ある日、人形に懐かれた。嘘のような言葉だが、それが事実なのだから仕方ない。
こちらの袖をひく人形があまりに必死な目をしていたので。
つい、邪険にはできなかった。
…それが、半年前の出来事である。
以前の生活と変わったことといえば、やはり、口数が多くなったことだろうと思う。
「ただいま」
そんな言葉を口にする相手も、そいつが来るまではいなかったわけだから、…まぁ…今、幸せだと言える。
扉を開けるなりにこと笑ってこちらに駆けだしてきた身体を受けとめながら、そんなことを想う。
…最初はどうなることかと思ったけどな。養育費が高くて。…けれど、養わなければならないと思うと、仕事もはかどるのが不思議だ。頼られるのが好きだよね、と。そう評されることはあったけど、ここまで実感したのは初めてだ。
「今、ご飯にするよ」
腰のあたりに回された手をそっとはずしながら、微笑んでみる。…うまく笑えてるといいけれど。
なんて思いつつ眺めている間に、ベムはちょこんと座っている。
…可愛いよな。懐かれると、やっぱり。
…でも。
「…しかし、お前、大きくなってないか?」
不思議なことだ。成長しないと聞いていたのに。…いや、ミルク以外のものをやると、育つ、んだったな。
…やっていないから、やはり気のせいだろうか。
「………うん、気の所為、だよな」
恐らく、気の所為だ。
結論付けて、ミルクを片付けるために立ち上がる。
…この、さらに、半年後。
…うちのものこっそり食べていたらしい彼が育ってびっくりするのは――――…この時の私は考えもしないこと、だった。
思った以上に違和感ないので落ちを追加した。盗み食いに関しては…実際そういうことはないでしょうけどね。ベムだから。ベムはぽんぽん行動する子だから!みたいな。
…とりあえず書けば書くほど本篇のベムの間違いは最初から全力投球すぎてドンびかせたことなんだよなあと思いました まる。