偵」。とても人当たりが良い。
 HO1側の人間の手前、銃の発砲はギリギリまでしないが。探索者の誰かが星の精につかまった時点で銃を取り出す。蜜谷が出てきた場合は迷わずに蜜谷殺害に向け発砲する。こちらに関してはHO2の呼びかけによって気が変わることもある。が、人道よりは自分の命が大切な人。

蜜谷カウンセリングルームについて(自動開示情報)

・今から五年ほど前に開業した小さなカウンセリング施設
・入院施設はない
・個人の病院であり、医者は「蜜谷・妃(みつたに・きさき)」のみ ・あとは数名のスタッフがいるようだ。
・完全予約制で、受付時間は 8:30〜17:00
・受付時間は平日午前 8:30〜11:30・13:30〜16:00

 蜜谷カウンセリングルームのことを説明した後、彼はさらに続ける。「絶対に治る臨床心理士とか、とても胡散臭いと思うよ」「ここになんか警察のお偉いさんが入っていくの見たとかも、聞くしね」。そうして開示されるのが書き情報だ。

精神科医・臨床心理士の違い(山尾下の口からの自動開示情報)

 臨床心理士の仕事はカウンセリングであり、病気の完治は不可能ではないが「解決率100%」というのは不自然だ。
 病気の治療は精神科医の仕事なのである。

 精神科医や心療内科医は心の病を診断し、病気を治療する。
 その際に投薬を行うことも多い。
 一方、臨床心理士は投薬を行うことはできない。

 臨床心理士は依頼人に対する心理検査や面談、カウンセリングにより回復を目指す。
 臨床心理士は依頼人の悩みの解決策を提案することはない。

 依頼主が臨床心理士との話をすることによって、依頼人自身が考えを整理し、答えを見つけることを支える仕事なのである。
 依頼主が重篤な病を持っていると判断された場合は、精神科医・心療内科医などの医師と相談しながら回復を目指していく。

 上記情報はHO1・2共に自動開示される。HO2と1の合流方法はPL同士で相談してほしい。
 シナリオ作者のおすすめは「蜜谷カウンセリングルームの駐車場で出会い、適当に協力する」「ファミレスなどでHO1の導入を聞いていたHO2がHO1に接触する」などだ。
 HO2に積極的に動いてもらうことになるので、KPに頑張ってほしい。
 この性導入の質から、HO2はカタギを巻き込むことに抵抗がないタイプの裏稼業の人間が望ましい。

蜜谷カウンセリングルームの書き込み(図書館などKP裁量の技能成功)

・重度の〇〇病だったが全快した
・死にたいと思っていたのがうそのようだ
・甘いお茶を飲み、ゆっくりと離しているうちに不安感がなくなる
・ずっと気にしていたことを告白した。気にしたくないと訴えた。そうすることでよくなったのだと思う。

*〇〇病と伏せているのはシナリオ作者が実在の病気の名前を出したくないだけで、シナリオ的な意味はない。

蜜谷カウンセリングルームの悪い評判

・ネット上には悪い評判がない。
・この時代に悪い口コミがないというのも、多少不自然に思える。
・ましてや心理カウンセリングは病気の役には立つが、精神病院と違い「投薬を行わない」

週刊誌の蜜谷妃の特集(図書館などKP裁量の技能成功)

・彼女に取材が来たそもそものきっかけは「とある警察上層部が彼女のもとに通っているから」である。
・美人すぎる臨床心理士として特集されている。
・男女問わず虜にする「魔性の女医」とも評されている。
・目線をつぶされているが、確かにそこそこの美人であるように見える。
・どういった治療を行っているかに触れられてはいない。

人づてに調査する(交渉技能他KP裁量)

・定期的に大きなトラックが入っている。なにを搬入しているのだろう。
・あそこにいった患者はあまりに「治りすぎる」という噂がある
・法外な値段でおかしな薬物を売っているという噂がある。

KP向け補足:ネット上は蜜谷と同じ教団の信者により情報規制がなされているが、人の口までは完璧にふさげない。 このシナリオの背景にいるのはニャルそのものではなく、とある教団だからだ。
なお、トラックで定期的に搬入されているのは熊。ベアー。新鮮な内臓が醸造酒に必要なための密輸である。

 こちらの情報もHO1と同様に出てくる。不審なトラックの噂に関しては、HO1よりは入手しやすいのではないかと思われる。

事前調査パート開始

 HO1と2が合流を済ませたら、基本的に蜜谷カウンセリングルームに向ってほしい。
 もしも別行動をしても、蜜谷カウンセリングルーム2Fの奥の部屋に行かなければ危険はないが。

 もしも手塚の実家に行くならば、K県から新幹線で3時間の距離だ。
 そう伝えててもいくようであれば、追加イベント「手塚の実家を訪れる」が発生する。

 ちなみに、手塚の勤め先で彼の様子を聞きたいといった探索者がいるのであれば、由佳子越しに「実家に帰るまではいつも通りだったと聞いている」「急に仕事を辞めて、周囲に迷惑をかけるタイプじゃないから不審がられている」といった情報を渡してほしい。プレイ時間短縮のために。

手塚の実家を訪れる

描写例

 手塚の実家に手塚がいるのは「探索者が蜜谷カウンセリングルームに一度訪れた後」だ。訪れたのは昼でも朝でも構わない。一度も蜜谷に会っていない状況ならば、手塚は留守。彼の母が対応する。

 K県から新幹線で3時間かかるZ県に、手塚の実家はあった。
 いかにも古めかしい、確かに名家というにふさわしい家である。

 探索者たちが玄関で呼び鈴を鳴らすなら、60歳と思わしき女性が対応する。手塚万作の母だ。

「万作に会いたい」
→「あの子は今、具合が悪くて人に会えるような状態じゃありません」
「子供の意志を尊重しないのか」
→「あの子は望んで帰ってきました。確かに、18の時家を出ていったとき、もめましたが。もうあの子は大人です。ようやく親のありがたさが分かったということでしょう。第一、嫌ならば出ていけばいいだけでしょう? 本人が納得しているからここにいるんですよ」
「万作になにかしたのか」
→「かわいいかわいい私の子供ですよ、おかしなことなどいたしません」
「由佳子をどう思っている」
→「さあ? あの子がお付き合いをしている人がいるとは聞きましたが。連れて気もしなかった。その程度だったのでしょう? ほら、今の若い人はすぐに同居だ結婚だと言い出すけど、ねえ。頭が冷えると自然と正しい判断ができるようになるんですね」

 KP向け補足:手塚の母は息子がおかしな薬をもられていることは知らない。
 醸造酒をお茶に入れたが、効能など信じていない。「夫が言ったから入れた」くらいの認識である。毒親だし旦那に共依存だし救いようがないタイプ。
 彼女は息子が本心で改心してくれたと思っているのである。
 あの、へろへろで支離滅裂でダメダメな姿を良しとしている時点で人間性を察していただけるとありがたい。
 KPは彼女のことを思いっきり嫌な感じに描写してほしい。彼女に情報を渡しすぎると、手塚が探索者たちの手の届かない場所に幽閉されるためだ。

描写例

 あなた方が彼女と話していると、奥から(手塚の年齢+35)程度の男性が現れる。
 彼はあなた方を不機嫌ににらみつけ、手を振って言う。

「黙って聞いていれば、勝手なことばかり。
 万作は私たちの息子だ。君たちには何の関係ない話だろう。
 関わらず、帰っていただけないか」

 それだけ言われると、あなた方の言葉など聞かずに扉をしめられた。

 KP向け補足:ここでねばるようなら警察を呼ばれる。
 警察は残念ながら手塚の両親の味方である。彼らはとても外面がいいので。
 上品なクソ。探索者を見下しているロール。などを意識してKPは頑張ってください。すべての台詞の前に「ハッ」などをつけるとそれっぽい気がします。

蜜谷カウンセリングルームへ

描写例

 あなたたちは住んでいる町からなにかしらの手段で、郊外にあるそのカウンセリング施設にやってきた。
(近くまでバスは出ていない。他に施設がない、発砲し放題な郊外だから)
 そこはカウンセリング施設というよりは、個人の家だった。
 ただし、住処かと思わしきスペースはぐるりと高い塀に囲まれていて、屋根くらいしか見えない。
 離れのように塀の外にある自宅の一部をカウンセリングルームとして開放しているらしい。

 自家用車かタクシーから降りると同時に、患者用の玄関から出てくる眼鏡の青年がいる。おそらく患者だろう。
 その患者はあなた方の方を見ると、ぺこりと頭を下げて去っていく。

KP向け補足:患者に話を聞くこともできる。「ここは普通のカウンセリングルーム」「お茶が甘くておいしい」「確かに良くなった気がするけど、まだまだ完治などしていない」とここが「普通のカウンセリング施設である」という証言が手に入る。
 実際、醸造酒を本格的に盛られていない人間にとって、ここは可もなく不可もなくといった施設だ。

 なお、探索者が3名に満たない場合、ここで出会った眼鏡の青年は「変装した幸原・綾彦(ゆきはら・あやひこ)」である。
 星の精との戦闘上、最低3名は欲しいシナリオなので、1〜2名の時は彼か山尾下が合流する。その際、幸原合流時に「あの時すれ違った眼鏡の青年であるように見える」とアナウンスしてほしい。探索者目線だとどうしても怪しいから。
 PLが3名で来てくれた時は彼はただの患者Aである。なんなら探索者が3名いるのならここのすれ違う患者イベント自体消しても問題ない。

事前に予約を取った時点で、住居用の入り口ではなく、患者用の入り口からどうぞと案内を受けている。

 それに従い患者用の玄関から足を踏み入れると、クリーム色の壁が迎える。
 受付に座る女性が、予約した探索者の名前を聞けば案内してくれる。

描写例

 廊下にも、受付スペースにも、飾り物や生の花はないが、ところどころが造花で飾られている。
 患者が通る道に窓はないが、照明が工夫されているのだろう。暗さは感じない。
 廊下には絵や、お知らせが張られている。どうやら明日明後日はこの施設は定休日のようだ。

 予約制なので、すぐにカウンセリングに入ることができる。

 KP向け補足:基本的に予約をした探索者のみが通されるが、望むのならば他の探索者が付き添うことも可能。
 本当のカウンセリングで同行が許されるかは関係ない。ここのカウンセリングは「多少おかしい」のである、
 ちなみに、カウンセリングに使う部屋は扉がぴったりと閉じてしまえば外に話し声は漏れない。外の物音が蜜谷に聞こえることもない。受付にいるやる気のない女性には聞こえるかもしれない。(KP裁量に任せる)
 →受付に残る場合

蜜谷妃との面会

描写例

「はじめまして。蜜谷と申します」
 本棚や机がある以外は応接間めいた部屋にいるのは、ショートカットの温和そうな女性だ。
 眼鏡をかけており、30代ほどに見える美人である。
 彼女はあなたが席につくと、紅茶をカップに入れる。仕上げのように甘いにおいのする黄金色の液体を注ぎ込んだ。
 (この紅茶を飲んでも飲まなくとも、彼女は特に気にしない。低SANの影響で、ともかく注意力が散漫なのだ)

「今日はどうされましたか?」

 あなたが悩みを相談するのであれば、ごくごく普通のカウンセリングのように聞いてくれる。
 手塚について質問するのであれば「守備義務がありますから」といった普通のことしか言わない。
(心理学などをふるのであれば、どのタイミングで降ったとしても「全体的に動作が演技のようだ」と感じるだろう)

 なお、このカウンセリングルームの探索箇所としては【本棚・机】がある。シナリオ作者が提示できるのは<目星><英語>だが、近づけばまた別の情報が出る。

 蜜谷が悩みを聞く様子は、特におかしなものではない。
 ごくごく普通のカウンセリングのように思う。

 紅茶について気にするのであれば、紅茶自体は何の変哲もないアッサム。
 はちみつのような甘みがし、おいしい。

聞き耳
→今まで食べたことのないハチミツな気がする
料理技能
→あなたが取り扱ったことのないハチミツだと確信する
博物学・生物学
→どの植物の蜜でもない・どの生物の蜜でもない予感がする(持ち帰るのであれば確定で分かる)

 ハチミツについて尋ねるのであれば、にこやかに対応する。
「こちらのはちみつは、私の実家から送ってもらっているんです。レンゲ中心に集めているらしいわよ?」
「売りものじゃないし、分けられないけど…気に入ってくれたならうれしいですね」
「実家? 青森です」
(彼女の実家が青森なのは事実だが、レンゲから集めているというのは嘘だ。これはAFなのだから)

本棚

 座ったまま本棚を気にするのであれば、まずは<目星>などに成功することで医学書やカウンセリング関係の本にまじって英語の書物が多いことに気づく。(立って近づくのであれば目星ロールは不要)
 その状態で<英語>に成功すれば<ネクロノミコン>という本が奇妙に印象に残る。(失敗で開示される情報はNecronomiconだ)

不完全なネクロノミコンの写本

キパコン32P、ペーパーブックス版ネクロノミコン。のさらに写しといった程度の不完全な写本だ。
厚さは同人誌程度。同人誌型ネクロノミコン。ラテン語ですらない。蜜谷の教団が信者に配る聖書のようなものである。

手に取り、流し見する程度ならば「正気度喪失0/1d3」「神話技能+1」
研究するのであれば、1週間の時間と英語の成功が必要。
内容はニャルラトテップを知恵の神としてたたえている。(神話技能+1)
この時点で探索者が望み、INT*3に成功したのであれば「ニャルラトテップとの接触」を習得できる。(神話技能さらに+1)

KP向け補足:この本を入手してもシナリオ攻略の役には立たない。読む必要はない。蜜谷があきらかにヤベエとPLに自信を持ってもらうためにおいてあるフレーバー情報である。

 机の上に、気になるものはなにもない。
 ただ、ぴたりと閉じられた引き出しから、赤いなにかがのぞいているのが気になった。

 それを調べるために近づかないのならば、そのまま<目星>をふる必要がある。近づいてその花びらをとっても蜜谷は気にしない。

蜜谷と話しながら目星
→あせた赤い花びらだと分かる
手に取って、博物学・薬学・医学・その他KPが麻薬に関すると判断した技能
→ケシの花びらのように見える。園芸種ではない。麻薬が生成できるものであるようにも見える。

 KP向け補足:蜜谷は引き出しにケシの花びらがひっかっていることに気づいていない。気づいても気にしない。
 枯れたケシの花を見るだけで麻薬と関連付けるのであれば、その人間もまたマトモな人間ではないと思っているためだ。
 この町の警察上層部には彼女と同じ教団に所属する警察官がいるので、警察も怖くない。
 やくざとつながっている(実際はやくざの反乱分子だが)と思っているため、そちらの手も考えない。
 ともかく慢心している女である。
 「こいつもしかしたらちょろいんじゃないか」とPLに思ってもらえるようにロールしてほしい。この一連の流れは彼女のちょろさを確信し、夜に侵入してもらうための布石である。

 PLがこの部屋の探索に満足したようであれば、KPは蜜谷を使いカウンセリングを切り上げてほしい。

「悩みが解決しないようであれば。そうですね。またいつでも来てくださいね」
「来ないのが一番ですけど。一人で悩んでしまうのは、もっと怖いもの」

紅茶を半分以上飲んでいた場合
<いつでも来てください>の声が奇妙に耳に残った

面会中・受付スペースに残る

 面談室に入らない場合は受付スペースおよび廊下を探索できる。
 受付スペースの奥に2Fへ続く階段がある。(こちらは交渉技能を振っても通してもらえない)
 受付では受付スタッフに話が聞ける。
 蜜谷がごくごく普通の臨床心理士だという評価を聞ける。受付スタッフは特に内情を知らない、やる気のないバイトである。
 日々蜜谷から醸造酒入りのお茶を飲まされているため、彼女や患者の様子を詮索しようとは思わないのだ。

 同時に、スタッフがやる気がないことにより、廊下を探索することができる。
 廊下には物置がある。鍵はしまっているが、そこに侵入することも、大声を上げない限りは平気である。

1F物置

描写例

 あなたが扉を開けると、段ボールがみっちりと詰まった物置が目に入る。
 さほどホコリ臭さはない。定期的に掃除されているのだろう。壁際には書類棚がある。
【探索可能箇所:物置全体・書類棚】

物置全体に目星あるいは幸運
→PLが必要とするものがKP裁量で出てくる
書類棚に目星あるいは図書館その他KP裁量
→通常の顧客名簿と、奇妙な顧客名簿がある。

通常の顧客名簿

カウンセリングに来ている人間と、回数。
その他、このカウンセリングルームの経営に関する情報がまとめられている。
<経理>に成功すれば通常のカウンセリング業務のみではこの施設が維持できないであろうことが分かる。

奇妙な顧客名簿

顧客と思わしき人間の名前と、注文された品物の合計金額がまとめられている。
どうやら直近1か月分のようだ。
おそらくは一か月分が最小の単位だが、なんの品物なのかは書いていない。
また、カウンセリングに来ている患者の名前ではないようだ。

・〇山×太 1か月分 10万
・〇田×子 2か月分 20万
・〇原×三 3か月分 30万
・手塚千一 1か月分 10万
・〇川×也 1か月分 10万

由佳子に確認するなら、手塚千一は手塚万作の父である。 また、<知識>他KPが適切と判断した技能に成功すれば「〇川×也」が最近ニュースで防犯訓練の演説をしていた、警察の高官であることに気づく。

カウンセリングルームからの帰還

描写例

 あなた方が屋敷から出ると、ふらりと車から降りる人物と目が合う。
 ぺこりと穏やかな表情で頭を下げる人間に、HO1ならば見覚えがある。
 その人物は、どうやら手塚である。
 彼は呼び止めなければそのまま満谷のもとへと向かう。
 呼び止めるのであれば、ごくごく常識的な態度で探索者に接する。
 取り乱すのは「由佳子」という単語を出した瞬間である。

「はい、俺は確かに手塚万作ですが。お会いしたことはありませんよね?」
「カウンセリングを受けて…。調子がよくなったかどうか。自分ではわかりませんが。…自分のやるべきことをやらなければと思うようになりました。きっと、それでいいのでしょう」
(暗示によるものなので、心変わりの理由を彼は説明できない。<気づいたらそう思っていた>としか言えないのだ)

「由佳子、…花浜さんは、俺の大切な人ですよ」
「だけど別れないと」
「理由? 別れないといけないんです。もう会ってはいけないんです」

「…会いたい、気持ちもあるけど」
「それはダメなことだから」
「なんで、って……、……いや、ダメなものは、ダメだから…」
「それに。俺は由佳子と別れないといけないから。だから、もう会ってはいけない。ただそれだけです」

手塚の証言のまとめ

・彼女への思いが変わったわけではない
・ただ自分は家に従うべきだ。そうでなければいけない
・今も彼女のことは好きだ。なぜ冷たく当たってしまったのかわからない
・いや、別れなければいけない以上、これでよいのだ

KP向け補足:手塚の様子は不自然で支離滅裂で構わない。彼の性格は変わっていない。両親への嫌悪も、由佳子への愛情もそのままだ。
自分でも理由が分からない「由佳子と別れなければ」「家を継がなければ」という暗示に苦しめられているのだから。
このシーンの目的は、PLだけではなく探索者に「手塚が明らかに精神的におかしい」と確信してもらうことである。
変であればあるほど良い。
彼に盛られている薬物を知りたいのであれば、<医学><薬学>などではなく<神話技能>の成功が必要になる。
<医学><薬学>に成功すれば「まるで精神疾患のようだが、医学的にみると健康に見える」とでもアナウンスしてもいいだろう。

心理学他KP裁量
→「なぜ由佳子に会えないのか」といった理由を語る時、どこかぼんやりと、意思が弱いような印象を受ける
精神分析
→狂気に陥っているようには見えない。ただ、どこか不自然だ。強い暗示のようなものを受けているのではと感じる。
目星
→キツく握りしめられたこぶし、その左薬指に由佳子と揃いの指輪が光っていることに気づく。

「…ごめんなさい、行かないと」
「…由佳子、いや、…花浜さんに、…ごめん、と伝えてください」
「……本当に愛してるよ」
 あなた方から離れれば、歩く姿はまともに見える。
 けれどその言動は、明らかにおかしなものだった。

分岐

 ここでKPはPLにルートを提示してほしい。

・蜜谷が留守になる夜に侵入するか(気づいていないようだったらアイディアをお願いします)
・なにかしらの手段で、手塚を由佳子にひきあわせるか。
・両方するか(その場合は、順番を宣言してもらってほしい)

 探索者が3名であれば、そのまま好きに用意してもらい、好きなルートを選んでほしい。
 探索者が3名未満であれば、追加イベント「探偵の登場」が発生する。
 ちなみに手塚の実家は遠いので、この時間から彼の家に行く場合は夜行動に差し支えが出ると伝えてほしい。
 満谷カウンセリングルームでは高確率で星の精と遭遇する羽目になるので、別行動にならないようにKPは誘導を頑張ってほしいい。なんなら「別行動は推奨しない」くらい言ってしまってもいいと思う。

 侵入を選んだ探索者たちは、夜まで必要なモノを購入・手配することができると伝えてほしい。

由佳子に連絡(彼女に会うだけならば夜行動に支障はない)
蜜谷カウンセリングルームに潜入
手塚と由佳子を引き合わせる

協力者の登場

描写例

 あなた方が今後の動向を決めた時だ。
 駐車場(あるいは別の場所)のあなたたちに、話しかけてくる眼鏡をかけた男がいる。
 男は眼鏡を外すと、男は名乗る。

「どうも、探偵をしております。幸原と申します。…実はさっき会ってますけどね?」(最初にすれ違う患者は彼の変装である)
「俺はあの病院、じゃなくてカウンセリングルーム調べてるんですよ。依頼人については明かせないけど」

「あそこで、お茶を出されませんでしたか? ハチミツの入ったという。…そのハチミツ、ゆずってもらえませんか?」
「俺は頼んだけど、もらえなかったから…」
「ああ、あなた方も、もらえませんでしたが。困りましたね。やっぱり忍び込むしかないのかな」

「とはいえ、前も忍び込んだんですけどね。その時は庭まででした。
 …私ね、こっそりとあの屋敷の庭調べたんです。ものすごく高い塀があって、面倒だったんですけど」
「ケシがありました」
「はい、アヘンの材料。…それをね、通報してみたんですよ。匿名で」
「…まだ営業してるし。たぶんまだ育ててますね。…作った除き穴はふさがれてましたけど。ふさぐのはやましいからですよね。やましくなきゃふさがないでしょ」
「もうこれはケシだとわからなかったですぅ、ってパターンじゃない。…そこにきて【妙に治りすぎる人】ですよ。あやしいったらない」
「あやしいし…気になるじゃないですか。ちょうど明日、集まりに行くとありましたし…。…夜に忍び込む予定です」
「良かったらご一緒しませんか?」

「…ここまで明かしたのは、協力してほしいんですよ。警察が頼れないとなると、色々と怖いので」
「依頼料とかは出せないけど。…ボランティアとかで」

 ニコニコと笑っていた幸原は、そこまで言って黙り込む。
 黙り込んだ表情は真剣そのもの。彼が仕事に真剣に取り組んでいることが分かる。

KP向け補足: 幸原はHO1にとって都合の良い協力者だ。
星の精に対する戦力が十分でも、KPが望むのならば出してもいいだろう。
基本的に善良で、探索者的な人物である。

このタイミングで彼ではなく山尾下を出すこともできる。
彼もまた、表の顔は雪原と同じ探偵なので、上記のようなことをHO1に説明する。
PLが武力行使を好むのであれば山尾下の方が適切だが、彼がいるとEDが誘導されてしまう面もあるので、おすすめはしない。もしもHO1しか来なかったときの代勘案のようなものである。

星の精の襲撃

 探索者たちが昼間のうちに1階物置に侵入することを選び、機械修理などでカギを破壊した上で、全員が<幸運>ロールに失敗したのみ発生する。(鍵開けで開けた・あるいはなにかしらの方法でカギを破壊したことを隠蔽した場合は発生しない)
 夜に侵入するために準備をしている最中、最も幸運の出目が高かった探索者の元に、星の精が襲撃する。
 かぎづめ・かみつきのどちら一回した後は蜜谷の元に戻るが、KPとPLの出目によってはロストの危険性がある。

 KPはプレイ時間を短縮させたい・不要と判断した場合はこのシナリオ自体を削除しても構わない。
 色々とちょろい蜜谷だが、気づけばそれなりに命を狙ってくるというレアな確率の追加イベントである。
 いやあ、全員幸運失敗とか、そんなのめったにないでしょう!

由佳子への報告

描写例

 電話、あるいは呼び出しで由佳子にコトの次第を伝えるのであれば、彼女はつらそうな声を出す。

「…そっか。あの人に会えたの」
「様子は…やっぱりおかしかったのね」

 探索者たちが「あれは洗脳だった」と言ったとしても、彼女は曖昧に笑う。
 探索者たちが嘘をついているとも、おかしくなったとも思わないが、洗脳などそうそう簡単に信じられるものではない。
 とるべき態度を決めかねるように悩み、やがて弱音を吐き始める。

「約束したのに」
「あんなに約束したのにね…」
「どんな事情があるにせよ…あってもくれないなんて…。…少し、…見損なった、かな…」

 言いながらも、彼女は自身の指輪を見つめる。
 彼がしていたのとそろいのデザインのリングだ。
 洗練された彼女の服装には見合っていない、おそらくは少し若い頃に買い求めたと思わしきペアリング。
 彼女はそれに手をかけ、引き抜こうとし…そのまま小さく泣き始める。

「あってもくれない男に、もう未練はない。…けど、ごめんなさい、少し…泣きたくて」
「どうしてこうなちゃったんだろう…」

 しばし涙を流した彼女は、落ち着けば「帰る」と口に出す。(電話を切る)
 彼があの状況な限り、2人の状況は好転しないだろう。

 KP向け補足:ちなみに、彼女に蜜谷カウンセリングルームに侵入することをばらすと、とても心配して止める。
 一緒に潜入しようというならば、ついてくる。
 戦闘技能はないので、連れて行っても足でまといになる確率が高い。
 基本的に生真面目な人なので、探索者たちが危ないことをするならば、当事者である自分が家でぬくぬくはしていられないと考える。
 だが、一緒に潜入した結果、途中で怪我をしたり、交渉をふれば、黙って探索者たちの帰りを待つ分別も持ち合わせている。
 なんにせよ、話すと面倒なことになるのでそれとなく早めに話を切り上げた方がKPは楽だと思う。

手塚に働きかける

 手塚の実家の場所は由佳子が知っている。

 由佳子は探索者に誘われるならやってくる。
 そうでないなら、未練を断ち切るために来ない。

 実家のドアベルを鳴らすのであれば、手塚はのろのろと出てくる。
 あなた方を見ると、悲しげな顔をする。

 彼は暗示にかかっている状態なので、自発的に由佳子と会いにいくことはできない。
 つれていくならば物理的に連れていくか、由佳子に会うという言葉を使わずに待ち合わせ場所に連れ出すことだ。
 由佳子の名前が出てしまえば、彼は自力ではいけなくなる。交渉技能に成功しようとも、だ。
 逆に彼女の名前を出さずに誘うならばあっさりと出てくる。醸造酒は本人の性格までは変えない。彼はこの実家を出たいのである。

 しかし、醸造酒を持っていない状態で彼に会ったところで、事態は好転しない。
 「治療をしたほうがいい」「マトモな病院に行け」といっても無駄だ。ただ、力づくで病院に連れ込み、検査を受けさせるのならば「おかしな様子だから検査入院」となり、夜の潜入が終わるまで検査をされている。
 この場合「未知の薬物反応が出た」ということで両親の元から引き離される。その病院に醸造酒を提出すれば、解毒剤が作られ、彼の回復ルートに入る。
 力づくで成人男性を病院につれていくことに必要な技能・ロールについてはKPに一任する。

蜜谷カウンセリングルームへ潜入

*探索者が3名で来てくれていることを前提に描写します

 あなた方が蜜谷の屋敷にやってくると、塀の上に見える2階には電気がついていないことがわかる。玄関から見る限りは、誰もいないようだ。
 侵入経路は3つ。
 住居用の扉を鍵を突破して侵入する。(扉の耐久:5)
 患者の面会スペースの玄関を突破して侵入する。(扉の耐久:5)
 塀をなにかしらの技能でよじ登って潜入する。

 塀をよじ登る際は、<登攀>ロールが必要になる。
 誰かひとりが成功すれば、残りはロープなどを伝い自動成功にすることが可能だ。
 その他、KP裁量で適切だと思う技能があればどんどん採用してほしい。

 壁の高さは5M。3mを超えるごとに落下ダメージが1d6入り、3mの端数の場合も1d6ダメージ入る。
 このことから、登攀失敗のダメージは1d6でよいのではないかと思う。
 登り切ってから何か知らんけど落ちたという場合は、容赦なく2d6をどうぞ。
 登り降りを一度の成功ですませるか、2回の成功を求めるかはKP裁量にお任せする。
 が、シナリオ作者は1度で済ませている。この後大ダメージの可能性があるので。

中庭

 庭に入ると、芝生が広がっている。
 そして、ビニールハウスが隠されるようにして設置されている。

 中を見るならば、ケシの花が栽培されている。
 撮影し、写真を見せれば、あるいはここの違法性を証明できるかもしれない。(実際は警察に行ってももみ消される。マスコミ関係探索者がいるならもみけされないか幸運ロール)(HO2が山尾下に写真を渡せばそれで依頼達成)
 また、こちら側から見ても、明かりの漏れている窓はないことが分かる。どうみても活動している人間はいないようだ。

1階

【施設内・1F:カウンセリングルーム・トイレ・物置・2Fに続く階段】

 施設内は暗く静まり返っている。
 目が慣れてくればなにがあるか程度は分かるが、窓のない1Fの探索をこのまま行うのであれば、懐中電灯など必要になるだろう。
 (電気をつけることはできる。デメリットもない)

カウンセリングルーム

 昼間と様子は変わりはない。
 ただ、テーブルのわきのワゴンに乗っていたティーポットと、そのそばに合った黄金色の液体入りのビンはどこを探しても見当たらない。

本棚

 近くに行くと、医学書やカウンセリング関係の本にまじって英語の書物が多いことに気づく。
 <英語>に成功すれば<ネクロノミコン>という本が奇妙に印象に残る。(失敗で開示される情報はNecronomiconだ)

不完全なネクロノミコンの写本

キパコン32P、ペーパーブックス版ネクロノミコン。のさらに写しといった程度の不完全な写本だ。
厚さは同人誌程度。同人誌型ネクロノミコン。ラテン語ですらない。蜜谷の教団が信者に配る聖書のようなものである。

手に取り、流し見する程度ならば「正気度喪失0/1d3」「神話技能+1」
研究するのであれば、1週間の時間と英語の成功が必要。
内容はニャルラトテップを知恵の神としてたたえている。(神話技能+1)
この時点で探索者が望み、INT*3に成功したのであれば「ニャルラトテップとの接触」を習得できる。(神話技能さらに+1)

KP向け補足:この本を入手してもシナリオ攻略の役には立たない。読む必要はない。蜜谷があきらかにヤベエとPLに自信を持ってもらうためにおいてあるフレーバー情報である。

 机の上に、気になるものはなにもない。
 ただ、ぴたりと閉じられた引き出しから、赤いなにかがのぞいているのが気になった。

手に取って、博物学・薬学・医学・その他KPが麻薬に関すると判断した技能
→ケシの花びらのように見える。園芸種ではない。麻薬が生成できるものであるようにも見える。

 KP向け補足:蜜谷は引き出しにケシの花びらがひっかっていることに気づいていない。気づいても気にしない。
 枯れたケシの花を見るだけで麻薬と関連付けるのであれば、その人間もまたマトモな人間ではないと思っているためだ。
 この町の警察上層部には彼女と同じ教団に所属する警察官がいるので、警察も怖くない。
 やくざとつながっている(実際はやくざの反乱分子だが)と思っているため、そちらの手も考えない。
 ともかく慢心している女である。
 「こいつもしかしたらちょろいんじゃないか」とPLに思ってもらえるようにロールしてほしい。この一連の流れは彼女のちょろさを確信してもらうための布石である。

1F物置

 あなたが扉を開けると、段ボールがみっちりと詰まった物置が目に入る。
 さほど誇り臭さはない。定期的に掃除されているのだろう。壁際には書類棚がある。
【探索可能箇所:物置全体・書類棚】

物置全体に目星あるいは幸運
→PLが必要とするものがKP裁量で出てくる
書類棚に目星あるいは図書館その他KP裁量
→通常の顧客名簿と、奇妙な顧客名簿がある。

通常の顧客名簿

カウンセリングに来ている人間と、回数。
その他、このカウンセリングルームの経営に関する情報がまとめられている。
<経理>に成功すれば通常のカウンセリング業務のみではこの施設が維持できないであろうことが分かる。

奇妙な顧客名簿

顧客と思わしき人間の名前と、注文された品物の合計金額がまとめられている。
どうやら直近1か月分のようだ。
おそらくは一か月分が最小の単位だが、なんの品物なのかは書いていない。
また、カウンセリングに来ている患者の名前ではないようだ。

・〇山×太 1か月分 10万
・〇田×子 2か月分 20万
・〇原×三 3か月分 30万
・手塚千一 1か月分 10万
・〇川×也 1か月分 10万

由佳子に確認するなら、手塚千一は手塚万作の父である。 また、<知識>他KPが適切と判断した技能に成功すれば「〇川×也」が最近ニュースで防犯訓練の演説をしていた、警察の高官であることに気づく。

トイレには何もない。2Fにあがる階段も特に何もなく、無事に上ることができる。

2階

【施設内・2F:手前の部屋・真ん中の部屋・奥の部屋・物置】

 廊下を上がると、誰もいない。
 廊下には窓がないので、探索に必要な技能を振る際には、1階同様懐中電灯などが必要になる。
 そして、KPはここで強制で<聞き耳>を振らせてほしい。

聞き耳成功
→どこからかくすくすという声が聞こえるような気がした。
(星の精の声だ。醸造酒を盗むまでは襲ってこない)

手前の部屋

描写例

 手前の部屋に入ると、誰かの私室のような印象を受ける。
 窓際にベッドがあり、本棚があり、衣装だながある。
 小物の類はない、そっけない印象の部屋だ。

【探索可能箇所:ベッド・本棚・衣装棚】

ベッド

 ベッドを調べても、怪しいところはない。
 ただ、ベッド横には革張りの大きな箱がある。蓋がついており、開けることができる。
 大人が両手を広げた程度の幅と、子供が入り込めそうな高さがある大きな箱だ。

 開いてみるならば、大きさの割になにも入っていないことが分かる。

 蜜谷が「消失」で戻ってくるときのための箱だ。箱に呪文をびっしりと書いて、皮で覆ってアンティークな置物チックにするという手間のかかった偽造がしてある。
 これを壊されても、彼女は1Fの物置に同じものを作っているのでラストの流れは変わらない。ただ気味が悪いだけの箱なので、不要と判断するのであれば省略しても問題ないイベントだ。

本棚

 近づいて調べても、神話的に怪しい書物はなにもない。
 ただ、薬物に関する書物が多いように思える。

衣装棚

 おかしなものは入っていない。
 上質なもののように思える。(値切り・経理・変装などで高価な衣装であることは分かる)

真ん中の部屋

描写例

 手前の部屋同様に窓がある。
 ただ、家具は一つもない。清潔に保たれているので、掃除はされているようだ。ただの空き部屋なのだろう。

KP向け補足: この部屋は蜜谷が熊を解体するのに使っている。ビニールシートをひいて、地道に解体している。
聞き耳や薬学で消毒液の香りなどを漂わせてもいいかもしれない。

2F物置

描写例

 それは窓のない物置だった。
 ダンボールがぎっしりと詰まった、何の変哲もない物置に見える。

 ここでは最大二回の<目星>がふれる。

ダンボールに向って<目星>あるいは<幸運>
→KPが「物置にあっても良い」と判断したものが出てくる。(一人一回まで)
「武器や防具以外のものを探したい」「蜜谷がなにをしているか知るためのモノを探したい」と宣言した探索者の<目星>
→成功で、段ボールが一つわずかに空いていることに気づく。
 それを開くのであれば、そこにはクマの生首が入っている。

 クマの生首は、ビニール袋に覆われているため、匂いはない。
 ただ、どんよりと濁った瞳は探索者をじっと見つめ、無念を示しているかのように思えた。
 なぜ、こんなものがここにあるのか。その疑問と相まって、うつろな瞳は嫌に不気味に見える。
【正気度喪失:0/1d3】

KP向け補足: この部屋は蜜谷が醸造酒を作る道具や、日用品をしまっている物置だ。
クマの生首は内臓をとった残り。真ん中の部屋で解体して、不要な部分をここにしまっている。
事前情報にある頻繁に出入りしているトラックは、この生首を回収したり、新しいクマを運んできたりしている密漁業者だ。
わざわざ自宅で解体している理由は「新鮮であればあるほど良い」からである。案外地味に頑張ってる。

奥の部屋

描写例

 窓の一つもないそこには、なにかを生成する部屋のようなものだった。
 部屋の奥には大きな棚があり、テーブルの上にはなにかが置かれている。

【探索可能箇所;奥の棚・テーブルの上】

テーブルの上

 それは試験管にはいったなにかや、薬品の瓶にはいったなにか。その何かの隣には、クーラーボックスがある。
 クーラーボックスをあけるのであれば、中に詰まっているのは、なにかの油であり、なにかの薬品であり、クーラーボックスの中身は内臓だ。

 テラテラと血が滴るような、ひどく新鮮な様子はあなたの背筋を冷たくする。
【正気度喪失:0/1】

試験管の中身やクーラーボックスにKPが適切だと判断した技能を成功させる

 試験管の中身はケシのヤニ(樹木の分泌する粘液。また、その固まったもの。樹脂)だ。(博物学など)
 薬品の瓶には違法薬物が入っている。(医学・薬学など)
 内臓はクマの新鮮な内臓だ。(生物学・博物学・サバイバル山など)

奥の棚

 奥の棚には、かぎがついている。(鍵の耐久は8)
 鍵開けや破壊で開くのであれば、ぎっしりと瓶が入っている。
 黄金色の液体がつまった瓶だ。

もしも瓶に神話技能を成功させたのであれば、これがなにか神話的な酒であることが分かる

ファンの醸造酒の製法(キーパーコンパニオンP88)

 詳しいことはキパコンの著作権の観点から省略する。
 本シナリオで大切になるのは、この醸造酒があれば対象の行動・態度をある程度操れることだ。
 食料に混ぜてしばらくすれば、犠牲者の遺志を侵食する。
 飲まされた時点である程度術者命令を聞くようになってしまう。
 同時に、2,3週間かけて醸造酒をのませられる度、犠牲者は操る人の視点や考えに染まることになる。
 (本シナリオでは蜜谷が口頭で教える呪文を唱えながら対象に飲ませれば、魔術師でなくとも暗示がかけられる。手塚万作の場合、術者は父である)

 そして、あなたがそれら調べていると、くすくすと笑い声が聞こえる。
 どこからか聞こえる、気味の悪い声だ。
(どこからきこえているのかはわからないが<聞き耳>成功でどこかわかり、攻撃を加えることができる)

KP向け補足:  KPはこの時点でPLに「この瓶をどうするか」を確認してほしい。
 この部屋から醸造酒を持ち出そうとした時点で、星の精との戦闘が発生する。
 醸造酒を手に取った時点でクスクスと笑い声が大きくなるなどの警告をいれてもいいだろう。

 なお、星の精は「醸造酒を持った人間のみを攻撃する」
 探索者がこれに気づいて醸造酒を途中で「捨てる」「投げる」「<隠す>に成功する」などの行動をとった場合、星の精との戦闘は終了する。
 →逃亡に成功した場合
 探索者が瓶を放棄したように見えれば、星の精は追ってこない。醸造酒を持っているならば、施設を出ても追ってくる。
 「廊下に出たら醸造酒を投げる」「次のターンで蹴って拾っていない風で玄関まで持っていく」…などを試みる場合は、瓶の耐久的な意味で幸運を要求しても面白い気がする。
 テストプレイでは塀を活用して2Fからの脱出を図った探索者たちがいた。危険はあるが、それに見合った利益がある天才の発想だと思った。
 2Fから塀に移るためには<跳躍>などを要求している。
 2Fから落ちた時の距離は6Mである。

 なお、探索者が醸造酒を確保できなかった時点で、醸造酒の解毒は基本的にできなくなる。
 探索者の生死に関係はないが、手塚万作は暗示をかけられたまま一生を過ごすことになる。
 術者の死亡でも暗示はとけるが、彼に術をかけているのは蜜谷ではなく手塚の父であるためだ。誰かが手塚の父を殺すならば問題なく暗示は消える。

 この戦闘の終了条件は「3R経過する」「醸造酒の放棄」「醸造酒を持った探索者の死亡」「星の精の打破」の4通りだ。
 もちろん、KPとPLが適切だと思った場合は、適宜改変していただきたい。
 もしもこの屋敷から逃亡する場合、醸造酒を持った探索者以外は「2Fから1Fに行くまで1R」「1Fから入口まで行くまで1R」の計2回のDEX*5成功で屋敷から出ることができる。
 星の精にロックオンされている探索者も同様に逃げることが可能だが、外に出てもついてくる。

星の精の襲撃

 醸造酒を持ち出した探索者(複数の場合はchoice)は強制<聞き耳>ロールが発生する。
 成功で回避・幸運のいずれかを半分でふる。
 失敗した場合は<かみつき(80%)>のダメージが入る。(回避に失敗した場合も同様)

 失敗した場合はそのまま通常のDEX順に逃走なり攻撃なりを続けてもらいたい。
 不可視の状態で攻撃を加える場合、攻撃の技能成功の上で「幸運に成功」あるいは「聞き耳に成功する」必要がある。

 以下、2通りの描写を記載する。

星の精の噛みつきが成功した描写

 あなたの肩に、鋭い痛みが走る。
 引き寄せられるように振り向いてしまったあなたは見るだろう。

 何者かハッキリしなかった輪郭が、赤く鮮やかに浮かび上がる。
 あなたの血を吸い上げ、無数の触手がうごめく様が。

 全体的に赤く、赤い滴が滴っていた。脈動しうごめくゼリー状の塊、触手の塊のような胴体があり、その付属器官の先端には口がある。
 犠牲者の血を欲しがるように、パクパクと開け閉めを繰り返す。

【星の精を見たことへの正気度喪失:1/1d10】

 その血を吸い上げる化け物は、クスクスと鳴きながらあなたに近づいてくる。
 血を吸い知覚できるようになったそのバケモノは、あなたに敵意があるようだ。
 これより戦闘開始になる。

星の精の噛みつきが失敗した描写

 あなたが危機を感じて身をひるがえすと、なにかがあなたの肩をかすめた気配があった。
 なにか、ムチのような、細長いものがあなたの肩を狙っていた感覚がある。
 そこを見ても、なにもいない。  ただ、先ほどから聞こえるクスクスという声だけが大きくなっていく。

【不可視の攻撃を受けたことへの正気度喪失:1/1d10】

 その不可思議な感覚は、あなたの胸を冷たくする。
 これより、不可視の化け物との戦闘・あるいは逃亡に入る。

星の精・不可視の吸血鬼(基本P190)

吸血・命中率の描写は基本ルルブ190ページに準拠する。
星の精を見る・攻撃を受けたことへの正気度喪失:1/1d10

ステータス

 STR:26  DEX:9  INT:10 アイデア:50
 CON:13  APP:14  SIZ:26  H P:20
 回避:dex*2  ダメージボーナス:2d6
 装甲4(重火器は半分)
 耐久20

 本シナリオでは難易度調整の意味で「星の精に1ダメージでも入れられた場合、噛み付きを解除」としている。探索者たちのSTRを合算した対抗で出ることも可能だ。そのあたりはPLとKPで相談しつつ決めてほしい。
 星の精でどの程度まで探索者を追い詰めるかは、KP裁量にお任せする。
 また、探索者の技能によって星の精のステは変動させて構わない。その場合、蜜谷が上手に召喚できなかったといった処理が妥当だろう。

schoice[かぎ爪,噛みつき]
sccb <= 40 [かぎ爪]
1d6+2d6
sccb <= 80 [噛みつき]
1d6 「STR消失」

 醸造酒を入手してから3R経過した時点で、消失により自室に戻り、争いの音を聞いた蜜谷が行動を始める。
 このタイミングで星の精が「手前の部屋」に撤退する。(あるいは、探索者たちの元に蜜谷がやってくる)

描写例

 探索者たちと顔を合わせたならば、彼女はニコリと笑い、語り始める。

「まあ、なにか探っているとは思いましたけど…ふふ、よく生きていましたね」
「ああ、あの酒? そうですね。魔法のお薬ですよ」

「飲ませた相手を戻す方法? さあ。知りません」

「でも、戻す。戻す。戻すですか。素敵ですね。でも、それって、あなた方がここで死ぬほどに大切なもの? そんなにも意味があるもの?」

「薬物一つ、人の言葉一つ。それだけで揺らぐ信念や人格に、なんの意味があるの?」
「それをいじればこんなにも確かなものが…力とお金が手に入るの。―――それって、素敵なことじゃない」
 ニコニコと語る表情には正気がある。理性がある。
 あきらかに歪んだ意志で、彼女はあなたたちに笑いかける。クスクスと。
 話し合いが通じる相手ではないことは明らかだ。
(このタイミングで飛び道具を宣言するのであれば、不意打ち判定)

「さあ、それを置いて、帰ってくださいな。そうすれば、命は助けてあげますよ」

 ここで探索者が断るのであれば、彼女は再び星の精をけしかけてくる。彼女自身が攻撃はしない。回避もしない。星の精に絶対の信頼を置いているためだ。
 けしかけられた星の精は、やはり醸造酒をもった探索者を狙ってくる。ただし、蜜谷をかばうことはしない。

 この戦闘の終了条件は「星の精を打破する」「蜜谷が死亡・気絶する」「探索者が降参・死亡する」の3通りだ。
 蜜谷はお金が大好きだが、さすがに買収はできない。交渉技能1クリならば仕方ないと思うが。
 また、3R経過する前に星の精を打破した場合、彼女は登場しない。星の精を打破する人間に自分が勝てるとは思わないためだ。
 探索者が醸造酒を手にせずに逃げた場合も深追いしない。警察とヤクザにつながりがあるので、ともかく慢心しているためだ。
 ただ、ヤクザの方は正確には「現組頭にたてつく勢力」だ。HO2が彼女がケシの花を育てている事実を報告するのであれば、名木原組による報復が待っている。

逃亡に成功した場合

 隠す技能などで星の精との戦闘を回避した場合、星の精は追ってこない。
 ただ、探索者が施設から脱出したタイミング(あるいはKPが3R経過と判断した場合)2Fの手前の部屋に蜜谷が戻ってくる。
 彼女は自室に電気をかけ、探索者たちの車・姿などを<目星>する。
 蜜谷が<目星>に成功した場合、続けて彼女の<図書館>が発生する。
 その場合「車を所有した探索者またはNPC」あるいは「幸運ロールを要求し、最も出目が悪かったもの」にED前に星の精がやってくる。(時系列としてはHO2の報告→名木原の報復→星の精の襲撃→蜜谷の死亡・生死不明により星の精が消滅・あるいは彼女の元に帰還)となる。
 戦闘処理を行うか、なにかしらのイベント処理で済ませるかはKP裁量にお任せする。

 なお、施設を脱出時火を放つなどすれば星の精・あるいは蜜谷は焼失する。探索者たちは安全に帰ることができる。

ED分岐

 蜜谷カウンセリングルーム脱出後は、それぞれ好きに行動できる。
 通報すれば警察がくる。蜜谷を警察に引き渡すのならば、その時点では取り調べを受けることになる。
 蜜谷をその場で名木原側に引き渡すならば、確定で死亡する。

 蜜谷の生死については「蜜谷のその後」にて記載する。
 HO2のED例は「HO2への報酬」にて記載する。
 以下EDの分岐は、手塚にどう働きかけるかで変わってくる。

醸造酒を確保したうえで手塚と話し合いの機会を設けた
手塚に会いに行ったが醸造酒を確保していない・警察に渡した
手塚万作を確保する前に、両親になにかしらの働きかけを行った
報酬の都合上、ED名を便宜上HO1と2で分けているが、HO1のEDに2が同行することは可能である。

蜜谷のその後の処理

 蜜谷が気絶し、HO2にゆだねた場合、彼女の生死はHO2にゆだねられる。教団は助けに来ない。
 蜜谷が死亡し、HO2が山尾下に連絡をとるのであれば、その死体は名木原所有の山に埋まる。追及はない。

 蜜谷が死亡し、それを警察に告白するのであれば、探索者たちは殺人の容疑がかかる。
 …が、数日の取り調べの後、解放される。
 蜜谷妃という人物は、事件性のない事故死をしたことになる。探索者たちの不法侵入がとがめられることもない。
 これは「蜜谷カウンセリングルームに警察が入ること」で困ったことになる警察上層部の圧力だ。

 探索者の元にマスコミがやってくることも、それ以上追及されることもない。
 警察の取り調べを受けたという事実のみが残ることになる。(KP裁量で信用を下げさせる後遺症が入るかもしれない)

 蜜谷を確保し、警察に引き渡した場合、彼女はまず警察病院で治療と精神鑑定を受ける。
 その後、妄想の気があるとしてしばらく警察病院に収容される。(このタイミングで探索者が愛に行くことも可能だ)
 そして、さらに数日後。
 彼女は「妄想によりあることないことを言いふらす、おかしな人間」として釈放される。
 これも「蜜谷カウンセリングルームに警察が入ること」で困ったことになる警察上層部の圧力だ。
 そのうえで、名木原組に彼女がケシを栽培していたことをばらしていないのであれば、別の町で顔と名前を変え似たようなことを繰り返す。
 HO2が依頼をこなしたのであれば、半グレ集団に襲撃され生死不明となる。

 その他、探索者が彼女の殺害を望むのであれば、適当に描写を追加してほしい。

HO2のED例

 HO2が山尾下に連絡を取るのであれば、彼はコトの顛末を聞いてくる。
 化け物に襲われたと聞いても、別に疑いはしない。どっかで神話事象に巻き込まれたことでもあるのかもしれない。
 彼に「ケシの花のハウス栽培の写真」あるいは「醸造酒の現物」を渡すのであれば、礼を言いながら報酬を支払ってくれる。
 蜜谷・あるいは探索者の死体が出ているのならば、彼が組御用達の山に埋める。

 彼に蜜谷の情報を渡した場合、後日蜜谷カウンセリングルームは襲撃される。
 人気のない屋敷ということで、タチの悪い不良グループに目をつけられ、強盗と放火の被害にあったという形で報道される。

 だが、HO2ならばその報道だけで分かることがある。
 その不良グループというのは、山尾下が付き合いのある半グレ集団であるということだ。
 蜜谷妃は襲撃時自宅にいたはずだというのに、行方知れずだという。
 彼女が生きているのか、影も形もないほどに焼けたのか。あるいは、名木原に確保され制裁でも受けたのか。
 それを知るすべはないだろう。(シナリオ上設定もしていない)

 また、HO2が山尾下に真実を語らずとも、彼はHO2を害したりはしない。報酬が支払わられないだけである。
 この場合蜜谷は襲撃されない。探索者たちが追加で動かないならば、野放しになる。

 あるいは、HO2が山尾下ではなく蜜谷と付き合いのあったヤクザと接触をとろうとするならば、それはとても困難だ。
 彼女と取引があったヤクザは「河神亮一」というヤクザなのだが。蜜谷が色々とチョロいことを危険視し、自分の情報は渡していなかったためだ。
 山尾下が「栽培の証拠があればどうにかする」と言っているのは嘘ではないが。彼は「誰が協力してるのかは分かってる。キッカケがあれば難癖付けて引きずり落とす」「キッカケなしで引きずり落としたのでは、角が立つ相手なので<調査をした>という実績が欲しい」のである。

   その他色々と想定される動きがあると思うので、KPは適宜描写を追加してほしい。
 醸造酒を着服してHO2自身が売り始めた場合は、商売がうまくいくかどうか判断できる技能を振ってほしい。

HO2・EDA報酬

生還報酬
 SAN値+1d6
追加報酬
・ファンの醸造酒を入手した:リスクを負って真実を追求したという意味で、SAN報酬+1(最終的な所有者はHO1でも同様)
・星の精を撃退した場合:神話生物を乗り越えたという意味で、SAN値+1d3
・星の精を目撃・あるいは攻撃を受けた場合:神話技能+1
・ファンの醸造酒を飲んだ場合:神話技能+1

HO1・EDA:醸造酒を確保したうえで手塚と話し合いの機会を設けた

 手塚と話し合う手段は「由佳子の名前を出さず探索者があいたいと連絡する」「実家で出待ちし、問答無用で連れて来る」の2択だ。
 手塚の両親を通しさえしなければ、彼は問題なく探索者についてくる。

 由佳子の名前を出さずに呼び出した上で、待ち合わせ場所に由佳子がいても帰りはしない。
 苦しそうに顔をしかめるだけである。

 以下は「手塚と由佳子を引き合わせた場合」の描写例である。

描写例

 手塚は由佳子から目をそらす。
 苦し気な顔であなた方の方を見て、言葉を絞り出す。
「…だから、俺は、由佳子にあってはいけない」
「理由なんてありません、だめなものはダメで、ダメ、ダメ、だから…。…ダメなものはダメなんだよ!」
 叫んでうずくまる彼の涙の理由を、今のあなた方ならば知っている。
 彼の精神をむしばむのは、例の醸造酒だ。
 ならば、解毒剤もまた醸造酒から作り出すことができるのではないだろうか?

 同じくつらそうな顔で手塚の背中を撫でる由佳子にそのことを提案するのであれば、彼女は知人の医者に相談してみるというだろう。
 その後の二人のことは、すぐにはわからない。
 ただ、無事にまっとうな医療機関にたどり着いた手塚は、少しずつ回復しているそうだ。

「より戻すかは、わからないけど」
「…だって、彼が勝手に思い詰めて、黙って危ないところに行ってしまうコトは、事実だったんだもの。そこまでおかしな両親だ、って聞かせてもらってたら…止めたもの」
「…最近ね、少しずつ彼の昔の話を聞いているの。…薬なんて盛られる前から、あきらかにおかしな両親じゃない。そんな話、最初から聞かせてくれてたなら…私、絶対止めたのに」
「でも、全部話すのが信頼ってわけでもないし……難しいわね。本当に」

「……でも」
「どうなったとしても、ありがとう」
「万作を助けてくれて、ありがとう」
 彼の近況を報告した由佳子は、ニコリと笑う。
 その左薬指には、未だペアリングがある。
 キレイに磨かれたその下に、新しい指輪が増えるのかどうかはまだわからない。

HO1・EDA報酬

生還報酬
 SAN値+1d6
追加報酬
・ファンの醸造酒を入手した:リスクを負って真実を追求したという意味で、SAN報酬+1(最終的な所有者はHO2でも同様)
・星の精を撃退した場合:神話生物を乗り越えたという意味で、SAN値+1d3
・星の精を目撃・あるいは攻撃を受けた場合:神話技能+1
・ファンの醸造酒を飲んだ場合:神話技能+1

HO1・EDB:手塚に会いに行ったが醸造酒を確保していない・警察に渡した

 手塚と話し合う手段は「由佳子の名前を出さず探索者があいたいと連絡する」「実家で出待ちし、問答無用で連れて来る」の2択だ。
 手塚の両親を通しさえしなければ、彼は問題なく探索者についてくる。

 由佳子の名前を出さずに呼び出した上で、待ち合わせ場所に由佳子がいても帰りはしない。
 苦しそうに顔をしかめるだけである。

 以下は「手塚と由佳子を引き合わせた場合」の描写例である。

描写例

 手塚は由佳子から目をそらす。
 苦し気な顔であなた方の方を見て、言葉を絞り出す。
「…だから、俺は、由佳子にあってはいけない」
「理由なんてありません、だめなものはダメで、ダメ、ダメ、だから…。…ダメなものはダメなんだよ!」
 叫んでうずくまる彼の涙の理由を、今のあなた方ならば予想できる。
 彼の精神をむしばむのは、例の醸造酒なのかもしれない。

 だが、それが手元にない今、あなた方にできるのは彼を適切な医療機関に連れていくことだけだ。
 彼の背中を撫でる由佳子の瞳から、一筋の涙が流れた。

 その後、まっとうな医療機関で入院する手塚は、いまだに繰り返しているそうだ。
 「自分は彼女に会ってはいけない」「早く家に戻らなければいけない」
 そうして面会を拒絶されたと、由佳子は困った声で告げてきた。
 その左薬指には、いまだペアリングがある。
 よくみれば細かな傷がつき、色あせたような指輪が。
 今はまだ、はまっている。

HO1・EDB報酬

生還報酬
 SAN値+1d6
追加報酬
・星の精を撃退した場合:神話生物を乗り越えたという意味で、SAN値+1d3
・星の精を目撃・あるいは攻撃を受けた場合:神話技能+1
・ファンの醸造酒を飲んだ場合:神話技能+1

HO1・EDC:手塚の両親と対決しようとした

 あなた方が手塚の実家に行き、万作と話し合う前に両親との話し合いの機会を設けるのであれば、玄関で父親が対応する。
 ただし、彼はどんな交渉技能にも応じない。
 交渉技能に成功した探索者には「彼が話し合いをする気などない」といった情報を渡していいだろう。
 なお、手塚の両親に心理学をふったのならば出るのは「自分たちが悪いことをしているなどと思っていない」「息子のために行動していると疑いもしていない」と出るだろう。
 彼らにとって息子は「聞き分けのない愚か者」「守ってやらねばいけない子供」「指導してあげなければいけない世間知らず」である。これを愛と描写するかはKPにお任せする。
 シナリオ作者は典型的な毒親だと思って描写している。
 近所の大人もそんなノリ。親戚一同はお察しな状態で正気を保ち脱出を図った手塚万作は、自分のできる限りのことをやっていた、誠実な青年である。本来は。

描写例

「あなた方は、以前もウチの息子につきまとっていたな」
「いや、失礼。急に仕事を辞めたんだ。心配もする。それは当たり前だ。申し訳ない。
 ただな、私たち親は同じような心配を、長年してきた。
 アイツが18でここを出た時から、考えないことはなかったよ。
 物の道理もわかっていない若造が、一人で生きていけるはずがない。だからここでキッチリと勉強させなければならない。それが親の義務。親子というものだ」
「私たちはあの子が心配なだけだよ。親だからな」
「親とはいくつになっても子供が心配だからな」

「だから、今ふせっているあの子を人に会わせる気はない。
 子供を守るのは、親の役目だからな」

 穏やかに微笑む男の瞳に、あなた方は既視感がある。
 あの夜の、蜜谷の瞳とよく似ている。

 正気のまま、理性があるまま人の尊厳を傷つけるのを是とする人間の瞳。
 こちらの絶対的な優位を疑わぬ、歪んだ意志の輝き。

「だから、今。誰にも会わせる気はない。お引き取り願おうか」

 強引に押し出されるま帰還するのであれば、万作はこの屋敷ではないところに幽閉されることになる(別の親戚の家であり、探索者たちでは会うことができない)
 それ以降、二度と接触することはできない。

 ここで強引に上がり込み、2階まで登れば、手塚に会うこと自体は可能だ。
 だが、彼は醸造酒により「自分はここにいなければいけない」という暗示がかけられたまま。
 連れ出したいのならば、力づくということになる。

 KP向け補足:両親を振り払い、力づくで彼連れ出し、病院に入れること自体は可能だ。
 だが、その場合探索者は手塚の両親から誘拐の疑いで訴えられる羽目になる。

 一度彼を病院に入れてしまえば、彼がまっとうな状態ではないことは分かる。
 両親の言い分だけが通るわけではない。
 しかし、彼らが息子に醸造酒を盛ったという事実もまた確認できない。
 探索者たちを訴えるにあたり、手塚の両親は醸造酒を処分する。違法性があるモノである自覚はあるからだ。
 手塚万作は「何者かにより薬物を盛られた人間」と言う扱いになる。

 そうなれば、彼の看病を両親がするというのは、なんら違法性があることではなくなってしまう。
 彼が精神的な虐待を受けていた物的証拠も、残念ながら、存在ない。

 このルートを選んだ探索者は【手塚の父親の法律70%】と任意の技能を対抗させることになる。(推奨:法律・言いくるめ)
 探索者が対抗で勝利すれば、手塚は両親から離され、治療されていくことになる。(それ以降の流れはEDAかBのいずれか)
 探索者が対抗で敗北すれば、手塚は両親のもとにとどまり、暗示がかけられたまま生涯をすごすことになる。

報酬

生還報酬
 SAN値+1d6
追加報酬
・ファンの醸造酒を入手した:リスクを負って真実を追求したという意味で、SAN報酬+1(最終的な所有者はHO2でも同様)
・星の精を撃退した場合:神話生物を乗り越えたという意味で、SAN値+1d3
・星の精を目撃・あるいは攻撃を受けた場合:神話技能+1
・ファンの醸造酒を飲んだ場合:神話技能+1