夢のまにまに君の名を

概要

タイトル:夢のまにまに君の名を(作者:青月七日)シナリオ作者のサイトツイッター
条件:大切な人と死別した探索者。(時代は不問。ただし、現代以外の場合は適宜描写を改変してほしい)
推奨:戦闘が想定されている。1d3ダメージでも難易度が上がるだけで、生還自体はできる。
概要:KPがいなくてもテキセで遊べるさっくり30分〜1時間シナリオ。KPを置いたシナリオに改変しても問題ない。

 夢のまにまに君の名を。
 呼べたらどれだけ、幸いか。
 そんな思いを抱える誰かに向けたシナリオです。

 大切な人と死別(あるいは並行世界にしかいない等、どう頑張っても会えない)探索者向け夢落ちシナリオ。
 大切な人が幸せに生きる夢を見ることができます。夢を見るだけですが。
 夢の中なので、大切な人の中の人(PL・シナリオ作者等)は不要です。これは探索者だけの世界。
 後遺症はなし。大切な人への影響はなし。難易度は低めですが、戦闘によるロストが存在します。戦闘以外のダイスはあまり振りません。
 描写は各自探索者に合わせて変えてもらって問題はありません、サンプル文だと思ってください。
   サンプル文は「大切な人に幸せに生きてもらいたかった」人に寄っていますが。自分の手で不幸にしたかったとかでもシナリオに影響はありません。ただ、「自分の生死を左右するほどに大事な人」であることが前提です。
 大切な人が探索者のことを大切に思っている必要はありません。なんなら認識していなくても大丈夫。シナリオで左右されるのは探索者の生死のみなので、シナリオNPCが大事な探索者でも大丈夫!
 遊び終わって楽しかったら再配布なり改変なりお好きにどうぞ。作者名はどこかに明記してもらえると嬉しいです。

 終わったらログと公開してくれればいいのになと思います。
 でもこれ、ネタバレ多そうだな。シナリオ作者、下手に読めなそう。

シナリオ開始

導入

 あなたは大切な人を亡くしている。

 それは最近のことかもしれない。
 遠い昔のことなのかもしれない。

 どちらにせよ、あなたは思っている。

 大切な人だ。
 大切だった、と過去にできぬほどに。

 会えないことなど、分かっている。
 それでも会えるなら、どんなにか。

 どんなにか、つらいのか。
 どんなにか、しあわせか。

 そんな日々を過ごしている。

 その思いに支配されているのか、いないのか。
 どちらでも構わないが、おかしな噂を耳にしてしまう。


 そんな日々をすごしているから、聞き逃せなかったのか。

 あなたは一つの噂を耳にしたことがある。

『とある町には、やさしい蛇神様がいるよ』
『蛇神様はかなえてくれる』
『死人に会いたいという願いを、かなえてくれる』
『夢の中で、合わせてくれる』

 あなたがその噂にどんな感情を抱いているかは、この物語に関係はない。
 ただ。聞いたことがある。

 ことの始まりは、それだけだった。

シナリオ開始

 あなたが目を開けると、そこは満開の春だった。
 あなたの知る中で、あるいは想像できる中で、一等美しい春。

 そんな光景の中、背中が見える。
 その背中を見れば、分かる。
 それはあなたが喪った人。
 大切な誰か。

【正気度チェック…死んだはずのものに出会う 1/1d6+1】
こちらの処理には慣れルールが適応される。減少値をメモしてほしい。

 大切な人は振り返る。
 そして、あなたが想像できる、一等幸せそうな顔で笑う。

 その顔を見たことがあるかどうかなど、関係ない。
 ただ、あなたが想像できる「しあわせな顔」をする。

 その人は、あなたに話しかけるだろう。あなたが望むなら。その人の幸せに、あなたが不可欠だと考えているならば。
 その人は、あなたなど見えていないだろう。あなたが望むなら。その人の幸せに、あなたが不要だと考えているのであれば。


 その人は、あなたが望むままの「しあわせな姿」を見せる。
(ここでは探索者の気のすむまで「大切な人の幸せな姿を想像・描写してほしい」)

 あなたの目の前で、大切な人は幸福だった。
 その姿は、あまりに完璧で。幸せそうで。
 だから気づく。分かる。

 これは夢だ。
 無意識か、意識してか。思ってしまったから。
 会いたいと願った。
 生きてほしいと思った。

 だから作った夢なのだと。

 自覚した瞬間、体の中から力が抜けていく。
 精神力とでもいうべき、なにか。

【正気度:1/1d4減少 MP:1減少*このシナリオでは回復しない】
正気度がゼロになった…

 あなたはその夢を見続けたいだろうか。
 目を、耳を。ふさいでしまいたいだろうか。

 どちらにせよ、結果は同じ。

 首筋になにかが伝う感覚がして、目が覚めた。


 あなたが目を開けると、そこは燦々とした夏だった。
 あなたの知る中で、あるいは想像できる中で、一等明るい夏。

 そんな光景の中、背中が見える。
 その背中を見れば、分かる。
 それはあなたが喪った人。
 大切な誰か。

【正気度チェック…死んだはずのものに出会う 1/1d6+1】
こちらの処理には慣れルールが適応される。減少値をメモしてほしい。

 大切な人は振り返る。
 そして、あなたが想像できる、一等生き生きとした顔で笑う。

 その顔を見たことがあるかどうかなど、関係ない。
 ただ、あなたが想像できる「生き生きとした顔」をする。

 その人は、あなたに話しかけるだろう。あなたが望むなら。その人の喜びに、あなたが不可欠だと考えているならば。
 その人は、あなたなど見えていないだろう。あなたが望むなら。その人の喜びに、あなたが不要だと考えているのであれば。


 その人は、あなたが望むままの「生き生きとした姿」を見せる。
(ここでは探索者の気のすむまで「大切な人の活力あふれる姿を想像・描写してほしい」。夢をかなえたのかもしれないし、仕事に成功したのかもしれないし、趣味に没頭しているのかもしれないし、日常を楽しんでいるのかもしれない)

 あなたの目の前で、大切な人は生き生きと輝いていた。
 その姿は、あまりに完璧で。明るくて。
 だから気づく。分かる。

 これは夢だ。
 無意識か、意識してか。思ってしまったから。
 会いたいと願った。
 生きてほしいと思った。

 だから作った夢なのだと。

 自覚した瞬間、体の中から力が抜けていく。
 精神力とでもいうべき、なにか。

【正気度:1/1d4減少 MP:1減少*このシナリオでは回復しない】
正気度がゼロになった…

 あなたはその夢を見続けたいだろうか。
 目を、耳を。ふさいでしまいたいだろうか。

 どちらにせよ、結果は同じ。

 首筋になにかが伝う感覚がして、目が覚めた。


 あなたが目を開けると、そこは色あせた秋だった。
 あなたの知る中で、あるいは想像できる中で、一等寂しい秋。

 そんな光景の中、背中が見える。
 その背中を見れば、分かる。
 それはあなたが喪った人。
 大切な誰か。

【正気度チェック…死んだはずのものに出会う 1/1d6+1】
こちらの処理には慣れルールが適応される。減少値をメモしてほしい。

 大切な人は振り返る。
 そして、あなたが想像できる、一等悲しい顔をする。

 その顔を見たことがあるかどうかなど、関係ない。
 ただ、あなたが想像できる「悲しそうな顔」をする。

 その人は、あなたに話しかけるだろう。あなたが望むなら。その人の悲しみに、あなたが不可欠だと考えているならば。
 その人は、あなたなど見えていないだろう。あなたが望むなら。その人の悲しみに、あなたが不要だと考えているのであれば。


 その人は、あなたがイメージするままの「悲しむ姿」を見せる。
(ここでは探索者の気のすむまで「大切な人の悲しそうな姿を想像・描写してほしい」)

 あなたの目の前で、大切な人は悲し気だった。
 その姿は、あまりに完璧で。そこに生きているかのようで。
 だから気づく。分かる。

 これは夢だ。
 無意識か、意識してか。思ってしまったから。
 会いたいと願った。
 生きてほしいと思った。

 だから作った夢なのだと。

 自覚した瞬間、体の中から力が抜けていく。
 精神力とでもいうべき、なにか。

【正気度:1/1d4減少 MP:1減少*このシナリオでは回復しない】
正気度がゼロになった…

 あなたはその夢を見続けたいだろうか。
 目を、耳を。ふさいでしまいたいだろうか。

 どちらにせよ、結果は同じ。

 首筋になにかが伝う感覚がして、目が覚めた。


 あなたが目を開けると、そこは凛とした冬だった。
 あなたの知る中で、あるいは想像できる中で、一等静かな冬。

 そんな光景の中、背中が見える。
 その背中を見れば、分かる。
 それはあなたが喪った人。
 大切な誰か。

【正気度チェック…死んだはずのものに出会う 1/1d6+1】
こちらの処理には慣れルールが適応される。減少値をメモしてほしい。

 大切な人は振り返る。
 そして、あなたが想像できる、一等真剣な顔を見せる。

 その顔を見たことがあるかどうかなど、関係ない。
 ただ、あなたが想像できる「真剣な顔」をする。

 その人は、あなたに話しかけるだろう。あなたが望むなら。その人の人生の岐路に、あなたが不可欠だと考えているならば。
 その人は、あなたなど見えていないだろう。あなたが望むなら。その人の人生の岐路に、あなたが不要だと考えているのであれば。


 その人は、あなたが望むままの「これからのことを語る姿」を見せる。
(ここでは探索者の気のすむまで「大切な人が未来にしたいことがなんだったのかを想像・描写してほしい」それはささやかでも、重大でも「探索者のイメージ・あるいは聞いたことのあること」である。二人で交わした約束かもしれない。)

 その人は語る。これからのことを。
 春が過ぎ夏が過ぎ秋が過ぎ冬が来た。
 次はまた、新しい年だ。
 だからこれからの話をしたい、と。
 それを聞いているのは、あなたなのかもしれない。
 あなた以外のものかもしれない。

 けれどあなたは知っている。
 大切な人に「未来」はない。
 死んでいるのだ、これからなどない。
 これまでの夢よりも、暴力的に死を知らしめるその姿に、体の中から力が抜けていく。
 精神力とでもいうべき、なにか。

【正気度:1/1d4減少 MP:1減少*このシナリオでは回復しない】
正気度がゼロになった…

 あなたはその夢を見続けたいだろうか。
 目を、耳を。ふさいでしまいたいだろうか。

 どちらにせよ、結果は同じ。

 首筋になにかが伝う感覚がして、目が覚めた。


1日目

 あなたが目覚めれば、そこはいつも通り。
 不審なことなどなにもない朝だ。

 夢で見た光景ははそこにない。
 大切な人はこの世にいない。

 そのせいだろうか。ひどく、暗い気持ちになる。

 なにもかもが億劫だ。
 生きていることが、一番におっくうだ。
(これ以降、このシナリオでの短気の発狂は強制で「昏迷・胎児のような姿勢をとる」になる。基本ルルブに記載があるラウンド数後(数秒後)、行動可能。不定はシナリオ生還後に発症する)
 浮かんだ言葉がいつも通りなのかもしれない。あなたらしくないのかもしれない。
 ただ、ひどく憂鬱で。食事をとる気も、身支度を整える気も、なにもかもが憂鬱だ。
 鈍る視界の端で、何かを見た。

目星・マイナス50
成功
失敗

このシナリオ内での特殊処理
 MPはこのシナリオ内では回復しない。理由は生還後開示する。
 短期の発狂は「昏迷・胎児のような姿勢をとる」になる。基本ルルブに記載があるラウンド数後(数秒後)、行動可能。(不定はシナリオ生還後に発症する)

1日目・目星後

 視界の端で見た何かがなにか分かったかもしれない。分からなかったかもしれない。
 頭を振ると、重い気持ちは軽くなる。いつも通りのあなただ。
 なんにせよ、あなたは思う。
 ひとまず、今日、どう過ごそう?
 

特に何も調査しない
特定フラグが立てば選択可能…<分岐作業>を行う

「死者に会わせてくれる蛇神様」について調べたい(1日一回)
PLが適切だと思う技能(推奨:オカルト・図書館・コンピューター)
成功
失敗

2日目

 あなたが目覚めれば、そこはいつも通り。
 不審なことなどなにもない朝だ。

 夢で見た光景ははそこにない。
 大切な人はこの世にいない。
 ずしん、と頭のどこかが重くなる。

 暗い視界の端で何かを見た。

目星・マイナス40
成功
失敗

特定フラグが立てば選択可能…<分岐作業>を行う

「死者に会わせてくれる蛇神様」について調べたい(1日一回)
PLが適切だと思う技能(推奨:オカルト・図書館・コンピューター)
成功
失敗

このシナリオ内での特殊処理
 MPはこのシナリオ内では回復しない。理由は生還後開示する。
 短期の発狂は「昏迷・胎児のような姿勢をとる」になる。基本ルルブに記載があるラウンド数後(数秒後)、行動可能。(不定はシナリオ生還後に発症する)

2日目・目星後

 視界の端で見た何かがなにか分かったかもしれない。分からなかったかもしれない。
 頭を振ると、重い気持ちは軽くなる。いつも通りのあなただ。
 なんにせよ、あなたは思う。
 ひとまず、今日、どう過ごそう?
 

特に何も調査しない
特定フラグが立てば選択可能…<分岐作業>を行う

「死者に会わせてくれる蛇神様」について調べたい
PLが適切だと思う技能(推奨:オカルト・図書館・コンピューター)
成功
失敗

3日目

 あなたが目覚めれば、そこはいつも通り。
 不審なことなどなにもない朝だ。

 夢で見た光景ははそこにない。
 大切な人はこの世にいない。
 少しずつ、暗い気持ちが大きくなる。

 今朝も、視界の端で何かを見た。

目星・マイナス30
成功
失敗

特定フラグが立てば選択可能…<分岐作業>を行う

「死者に会わせてくれる蛇神様」について調べたい(1日一回)
PLが適切だと思う技能(推奨:オカルト・図書館・コンピューター)
成功
失敗

このシナリオ内での特殊処理
 MPはこのシナリオ内では回復しない。理由は生還後開示する。
 短期の発狂は「昏迷・胎児のような姿勢をとる」になる。基本ルルブに記載があるラウンド数後(数秒後)、行動可能。(不定はシナリオ生還後に発症する)

1日目・目星後

 視界の端で見た何かがなにか分かったかもしれない。分からなかったかもしれない。
 頭を振ると、重い気持ちは軽くなる。いつも通りのあなただ。
 なんにせよ、あなたは思う。
 ひとまず、今日、どう過ごそう?
 

特に何も調査しない
特定フラグが立てば選択可能…<分岐作業>を行う

「死者に会わせてくれる蛇神様」について調べたい
PLが適切だと思う技能(推奨:オカルト・図書館・コンピューター)
成功
失敗

4日目

 あなたが目覚めれば、そこはいつも通り。
 不審なことなどなにもない朝だ。

 ただ、体がひどくだるい。
 心が重い。
 今にも死にたいような、憂鬱な気持ちが強くなる。

   夢で見た光景ははそこにない。
 大切な人はこの世にいない。

 死んでしまえば、会えるだろうか?
 そう思った瞬間、視界の端になにかが入り込む。
 そこにいるのは、なにか、トカゲめいた生き物だ。
 トカゲのような、けれどどこか違和感のある生き物だ。
 これはいったい、なんだろう?

 分からないはずなのに、ひどい怖気に襲われる。
 正気が揺らがされる感覚に襲われる。

正気度喪失…謎の爬虫類の目撃・0/1d8
*二度目以降は慣れルールが適用される。

 あなたの目に映るのは、大切な人がいない現実と、怪しげな爬虫類。
 あるいは、その正体は予想がつくのかもしれない。
 あなたは、このまま目を閉じて、夢を見ることもできる。
 日常を過ごすことも、できる。
 調べ物をすることもできる。
 今ならまだ、好きなことができる。

・爬虫類の正体は分からないが、排除したい。
・爬虫類の正体の予想がついていて、排除したい。
・爬虫類正体の予想がついていて、排除したくない。

「死者に会わせてくれる蛇神様」について調べたい
PLが適切だと思う技能(推奨:オカルト・図書館・コンピューター)
成功
失敗

このシナリオ内での特殊処理
 MPはこのシナリオ内では回復しない。理由は生還後開示する。
 短期の発狂は「昏迷・胎児のような姿勢をとる」になる。基本ルルブに記載があるラウンド数後(数秒後)、行動可能。(不定はシナリオ生還後に発症する)

4日目

 あなたの目に映るのは、大切な人がいない現実と、怪しげな爬虫類。
 あるいは、その正体は予想がつくのかもしれない。
 あなたは、このまま目を閉じて、夢を見ることもできる。
 日常を過ごすことも、できる。
 調べ物をすることもできる。
 今ならまだ、好きなことができる。

・爬虫類の正体は分からないが、排除したい。
・爬虫類の正体の予想がついていて、排除したい。
・爬虫類正体の予想がついていて、排除したくない。

目星に失敗した

特に何も見えなかった。

1日目に戻る
2日目に戻る
3日目に戻る
4日目に戻る

目星に成功した

 そこには、トカゲめいた生き物がいた。
 トカゲのような、けれどどこか違和感のある生き物だ。
 これはいったい、なんだろう?

 分からないはずなのに、ひどい怖気に襲われる。
 正気が揺らがされる感覚に襲われる。

正気度喪失…謎の爬虫類の目撃・0/1d8
*二度目以降は慣れルールが適用される。

・そのままにする
1日目に戻る
2日目に戻る
3日目に戻る
4日目に戻る

・分からないが、排除したい。
・正体の予想がついていて、排除したい。
・正体の予想がついていて、排除したくない。

「死者に会わせてくれる蛇神様」について調べることに失敗した

ネット上にあふれる書き込みか、人からの聞き込みか。
あなたはある情報を目にする(誰かに教えてもらったのかもしれない)
「蛇は広く世界で信仰されている」
「死と再生のシンボルでもある」

見るからに今の事態には関係がない、オカルト的な一般知識だ。
1日目に戻る
2日目に戻る
3日目に戻る
4日目に戻る

「死者に会わせてくれる蛇神様」について調べることに失敗した(4日目)

 ネット上にあふれる書き込みか、人からの聞き込みか。
 あなたの調査は実を結ぶことはなかった。

 そのあと、あなたがネットサーフィン(あるいはテレビを見ている)をしていた時だ。 (ネット・テレビの無い時代ならば、噂話だ)
 一つの記事を目にすることになる。

見えざる蛇神信仰は、近年力を失った。
だから信者はいない。ただ、ちらばった蛇神が残っている。

それにつけこまれてしまったら、踏みつぶしてしまえばよい。

 その記事は、明らかに前後が抜けている。
 ただ、<見えざる蛇>という言葉が、奇妙に目に焼き付く。  あなたは思い出す。
 目覚める時、視界の端に。
 トカゲのようなものがいたということだ。
 否、今なら気づくことができる。
 その生き物は、ずっとそこにいた。
 今も、あなたを見ている。

 あれが<見えざる蛇>だと、なぜだか奇妙に納得してしまう。
 あなたの目にした、上手いわけでもないその文章が、「つぶしてしまえ」という言葉が、嫌に頭に残った。

4日目に戻る

・このまま排除したい。

「死者に会わせてくれる蛇神様」について調べることに成功した

ネット上にあふれる書き込みか、人からの聞き込みか。
あなたはある情報を目にする(誰かに教えてもらったのかもしれない)

T県の〇〇村には、見えざる蛇神様というものが信じられている。
蛇信仰はよくあること。ただ、不可視であるという属性が多少珍しい。
蛇神は現れる。その救いを求めるものだけに。会いたい死者に合わせてくれる。

ここで終われば美談だが、実はここには続きがある。
蛇神様は邪神。否、神ですらなく、兵器の類。有名な犬神、蟲毒、式神。そんなもの。
本来のは呪いの手段だったが、かの土御門の末裔により術者が滅ぼされ、術者の不名誉を隠すために「神を信仰していた」と上書きしたのだ。

見えざる蛇は死者に会いたいと思うものに、死者と会える夢を授ける。
そうして、その死者を死にいざなう。否、本来は「死人に会わせる」という性質はない。
さめたくない、実現不可能な夢を見せ、生気を奪いつくすことこそ、その蛇の本質だ。

なぜ不可視か。それは、怪異だから、ではない。

とりついた相手にだけ、その姿が見える。
犠牲者がその姿を見た時には、十分に生気を吸い上げ、恐ろしい姿をしているのだという。
この場合の恐ろしい姿とは、気味が悪いというわけではない。
取るに足らない、ただのトカゲの姿をしているのだという。暗殺兵器が恐ろしくないなど、これ以上ない恐怖だろう。
蛇神様の姿は残っていない。おそらく、隠蔽された歴史なのだ。
けれどここまでくれば、その姿が<東洋のドラゴン>であることは、間違いない。
伴天連の持ち込んだ呪いが、日本でかの大陰陽師の末裔に打ち取られるというのは、絵巻物のような話である。

見えざる蛇神信仰は、近年力を失った。
だから信者はいない。ただ、ちらばった蛇神が残っている。

それにつけこまれてしまったら、踏みつぶしてしまえばよい。
昔ならいざ知らず、今の『見えざる蛇』は殺せる程度の存在だ。弱らせて、踏みつぶせばそれまでだ。

 あなたはその話を信じるかもしれない。信じないかもしれない。
 ただ、一つ思い出すことがある。
 目覚める時、視界の端に。
 トカゲのようなものがいたということだ。
 否、今なら気づくことができる。
 その生き物は、ずっとそこにいた。
 今も、あなたを見ている。

 あれが<見えざる蛇>だと、なぜだか奇妙に納得してしまう。
 ここ数日の倦怠感も、死にたい気持ちも。すべてそれが原因だ、と。
 あなたの目にした、上手いわけでもないその文章が、嫌に頭に残った。

これ以降、朝の「何かを見た気がする」の<目星>は自動成功になる。

 この噂を入手した探索者は、今すぐ・あるいは朝に目覚めたタイミングでいつでも見えざる蛇を排除することに挑戦できる。
 見えざる蛇の排除のためには<分岐作業>を選択する。

1日目に戻る
2日目に戻る
3日目に戻る
4日目に戻る

・このまま排除したい。

謎の爬虫類との戦闘

 あなたは見つけた爬虫類を排除することを選んだ。
 すると、その爬虫類が震える。
 あなたの敵意を読み取ったかのように。
 あるいは、なにかを読み取ることなどないのかもしれない。
 ただの反射で、攻撃を返してくるのかもしれない。

 なんにせよ、黙って消えてくれるわけではないようだ。
 戦闘開始になる。

謎の爬虫類ステータス

能力値
STR:10
CON:6
SIZE:5
INT:3
POW:14
DEX:10
db -1d4
HP:3
MP14(+探索者が失った値)
回避:20%
攻撃手段(1d2で決定)
1:かぎ爪…15% ダメージ・1d6+db(-1d4)
2:噛みつき…25% ダメージ・1d6
装甲無し・回復なし

一度攻撃したのであれば、その爬虫類はあなたが倒れるまで襲ってくる。

戦闘に勝利した
戦闘に敗北した

見えざる蛇との戦闘

 あなたは見えざる蛇を排除することを選んだ。
 すると、その冒涜的な生き物が震える。
 あなたの敵意を読み取ったかのように。
 あるいは、なにかを読み取ることなどないのかもしれない。
 ただの反射で、攻撃を返してくるのかもしれない。

 なんにせよ、黙って消えてくれるわけではないようだ。  戦闘開始になる。

一度攻撃したのであれば、その爬虫類はあなたが倒れるまで襲ってくる。

見えざる蛇のステータス

能力値
STR:10
CON:6
SIZE:5
INT:3
POW:14
DEX:10
db -1d4
HP:3
MP14(+探索者が失った値)
回避:20%
攻撃手段(1d2で決定)
1:かぎ爪…15% ダメージ・1d6+db(-1d4)
2:噛みつき…25% ダメージ・1d6
装甲無し・回復なし

戦闘に勝利した
戦闘に敗北した

蛇神様を倒した

 あなたは見つけたトカゲめいた生き物を打ち倒す。
 そのタイミングで、日に日に衰弱していた精神とでもいうべきなにかが軽くなる。

 それがなにであるのか。
 あなたは知っているのかもしれないし、知らないかもしれない。あるいは、納得はしていないのかもしれない。
 ただ、確かな事実が一つ。
 あなたがあの「大事な人の出る夢」を見ることはない。
 見たとしても、それで体が重くなることはないだろう。
 果たして心が重いか、軽いか。
 それはあなただけが知ることである。

END1…そうして同じ朝が来る
生還報酬…神話的恐怖を排除したことにより、SAN値+1d5。神話技能+1
シナリオ背景

蛇神様に敗北した

 あなたはその生き物に勝つことができず、意識を失う。あるいは、命を失う。
 ゆっくりと、瞼が落ちる。
 瞼が落ち、再び開くと。そこには―――
 大切な人がいた。

 これは夢だ。
 死の間際の、消えるまでの。
 あなたはなぜかそれが分かった。
 そこから覚める日は、来ないことも。

END2…夢のまにまに死者の国
気絶・死亡ともに探索者ロスト。ただし、状況で死亡した探索者は、蛇神様により「ぎりぎり生かされる」
その上で、MPが尽きるまで昏睡状態が続く。
眠ったままの探索者は「蛇神様の奴隷」だ。
蛇神様はロイガーをもとにしたオリジナル神話生物。探索者は昏睡が続き、残りMP日後、原因不明の病・衰弱に犯され、死亡する。
シナリオ背景

トカゲを排除しないことを選択した

 あなたは夢を見続けることを選択し、おかしな生き物に攻撃を加えることはしなかった。
 幸福な夢を見たまま、眠りについた――

<幸運>の判定を行う。
…成功
…失敗

幸運に成功した

 あなたは夢を見続けることを選択し、おかしな生き物に攻撃を加えることはしなかった。
 幸福な夢を見たまま、眠りについた――
 ……はずだった。

 けれど、気づけば病院だった。
 聞けば、あなたの住む場所は火事にあったのだという。
 眠るあなたは、幸運にも救出された。

 そしておそらく―――…
 その火事で、あのおかしな生物は燃え尽きたのだ。

 あなたは、大切な人がいた。
 その人の夢を見ることは、今後もあるかもしれない。あるいは、ないのかもしれない。
 ただ、見たとしても。
 その夢があなたの命を吸い上げることは、ひとまずはないのだろう。

END3…夢はそうして燃え尽きた
生還報酬…特になし
あなたは困難に挑んだわけではなく、幸運に恵まれただけなのだから。
ただし、このシナリオで失ったMPはシナリオ開始時点に戻る。
シナリオ背景

幸運に失敗した

 あなたは夢を見続けることを選択し、おかしな生き物に攻撃を加えることはしなかった。
 幸福な夢を見たまま、眠りについた。

 あなたが目を閉じて。もう一度開けるなら。
 そこにはあなたが望んだままの「大切な人」がいる。

 もう永久に、その姿を失うことはない。
 あなたがあなたのままに目覚めることは、二度とないのだから。

END4A…夢のまにまに君の名を。呼べたらどれほど―――か。
探索者ロスト。この状況になった探索者は、MPが尽きるまで昏睡状態が続く。
眠ったままの探索者は「蛇神様の奴隷」なのだから。
蛇神様はロイガーをもとにしたオリジナル神話生物。探索者は昏睡が続き、いつの日か原因不明の病・衰弱に犯され、死亡する。
ED2と同様の状態だが、ED2よりは少し長く生きる。探索者が夢を望んだため、ほんの少し攻撃が緩むのだ。
ちなみに―――は任意の感情をどうぞ。
シナリオ背景

SAN0になった

 あなたは夢の中で「なにか」がついえた。
 それはあなたの正気そのもの。覚醒の世界を生きるために必要なもの。
 それを喪ったあなたは、大事な人の夢を見たまま、そこにいる。

 ずっと、ずっと、そこにいるのだ。
 その鼓動が止まるまで。

END4-B…限界を越えて死者の国
探索者ロスト。この状況になった探索者は、MPが尽きるまで昏睡状態が続く。
眠ったままの探索者は「蛇神様の奴隷」だ。
蛇神様はロイガーをもとにしたオリジナル神話生物。探索者は昏睡が続き、この状態になった次の日、原因不明の病・衰弱に犯され、死亡する。
ED2と同様の状態だが、ED2よりは少し早く死ぬ。正気度がないということは、なにもかもが早いだろうということで。
シナリオ背景

シナリオ背景

 時は平成半ば。(時代ものに改変した場合は10年前)とある町に、ロイガーがいた。
 そのとあるロイガーは、あろうことか「探索者」とでもいうべき存在に倒された。上位の独立種族であるロイガーを倒せる人間、それ、人間?と聞いてはいけない。シナリオボスだったのだろう。そのロイガーは。
 倒されたロイガーはとある町で信仰を受けていた。
 信じれば政敵・憎い相手を陥れる邪神として。
 そのロイガーが信者の憎い相手を自殺に追い込んだのは、偶然だが。その偶然に大いに感謝した信者は、信仰を捧げ続けたのだ。
 その信仰の結果生まれたのが、ロイガーの分霊とでもいうべきもの。信者の言うことを聞くことはなかったが、犠牲者から吸い取ったMPをその地のロイガー本体にせっせと献上した。優雅な身分である。
 それは信仰を受けていたロイガーが倒されてからも残り、各地に散らばった。

 分霊は本来のロイガーからみれば雑魚で、小さい。攻撃力も低い。MPを吸う速度も低い。ただ、本来に無い特徴が一つ。
 本来「精神的に不安定な家系の人間」のものをターゲットにするはずのロイガーは、血筋に関わらず人を奴隷にできた。
 条件は「深い悲しみに襲われていること」であり「死者を想う人間」は特に攻撃を受けやすい。
 ロイガーを「蛇神様」として信仰していた者たちは、それに目をつけ、冒頭の噂を流した。倒されたロイガーに復活してほしかったためだ。
 「蛇神様」を一瞬でも意識した人間は、さらに取りつかれる可能性が高まることに気づいたからだ。
 今回の探索者がロイガーの分霊に襲われたのは、それが原因だ。
 分霊が吸い上げたMPは、分霊が新しい分霊を生むのに使われている。そうしてたくさん産んで、元の姿に戻る儀式に備えている。

 そうして増えていたロイガーの分霊だが、とあるタイミングで、そのカラクリに気づいたものがいた。
 「ロイガー」という名を知らないまま、短気に「なんかコレはアカン気がする」と踏みつぶし。
 その日からスッキリ爽やかに目覚めたことで、因果関係を疑い。それらしい噂を追ううちに、 「蛇神の噂」が自殺や衰弱死の原因になると気づいた者が。数年前の野良探索者。きっとアイデア5クリだった。爬虫類も苦手だった。

 理由は特に設定していないが、気づいた人間は、噂を流した。
 それは悪い使い魔。打ち倒すべき、と。
 神などではない、呪いの類だ。既に信仰を喪ったもので、打ち倒せるのだ、と。噂を打ち消すことを目標としている。
 いつしか「そんなものがいるわけがない」との反論が重なり、ロイガーの分霊そのものを弱らせる日を夢見て。
 その効果は、このシナリオでは実を結んではいないが。とりあえずいろんな尾ひれがついて、安部清明の子孫に倒されたことになってる。倒されて散らばったという記述が当たっているのは、噂を広げた中にいたたぶん誰かが幸運1クリした。
 「おかしな爬虫類をつぶす」という発想を持てない平和主義な探索者のための、メタ的な救済処置だ。ただつぶすのもPL的には不安かもしれないし。

 そんな感じの「よわっちいロイガーのせいで変な夢を見るシナリオ」で「でもロイガーだからMP切れると夢から覚められません」なシナリオ。ロイガーに接触するので、性格関係なしに死にたくなります。MPは吸い続けられるのでロイガーを倒さない限り回復しません。
 ただ、時間経過で見れるシナリオにしたので、重要なのはMPの量ではなく、戦闘技能です。
 死ぬとわかっていても夢を見続けたい探索者には、幸運を要求しているわけですが。
 書きながら「夢を見続けることを望むなら、幸運失敗がロイガーのロストかなぁ…?」と悩みましたが。死ぬためのゲームではない以上、生還は「幸運成功」かな、と。理不尽に感じたPLがいたら心からお詫びするし。このシナリオ自体をなかったことにすればいいと思う。
 ロイガーの分霊にした理由はあれっすよ。ロイガー。そのまま出すとどうあがいても一人じゃ無理。でも強力なAF作りたくない。物理でつぶしてほしい。なら分割しよ。みたいな。だってほら。マレモンに「オリジナルエネミーの創造」とかも書いてあるからいいんじゃないかな。
 そもそもロイガーに「夢を見せて衰弱させる」などという特性はないですが。どちらかといえばそれは宇宙よりの色とか幻覚見せてくる神格とかの方が似合う気がするんですが。勝手に自殺したい症状に襲われて「いや解釈違いだから!」と元気に脱出してほしかったんですよ…。あと「蛇神様」って言葉が使いたかった。
ちなみに、毎朝首筋をはい回ってるのは探索者のMPで実体化したロイガーの分霊です。すりすりしてる。懐いてる。
発狂が昏迷固定は多少ずるいかなと思うんですが。自殺癖にするべきなのかもしれませんが。まず精神から弱るらしいから…KPレスで自殺癖引いたら死ぬしかないでしょ…。それはちょっと難易度やばい…。

「死者の夢見るシナリオ、起きないとどう考えてもロストだよね?」
「でも探索者、目を覚ましたくないと思うんだ…なんで幸せな夢を捨てられるの…?せめて起きてる状況じゃなきゃ無理でしょ…?」
「やはり暴力。暴力ですべてを解決するしかねえ…!」
 という気持ちで書いた難易度低めのシナリオでした。もう会えない人に未練たらたらな探索者にたまにやさしい夢を見てほしい。でもそれに負けて死なないでほしい。みたいな。
 2021/01/02 初版