概要
 導入
 チャペル前
 3F
 2F
 1F
 ED

 

今宵、月無き教会で

シナリオ概要

シナリオ名:今宵、月無き教会で
プレイ時間:約3時間前後
人数:1人
推奨:お好みの戦闘技能

 任意のうちよそで戦闘するだけの戦闘シナリオ。改変は自由というか、推奨。
 現実世界での出来事だし、特に調整はしていないので普通に両者ロスト可能性があると思います。お互いの技能・PL・KPの趣味とよく話し合い、戦闘難易度を改変してください。
 どんなシナリオかと聞かれたら「ファンの醸造酒ダイマシナリオです」ですから!
 あと「信じて助けに来た友人・恋人がとんだヤンデレクソ野郎になってる件について」です。

NPCの異変の原因

ファンの醸造酒の製法(キーパーコンパニオンP88)
 詳しいことはキパコンの著作権の観点から省略する。
 本シナリオで大切になるのは、この醸造酒があれば対象の行動・態度をある程度操れることだ。
 食料に混ぜてしばらくすれば、犠牲者の遺志を侵食する。
 飲まされた時点である程度術者命令を聞くようになってしまう。
 同時に、2,3週間かけて醸造酒をのませられる度、犠牲者は操る人の視点や考えに染まることになる。
 本シナリオの場合は、黒幕である久見マナの考え方に染まる。
 かつて恋人を殺したことで発狂した黒幕の意見は、以下の通り。
「私は愛しているからあの人を殺したの」
「ええ、人間だった頃に殺したの」
「だからあなたも、大事な人がいるなら殺さなきゃ」
「だって、人なんて。生きている限りなあなのものにならないもの!」

 要はヤンデレが感染する。
 このシナリオでのファンの醸造酒は操る者(マナ)の死亡で完璧に、薬物に対する適切な医療行為で影響を軽減することができる。

 シナリオKP探索者(以下NPC)はなにかのおりにマナと接触し、うっかり醸造酒を盛られてしまった大変気の毒な探索者である。
 なお、醸造酒の犠牲者は「自分の性格を失わず、薬を与えた人間の影響を受ける」「暗示の内容以外は変顔を示さない」なので、暗示が完璧になるシナリオ開始時まで違和感を感じることはないだろう。
 シナリオ開始時までにNPCが受けている暗示は「毎日マナに会い、一緒にお茶を飲むこと」「自分の好きな人について語ること」なのだから。日々好きな人の話を聞き、彼女の琴線に触れた人間は「愛するものを自らで殺せ」と暗示をかけられるハメになる。気の毒。NPCだから仕方ない。
【ロールの方向性:性格・価値観は本人のまま。ただ独占欲が極まり愛するものを殺したくて仕方ない。…目的は独占するためなので、殺しても独占できないと絶望すると別の手段に出るかもしれない】

久見マナ
 本シナリオの黒幕。セミロングの髪を背中に流したままの、20代後半くらいに見える女性。APPは14.SIZEは10くらい想定。服装は現日の女性らしい服装。
 人形(初遭遇時は人形の入ったバッグ)を大事に抱えていること以外はビジュアルは好きにいじっていただければ。

 自分はニャルラトホテプ。…という発狂に陥ったSAN0.
 ニャルラトホテプゆかりの宗教団体の宣教師ポジ。自宅に行くと違法薬物とか武器がめちゃくちゃ発見される。シナリオ終了時、生存し、司法にゆだねたり家探ししたりしてそれが発覚したところで、彼女は悪びれない。「だって私はそういう神様だもの!」と。

 長期の狂気の内容は「フェティッシュ」あるものへの異常なまでの執着。「自分は混沌をまき散らすもの」であるという執着。および、1人でも多くのものに自分と同じ思いをさせること。

 とあるニャル様産神話事象に巻き込まれた彼女は、狂気と欲望から恋人を殺害。「これであなたはどこにもいかない。私のもの」
 けれど、その後我に返り発狂。死体にすがりついて泣く彼女に、優しいニャル様はフィンの醸造酒の作り方を授け、ニッコリと約束してくれた。
「たくさんたくさん増やすといい」
「君の仲間を増やすといい」
「そうすれば君は、私になれるさ!」

「そうだね、私になれば」
「そこにころがっている人間だって、取り戻せるよ?」

 彼女が持っている人形には、恋人の遺骨が入ってる。
 人形のサイズは3歳児くらい。布が古いので乱暴に扱うとすぐ中身がもれる。

 NPCとはなにかしらの理由で出会い、ファンの醸造酒を盛る。
 恋バナをし、NPCと探索者をターゲットに選ぶ。
 NPCには「マナ」という名前だけ名乗っている。探索者には「久見マナ」と名乗る。本名であり、シナリオ後に彼女について調べるなら失踪者であると知れる。事件性はないので、ニュースにはなっていないが。

 なお、彼女を司法にゆだねた場合、抵抗はしない。なにしろ自分は神様だと思っているので、逃げれるつもりなのである。
 実際は逃げられないし、捕まった数日後に牢屋の中で死亡する。狂気などなかったはずなのに、首と四肢を人ならざる力でちぎられて。自らの手を口内に収めて、うっとりと笑っているという実に冒涜的な感じで。  彼女の所属していた教会からの要望で、本物のニャルラトホテプがサービスしてくれた。捕まった宣教師をそのままにしておくよりは不審死の方が狂気を呼べるよね!と。
 殺したならSIZE10の死体が残る。処理は頑張ってほしい。

導入

夜、家にいるあなたの元に、電話がかかってくる。
「探索者、いますぐきてくださ、…場所は!」
言葉の途中で銃声と苦しげな声が聞こえる。
電話はあなたがなにかをいうより早く切れる。

通話はすぐにきれるが、すぐに携帯かスマホにメッセージが入る。
メッセージの内容は「1人で来なくばNPCを殺す」「警察に知らせても殺す」「一時間ごとに指を落とす」だ。
メッセージには写真も添えられている。
それはどこかの道路で、古びた看板がある。
名前は<ウェディングチャペル・ジュノー>。
時間は都心から車で一時間ほど。人気のない山の上。一年ほど前に営業をやめているようだ。
あなたはこのままその場所に向かってもいいし、なにかしらの準備をしてもいい。

*KP向け補足:このとき銃を撃っているのはNPC。メッセージをいれているのもNPC。驚きの自作自演である。ちなみに今回の舞台であるチャペルでは、数回このシナリオのようなことが行われている。その際モブは死亡・発狂し、久見の所属する宗教団体に取り込まれたり、行方不明者として偽造されたり色々してる。モブだもの。

ウェディングチャペル・ジュノーに

描写例

あなたは夜の道を走る。月の明るいおかげだろう、該当はないが月明りと車のライトであたりの様子はうかがえる。
車か何かで林を抜け、チャペルへと向かう途中、探し人の姿はない。
しばらく走れば、写真に写っていたと思わしき看板がある。

周辺に目星・追跡・くまなく探すと宣言
→銃跡があり、銃弾が落ちている。血の跡はない。
くまなく探す場合は10分経過。(時間経過により難易度は変らないが、参考までに)
追跡の場合は、追加で足跡がチャペルに向かっているのも分かる。

描写例

 ぐるりと周囲を探しても、探し人の姿はない。
 チャペルに灯りはついていないし、物音はしない。
 ただ、他に探す場所はなさそうだ。

 あなたが式場に足を踏み入れるのならば、薄暗いという印象を受ける。
 ただ玄関ホールは壁に大きな、そして頑丈なガラスがはめられていて、月と星の明かりでどうにか中の様子が分かった。
 玄関ホールには、うつ伏せで誰かが倒れている。
 ケガをしているかはわからない。
 そもそも、生きているかもわからない姿で、NPCが倒れている。
 服装はいつもの通り、よく見る普段着だ。(仕事帰りに見える服装が望ましい)

 声をかけても反応はない。
 抱き起こすと、ケガはないことがわかる。
 埃っぽいホールに倒れていたからか、服は汚れている。

応急手当・医学・目星
→ケガはしていないようだと確信できる。見るだけなら「おそらくしていない」というレベル

描写例

 あなたが声をかける・ゆさぶるなどで、NPCはうっすらと目を開ける。

「なんで…きたんですか?」

 言葉と共に、あなたの手首のあたりに痛みが走る。
 一体どこに隠してあったのか。NPCの手には注射器が握られ、あなたの視界はかすんでいく。
 強烈な睡魔のような、倦怠感のような感覚が動きを奪う。
(以下、技能降ってもどうにもならないマスターシーン・導入シーンだと伝えてください)
 そんな状況で、どん、と肩を押される。
 あなたの両手首をつかみ、馬乗りになったNPCは言う。
「馬鹿ですね、一人で。言われるままにくるなんて」
「馬鹿ですね、まあ、来ると思っていましたよ、助けに来てくれるとね」
 あなたの首に、ゆるりと指がからみつく。
 かけることない五本の指がからみつく。
「そんなあなただから、とっても好きで、愛してて。
 だから、死んでください」
 喉の苦しさと、睡魔のようなものに、あなたの意識はどんどん遠くなる。
 遠くなったのが、最後だ。
 あなたは意識を失い、NPCがどうなったのかは分からない。
 これにて導入パートは終了だ。


*セリフ・状況描写はお好みで。このときNPCが探索者を殺さないのは基本的に「すぐに殺したらつまらないじゃない。あなたを探しに来てもらうといいよ」「教会の前で殺すのがオススメだよ!」とマナから指示があるせい。既にNPCヤンデレスイッチはON

3F

描写例

 あなたは目覚めると、ベッドの上にいる。
 ほこりっぽい、灯りのない部屋だ。
 ただし、ろうそくが一つあり、部屋を見る分には事足りる灯りがある。
 拘束はされていない。衣服もそのままだ。荷物もある。(電話の類は壊されているが)意識を失う前に痛みを感じた箇所には、注射の後が残っている。
 電話は壊されているが、腕時計があるなら無事だ。どうやら1、2時間意識をうしなっていたらしい。
 ベッドの横にはチェストがあり、その上には拳銃と一枚の紙がある。紙は古いパンフレットで、ここの地図のようだ。3Fの客間Aと書いてある部屋に赤丸がついている。
 部屋に目をひくものはないが、ベランダがあることが分かる。
【探索可能箇所:部屋全体・ベランダ・拳銃(任意の武器に置き換えてください)】

ウェディングチャペル・ジュノーMAP
3F
披露宴会場
宿泊室A
宿泊室B
2F
ゲスト控え室A
ゲスト美容室
ゲスト控え室B
1F
玄関ホール
貸衣装屋
教会

*KP向け補足:イラストのMAPが必要にある難易度のシナリオではない。上から順に手前から奥へと並んでいるとでも説明してください。むしろ適宜改良してください。
ちなみに、どの部屋も鍵穴はあるけれどカギはありません。カギが内側からしめれるのは各階にあるトイレだけです。

銃に拳銃など
自衛隊で使われることもある銃であることと、性能が分かる。(成功しなくても弾数は調べられる)
SIGザウエルP220オートマテック・1ラウンドにつき3発。
弾数9.耐久8.故障ナンバー99.射程20M。ダメージ1d10.
予備の弾丸はないようだ。
*KP向け補足:マナの所属する団体はヤクザとつながっているので現在日本手に入る武器は大体マナが手に入れてくれる。出所確かな、横流し品。
ベランダ
ここが3Fであることが分かる。他の部屋にもベランダがあるようだが、ベランダ同士を伝うのは厳しい。
降りるならば跳躍ロールになるが、かなり高い。(約12mはありそうだ 3mごとに1d6)
部屋全体に適切だと思われる技能(宣言だけでも構わない。KPはお好みで)
ほこりっぽく、長いこと使われていないことが予想できる部屋だ。電機はあるが、スイッチをおしてもつかない。おそらく電気が通っていない。(監視カメラなどもない)

 あなたはこの部屋にとどまってもいいし、探索してもいい。
 物音は特にしない(3Fには誰もいない)

3Fの他の部屋

客間B
→誰もいない。描写はAと同様だ。ただ、NPCの荷物がある。職場から直接ここにきたようだ。(財布やどこかしらのポケットにマナの名刺が入っている。NPCがいきそうな店・できれば飲み物を飲んでも自然な店を経営している。携帯の類はない。NPCが持っている)
披露宴会場
→ただっぴろく、物は残っていない。ここは閉鎖した建物であると確信する情報しか撫でてこない。披露宴会場の奥には花嫁・花婿の控室がある。がやっぱりなにもない。
トイレ
→特に何もない。

*これらはなにかをするとき身を隠したりするのには使えるが、3Fに情報はない。
すべて「ないのも不自然だから作ってるだけの部屋」である。

2F

描写例

 あなたが2階に降りると、ところどころに小さなテーブルがあり、ロウソクがある。
少なくとも二階での戦闘に限り、明かりに困ることはないだろう。(足跡などは追跡。目星。ほこりは積もっている)
 まっすぐに伸びた廊下の奥には、階段があるのがわかる。
 障害物はない。ただし、地図にあった通り、部屋が三つある。その部屋に誰かが潜んでいるかもしれない。あるいは、廊下になにかしら罠があるかもしれない。
 ロウソクがあれど薄闇に満たされたこの空間で、技能なしでわかるのはここまでだ。

控室A

 入った部屋には、結婚式の控室らしく、椅子があり、ソファがあり、テーブルがある。
 飲み物を提供していただろうカウンターもある。
 ここにもやはり灯りはなく、部屋の中央あたりのテーブルにろうそくが置かれている。
 そしてなにより、女がいる。

 手足を縛られ、ぐったりとした女がソファにぐったりと座っている。あなたがはいってきた瞬間、顔をガバリと上げた。
 年は二十の後半ほどか。ケガはないようだ。
 彼女はひどくうろたえ、あなたに助けを求めてくる。
「仕事の帰り、気づいたらここにいて、助けてほしいの!」
*KP補足:嘘である。心理学を振られたらアウト。なにしろただの人間なので。
 マナとのやり取りの間に、探索者が彼女の正気を疑う形で心理学をふるのであれば正気を失っていることが分かるレベル。治療にどのくらいかかるかを開示するためには、精神分析をお勧めする。

マナのセリフ例

「あなた、誰?」
「私は、マナ」「苗字?久見。久見マナよ」
「なんで、なんだって。わからないけど、気づいたらここだったの」
「後ろから、殴られた気がする…(ケガはしていないので嘘を見抜ける)」
「人?会ってないわ」
「NPC? うん、お客様(任意の関係)ね。それがどうしたの?」
*基本的に目線がせわしく、ひどく落ち着かない様子を受ける。(実際は正気がないのである)

マナの処遇決定

 ひとしきり話が終わり、もし探索者が彼女をつれていこうとするなら、彼女は自分の足元の荷物をかき抱いて拒絶する。
 首を横にふり、真っ青な顔で言う。
「私、できればここで、待っていたい…だって、怖いもの」
 言って、女はぬいぐるみを抱き締める。
 年のわりには幼げな仕草だ。

 KP向け補足:ここにいた方が危険だというならば「じゃあ、どこかに隠れてる」という。
 つれていきたいならば力づくになる。気絶はする。力づくでひきずっていくなら、嫌々ついていく。
 説得・言いくるめ・信用が成功するなら「彼女にはあまり話が通じない印象を受ける」と情報を出してもいいだろう。
(なお、この部屋に探索して得になるものはない。次に進んでもらうのが得策だ。

美容室

 式のゲストが使っていたのであろう美容室だ。道具などは残っていない。
 人の気配もない。
 美容室の一角に着替えのためと思わしきカーテンがある。小柄な人間がここに入ってカーテンをしめれば、薄暗いのでまずばれないだろう。(マナが隠れる場所として想定している)

控室B

 二つ目と同様だ。
 しかし、テーブルの上にいくつかなにかが置いてある。
 それは試験管にはいったなにかや、薬品の瓶にはいったなにか。その何かの隣には、クーラーボックスがある。
 中に詰まっているのは、なにかの油であり、なにかの薬品であり、クーラーボックスの中身は内臓だ。
 内臓を見た時のみ
 →いまだ血をしたたらせるようにテラテラと輝くなにかの内臓は、生臭い匂いをまき散らす。
 このようにおかしなものを見たあなたは、少なからず驚くだろう。
 SANチェック 1/0

机の上のものに知識・薬学・博物学・医学など
試験管の中身はケシのヤニ(樹木の分泌する粘液。また、その固まったもの。樹脂)だ。
薬品の瓶には違法薬物が入っている。
内臓はクマの新鮮な内臓だ。
机の上のものに神話技能
なにか冒涜的な薬の材料だ(ファンの醸造酒の製法の材料だ、でも)

1F

描写例

 ぎいぎい、音をたてて階段をくだる。
 おりていく間、誰かに襲われることはない。探し人の姿もない。

 階段を下り切ると、そこは玄関ホールだ。
 あなたが意識を失った場所であり、なにかをうち込まれた場所である。
 ホールの真ん中で意識を失っていたNPCはいない。

 1Fにあるのはこの玄関ホールと貸し衣装部屋と、教会だけだ。

玄関

外側から板かなんかで固定されている(探索者が意識を失っている間、NPCが頑張った)
ここからの脱出は手間がかかるだろう。音も響くだろう(強行突破を望む探索者の場合、壊している最中に最終決戦にしてください)

貸衣装部屋

特に何もない。
ただ、いくつかドレスが残っている。
ひとつは、ウェディングドレス。
マネキンに着せられた、シンプルなエレガントな印象の、いわゆるAラインの白いウェディングドレスが打ち捨てられている。
汚れや損傷が激しいことから、おそらくおいていかれたのだろう。

もう一つは、やはりマネキンが着ているゲスト用のドレス。
ノースリーブで、スカートがふんわりと広がった、赤く華やかなパーティドレスだ。

他には特に何もない。
KP向け補足:別に意味はない部屋だ。探索者の発想で「返り血を浴びる予定があるので着替えたい」とか「装甲になる分厚い服が欲しい」「ドレスでエモく衝撃したい」とか言われた時に幸運でちょうどいい服を用意sることを想定しています。

教会

 教会には、参列者が座るであろう椅子があり、そのうちいくつかにろうそくが置いてある。
 灯りに困ることはないだろう。
 それがなくとも、天井に大きな窓がある。うっすらと雲がはっているものの、今日は月が明るい。

 教会の扉を開けたあなたは、身を覚えのある背中をみる。
 誓いを交わす場所で、一人で立っている。天使たちが描かれたステンドグラスを見上げるように立っている。
 今なら、不意打ちも可能なのかもしれない。
(ここでの不意打ちが成功するかは「普段のNPCの性格」に依存します。不注意ならば不意うてるでしょう。足音やドアの音をきちんと気にするタチなら気づくでしょう)

 ここからは好きに話した後、好きに殺し合ってください。
 ただそれだけのシナリオというか、シナリオフックです。
 特に救済措置とかはない現実世界なので、ここで死んだら普通に死にます。
 ロールでNPCが我に帰れるかどうかはこのシナリオを遊んでいただいた方の解釈におまかせします。
 ちなみにボコっても応急手当で起こせばまた同じことをしようとします。縛るか気絶させるかでしかるべきところにいれてください。

 NPCの状況については、シナリオ冒頭のAFの欄を参考にしてください。
 普段の性格のまま「探索者をココで殺せば永遠に自分のもの」という暗示にかかっています。

戦闘終了後

描写例

 あなたが教会を出て、玄関に向かうなら、そこには女がいた。
 2Fにいるはずの女は、あなたを見て不思議そうな顔をする。

「どうして、二人とも無事なの?」
「どうして、生きてるの? 二人とも」
「ねえ、あなた」
「殺してあげないの?」
「死んであげないの?」
「どちらかが死ねば、どちらかのものなのに」
「人はそうなるのが、一番しあわせなのにね?」

 あなたがどういう意味だと聞くなら、マナは笑う。心から嬉しそうに。
 そして、早口で言い募る。

「その人は、私とおんなじだもの」
「お話を聞いた。おんなじだった。おんなじだから、おんなじにするの」
「ねえ、あなた。死んであげないの?」

「おんなじを増やして、おんなじを作って。私は、そうする存在よ?」
「そういう神様なの」
「はいよる混沌、ニャルラトホテプ!」

 女は言って、抱えていた人形で口元を隠す。
 くすくす、くすくすという笑い声が暗いホールに響く。

マナと話を続ける

どんな話をしても、イマイチ通じない。正気が怪しそうなロールをお願いします。あなただけの煽り系狂人をどうぞ。
頃合いをみて、人形に目星をふってもらってください。失敗してもなにか白っぽいものがのぞいていることはわかります。(どんな形なのかわかるために目星・あるいはなにかしらの灯りをあててください)

精神分析→話ぶりから、女がひどい妄想を発症しているのではないかという印象を受ける。
心理学→話しぶりが一貫しない。目線が落ち着かない。声の抑揚がおかしい。健全な精神状態ではないように思える。
彼女の人形に目星→人形から一部、なにか白く、細長い骨のようなものがのぞいている。(医学などで人間のものと分かる)

マナに戦闘をしかける

彼女から戦闘をしかけることはないが、攻撃をしかけるなら自衛はする。

ccb <= 20 [回避(初期値)]
ccb <= 60 「こぶし]
1d3 [拳]
他ステータスはお好きにどうぞ。

彼女が倒れると、抱えていた人形も倒れる。
その拍子に敗れ、白い骨がのぞける。
そう、骨が。その人形には、人の遺骨がつまっている。
SANチェック 0/1d3

マナの処理について

 マナの処理については、意見が分かれるだろう。
 NPCがおかしくなった原因はお前かと聞かれれば「背中を押してあげただけ」「私と似ていたから手伝ってあげた」と答える。
 元に戻せと言うなら「私が死ねば、殺しちゃえばいいって暗示はとけるけど。独占欲も、嫉妬も、ぜーんぶその人の持ち物よ」といった調子だ。基本的に殺し合ってどっちかが死ぬのが幸せだというスタンスは崩れない。SAN0だもの。
「あなたたちはきっとまたおんなじことを繰り返す」「だって生きてるんだもの」「生きて、生きてバカみたい。くるくるくるくる、踊り狂うのね」といった調子。

 彼女が死ねば、暗示は完璧に溶ける。死体は残る。山に埋めることはできるだろうけど、死体遺棄の罪が残る。

 彼女が死ななくとも、彼女を警察に引き渡し「おかしな薬を盛られた恐れがある」と病院につれていけば「未知の薬物の被害者」として処置してもらえる。以降、定期的な通院で症状を抑えることができる。NPCの日ごろの行いによっては薬物乱用の容疑がかかる。二人のケガの状況や使用武器によっては、NPCは久見の共犯として疑われるだろう。法律や説得技能頑張ってください。

 彼女を見逃す、ここでの出来事を誰にも言わないという場合は、似たような出来事がは探索者達の預かり知らぬとことで続いていくことだろう。
 教会は残る。死体は出る度に久見や久見の所属宗教団体が処理しているが、科学捜査が入れば痕跡が分かる程度の処理ではある。あくまで「ヤクザと協力関係にある人」ができる程度の偽造工作。

 色々書いては見ましたが、シナリオとも言えないシナリオフックですので、後処理はKPにお任せします。

ED描写・例

 あなた方がチャペルを後にすれば、ここに来た時は出ていた月が隠れている。
 雲に隠れて、山の中は一層薄暗い。

 それでも、車にキーを入れれば、辺りを照らすには事足りる。来た道を戻れば、日常へと帰ることができるだろう。
 ここで起きた出来事をどのように処理、あるいは隠ぺいするのかは、あなた方次第だ。
 今回の出来事で吐露された言葉に向き合うのかも、また。あなたがた次第。

 今夜は、月の無い夜だ。
 灯りは自分たちでともさねばならない。
 愛を語るのであれば、自分たちの言葉でなければならない。
 そんな夜のできごとだった。

逮捕後・保護跡の流れ

 警察・病院につれていくならば、彼女の抱えていた人形には人の骨が入っていた。
 死体遺棄の容疑で、取り調べることができるだろう。
 彼女は自分の身分を喋らない。身分証明書も持っていない。前科もない。
 ただ、警察の手にかかればやがて行方不明者リストに載っていることが分かるだろう。
 その精神が、ひどく消耗し、永久的とも思える妄想に憑りつかれていることも、同様に。

 彼女の名前は久見マナ。28歳。2年ほど前に、恋人と共に行方不明になった女性だ。

 ただし、これらの情報は、すべて彼女の死後に発覚したこと。
 あなたが彼女を警察につれていった数日後の夜、彼女は亡くなった。

 十分に監視していたにもかかわらず、バラバラになって死んでいた。
 監視カメラに不審な点などない。
 ただ、死んでいた。
(これこそが本シナリオのニャルラトホテプの所業。久見の所属する団体のしりぬぐいをいてくれるマメなニャル様)

とてもどうでもいいタイトル補足

ILOVEYOUを「今夜は月が綺麗ですね」と略すのは有名ですよね。
なので、このシナリオに月は出ていません。NPCに襲われるまでは月が明るいんですけどね。探索者が目覚めてベランダを見ると月は隠れています。ラスト戦闘前ちょっと出て、やっぱり最後隠れる。
 その時点で、まともな愛は隠れているシナリオです。いえ、人によってはそれも愛なのでしょうが。
 その答えを出すためにも、頑張って生還してください。