・ガチR18だったり、単にノリが恥ずかしかったりです。

おっぱいには夢と希望とロマンがつまってる

「ねころがってもおっぱいがある…」
「…そういうこというほど、女の乳みてきたの…?」
 あと、拝むのはどうなの。あなたキリスト教圏育ちでしょ? なにそのポーズ。
「だって、妹はそうじゃなかったし」
「…妹とはいえ他の女の乳の話しないで」
「え、俺してなかったよね!? コウメちゃんがふったよね!?」
 しょんぼりと眉を下げる姿が何とも情けない。
 ちょっとかわいいと思う自分は、より情けない。
「まあ、そうかもしれないけど。それでも嫌なものは嫌」
「やきもち?」
「うるさい」
 むぎゅっと頬をひっぱってみた。むぎゅむぎゅとハリがあり、よく伸びる。男のくせに。
 …年齢差を感じてちょっと落ち込むのは、さすがに口に出さないでおこう。あんまりに八つ当たりだ。
「伸びるよ、痛い」
「鼻の下とおそろいでちょうどいいでしょ」
「えー」
 離してやると、頬をなでている。
 拗ねたような顔のまま、なおも言葉を続けても来た。
「伸びるでしょ、鼻の下。このおっぱい好きにできるんだなあ、って!」
「同意を求められても…。私、あなたの上半身好きにしてもそんな楽しくなし…?」
「俺は! 男はテンションあがる!」
 そんな無邪気な、少年の瞳で。
 なんだか子供に手を出しているようだ。やめてほしい。
「はいはい、わかったから。……わかったから、この体制のままアホな話するのやめましょうよ…」
「うん、じゃあいやらしいことする」
 そういう顔までそれはそれは無邪気なものだから、本当にこの子は。
 子どもみたいな、アホな。…かわいい人だ。

 冒頭のやり取り書きたかっただけ。この後むっちゃセ以下略。
 目次

惚れた方が負けと両者思ってそうだよねこの夫婦

「ただいまあ、コウメちゃーん」
 酒とタバコのかおりをまとわりつかせ、スーツ姿の夫が帰ってきた。
 職場の飲みの帰りとしては、随分優等生の時刻で。
 そう、それはいい。
「お土産あるんだ」
 けれどなぜ、ドンキホーテの袋をかかげているのだろう。
 ぎゅうと抱きつく体を受け止めながら、新婚の妻は首を傾げた。

「…お土産」
「うん」
「お土産…」
「うん!」
 これが?という気持ちをこめて問う小梅に、遊馬は笑顔を浮かべる。
 ぴかぴか光る幻覚すら見える、素敵な笑顔だ。
「…ナース服が?」
「ちがうよ、コウメちゃん。ミニスカナースだよ」
「アホなの?」
「これを着てもらえるならアホでいい!」
「そう。しあわせでアホな子ね…」
 そこまで話して、小梅は気づく。彼の息に酒の匂いはまじらない。顔色も平常だ。
 つまり素面。
 素面でこれか。このテンションか。
「二次会がさ、キャバクラらしいんだよ。上司が好きで。でも、愛する妻が待ってるからちょっと、って言って逃げてきた」
「それは…ありがとう」
「同じ理由で逃げてきた奴と意気投合してね。好きな衣装の話になってさ。…有意義な時間だったよ。バニーも捨てがたいと思った。バニーというか、網タイツっていいよね…」
「なんでいい男のまま終われなかったの?」
「彼は警察の衣装で逮捕されたいっていってたけど、俺はコウメちゃんのナース服がみたくてさぁ。看病されてみたい。
 あとこれ、ピンクでかわいい。ほら、ちょうど梅の色みたいで」
「…アホね、本当」
「え、だって絶対似合う! かわいい! 俺の天使が白衣の天使してるのが見たい!」
「バカじゃない?」
「バカでいい!」
 言い切って、きらきらとした目で衣装を差し出してくる。
 ナース服。といっても職務に耐えられるものではない。
 前についたボタンは頼りないし、このスカート丈で動いたら歩くだけで下着が出る。
 ぴっちりとしたストッキングも薄い桃色…梅のような色合いで、長さは二―ソックス。かつガータベルトで固定するタイプ。
 最近はハロウィンの仮装で使うような、そんな衣装だ。
 もちろん今はハロウィンではない。ただのコスプレだ。これを着ても。
 馬鹿じゃないか、と小梅は思う。
 いや、目の前にいるこの夫は明らかにバカである。
 けれども。
 正座を崩して立ち上がる。こちらはクッションに楽に座っていた遊馬を見降ろし、くいっと顎をとる。
「……あなたはかわいい男ねえ」
「そう?」
「……着て、どうしてほしい?」
「エッチに看病してほしい」
 きらきらきらきら、少年のような眼でのリクエストに。
 彼女は長くため息を落とし、柔らかく笑った。

「似合う……」
「ありがと」
「似合う…生きててよかった…生きて帰ってきてよかった……結婚してくれてありがとうコウメ……」
「……ありがとう」
 え、そこまで?
 そこまで好きならもっと常日頃こういったワンピースをきてやればよかっただろうか。
 ベッドの上でなにやら感じ入る夫に、小梅は多少引いた。
 喜んでもらえたのはいい。一人でこんな格好をしてノってくれないのはあまりにいたたまれない。いやしかし、ここまで?
「…じゃ、寝転んで」
「ん? うん」
 上着とネクタイだけ外してそのまま座っていた遊馬は、言われるままに寝転ぶ。
 ズボンがシワになりそうだが、いいのだろうか。
 それを聞くより早く、妻がまたがってくる。
 腹をまたいで、きわどい位置に腰を下ろし、お盆とペットボトルを片手に持っている。
 小梅は透明なボトルに口をつけ、身をかがめる。
 やわらかな乳房が両者の体の間で潰れ、同じくらい柔らかな唇が重なる。
 冷えた水は、わずかに顎を濡らしつつも口内に吸い込まれていく。
 むせないようにと頭を支えて、何度かに分けてゆっくりと。
 冷たい水に熱が移るまで、数度それを繰り返す。
 その間、からかうように揺れる腰と押し付けられた胸がツヤっぽい。ツヤっぽいというより、男性器と尻がふれあい、実に悩ましい。
「…はい、おしまい」
「えー? おしまいー?」
「だって、看病なんでしょ? ほら、後はパジャマに着替えて寝なさい。スーツ、苦しいでしょ? …脱ぎましょうね?」
 くすくすと笑いながら、軽くキスを交わす。シャツの慣れた手つきでボタンをはずしていく。
 夫婦の共同作業で滑らかに袖と下着を抜いて、露わになった胸板をやさしくひっかく。
 女の手はそのままスルスルと下へ下り、ズボンをくつろげる。すっかり立ち上がった男性器は、下着の上から確かめるようになでる。
「…腫れてて大変ねぇ」
「うん、すっごく」
「そう。じゃあ、看病してあげないと。脱いで、楽な姿勢して。…ん、違うか。…服を脱いだら、楽な姿勢で待っていてくださいね?」
「うん!」
 ものすごくいい笑顔だった。
 この男本当に素面なのかしら。このテンションで。
 一瞬悩んだ小梅だが、すぐに思い出す。酒の気配のない吐息に、僅かに茶の味が残った口内。いつも通り体温。顔色もいい。上司のお酌でほとんど飲まなかったのだろう。下も元気だし。
 ―――そう、やっぱり素面なのね。このテンションで。
 あきれるようなかわいらしいような、やっぱりバカだなとは呆れる。
 しかし、恋とは人を愚かにするものだともという。大体、こんな滑稽なこと、聡明なままではできない。今夜は格好もあり、我にかえったら負けだ。何に負けるかは、さておいて。
「コウ…看護婦さん?」
「ん…ああ、脱げましたね。じゃあ、治療に移りましょうか」
 お互いベッドの上に座り、向かい合う。
 おぼんの上に用意しておいた避妊具を片手に、するすると熱いモノを覆う。
 覆って、スリスリと触れる。
「でも、今は私しかいませんし? ナースにできることは限られてますね。…どうして、欲しいですか?」
「んー…えい」
 無邪気っぽい掛け声とともに、短いスカートがたくしあげられる。
 同時にガーターストッキングと素肌の境目を指でなぞり、ねだる声は続く。
「えっちでかわいいナースさんおおかげでこんなんなってるから。ナースさんが頑張ってくれればすぐだけど? その前にナースさんのこといっぱい可愛がらないと、もったいないよね!」
 患者、元気すぎ。
 突っ込む声が喉元までこみあげたが、小梅は懸命に飲み込んだ。
 飲み込んで、その分笑って、短いスソをつまんで膝で立つ。
 下着をずらた男の手は、勝手知ったるとばかりに秘所をなぞる。
 入口をなぞり、ほぐし、奥へ奥へと指が入る。
「本当かわいい…キレイでかわいい…俺のハニー可愛い…」
「ナースじ、ゃなかったの?」
「日本では【言葉のアヤ】っていうんでしょ? そういうの」
「ちょっと…違う…かしらね…」
 途切れた息でそう言って、小梅ははらりとスカートのスソを落とす。
 代わりに張り詰めたものに手を伸ばし、はぁ、と息を吐く。
「…こんなにパンパンだと、痛いでしょ」
「というか今触られるとやばい」
「…ほんと、正直でかわいいわねぇ、あなたは」
 切なげによった眉間に唇を寄せて、ビクビク動くものに腰を合わせる。
 数度じらすように滑らせて、飲み込む。
 ぎゅうと首筋に抱き着き、ふふ、と笑う。
「この、カッコ、だと。服、見えないけど。…乗った、方がいい?」
「コウメちゃん、思ったよりノリノリ?」
「……さあ? 言わせない、で!」
 楽しそうな声に、少し不機嫌にとがった声が返る。
 あとの声は水音やベッドの軋みにまぎれて、うまく聞こえなかった。


「次はキモノがいーなー。くるくるするやつ」
「んな高いもの汚したくもシワにしたくもないわ。…やっすい浴衣にしなさい」
「わーい」

 これ新婚設定だけど頻度が変わるだけでノリは生涯このノリでいちゃいちゃいちゃいちゃするんじゃないかなこの人たち。
 コウメちゃんはむしろ割とコスプレとか好き。
 この話ナースあんまり関係ないけどかわいい可愛いいいまくるユーマ君と可愛いと言われると大概許すコウメちゃんが書きたかった。あと最後の着物の下りが書きたかった。
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