「うつつの陽炎、朧の姑獲鳥」は交渉技能の連続だった

 タイトルからして花魁が幸せになれるシナリオには思えなかった。むしろそう思えば幸せに終わった方なのだろうか。いや、そもそも幸せとは何だろう…。  …甘味がおいしいことかな!?
 なんかしみじみとしっとりと楽しんできたネタバレ日記。ところで遊郭御園は癒しポイント。




黒田 悠朔さん(酉様)

 相変わらず飄々としてて愉快な感じなんですけどなんでしょう。なんで鉢を三つも買ってるのさ! しかもぼったくられてるし! もう! お金持ち! しかも全然気にしていない! そういうところ好きですよ! 気にしていないと言えば鬼灯の堕胎にも使われるというアレをさらっと白天君に言うのも好きでした。本当にいいキャラしてるなあ。あと青嵐さんとのからみ、生き生きしててちょっとほほえましかった。
 探索パートでは「本当にただの趣味だよね…」みたいな軽やかさがらしいな、って。でも別に毒も吐かず引っ掻き回すわけでもなくただただ情報集めていくのが、本当に。本当に嫌な男だなあ(誉め言葉)でした。でも途中で酉さんが発狂しててちょっと楽しかった。あと中国語の成功が普通にかっこよかった!
 地味に好きだったやり取りが最終決戦前の「行きますか」のやり取りでしたね…。あ、ちゃんと聞くんだね…。一人で行こうとはしないんだね。みたいな。白天君への態度と言い、誰にもなにも強制しないあたりがすごく好きですよ…。優雅というか、なんというか。でも有明さんには水というか落ち着く家をあげる姿を見「なんか、花壇に花でも飢えているようだね」って思いました。心の中のケン君が(なんか増えた)ってびっくりした顔もした。なんていうか、黒田さんって別に受け入れているというほどでも包容力があるというわけでもないけれど。こう、羽休めの場所を…上げる人だよな、って…。あなたが立てるようになるまでどうぞの流れが好き! そして交渉技能が地味にキチンと成功しているあたりも好き! そうだね今回お金バラまいてもだめそうだったもんね…!いやあ、推しと探索できて楽しかったです。

NPC色々

 御薗さんちはあまりに愉快な癒しポイント。いいひとですね。あの人。うっかりファンになるよ。青嵐ちゃん普通にめちゃくちゃ可愛いですね。白天君のそこはかとない残念さと合わせてかわいいですね。柏天君には頑張ってほしいな。無理なくらいで雄々しいけれど。せいの字って呼び方、いいよね。鬼灯の話したとき「いや、青の字はそんなことしてない…はず」ってなってるのほほえましかったです。いや、してないだろうから自信持ちなよ。って思った。
 白天君の「ああー。ああーああー!」はとてもかわいかったですね。飾り気がないやつって、いいよね。…技能的に頼もしいし、3人の方が頼もしいのでついPL判断でつれまわしてしまったけれど。探索者的には「こんな胡乱なことに関わらずに芸事でも磨いておきなさいよ」って思っていた気がします。気持ちのいい、人だったなぁ…。
 諫早さんは「死亡フラグが出ている人だ…」と思ったら遊郭に連れて帰った時の反応とか痛ましくて普通に心が痛かったです。…神話的事象がちらついているわりに「化け物を生みたくない」みたいなことはいっていないからコレ純粋に遊女に疲れているのかな。とちょっと思いはしましたが。それはそれとして有明さんがあやしかったのであの時はまだ神話事象の所為で狂気なのかな、って思っていました。そうといえばそうだし違うと言えば違ったなぁ…。ちなみに「これ時間かけるとこの人死にそう」って思っていたけど、どうだったんですかね。やっぱり一晩たってしまったらなくなっていたのかな。とりあえず助けるの諦めてたから、助けられてよかったなと思います。境遇はあれなままだけど。そこまではなあ…そこまでは探索者手を差し伸べるキャパがないから…!
 有明さんに関しては諫早さんが頼るというかすがる感じだから芯からやばい人ではないかなぁ、と思っていました。途中、遊女が変なの信仰してるって噂話が出た時「あれ?やっぱすごくやばい人かな?」と思いましたが。お花のお墓のエピソードで「あ…これやるせない事態になってる気配がする…」と思いました。大体あってた。かんざし屋さん、いい子だったね…頑張ってね。
 彼女の処遇は「ここまでボロボロなら終わらせるのも慈悲かなぁ、直接じゃないだろうけど客の男ころしてるんだろーしなー。ここで転がってる狂信者はともかくそれはどうかなぁー」と思いはしたんですが。探索者的に「みすみす死ぬの分かって引き渡したくはないな…」って感じだったのであんな感じでした。なんだろうね、純粋にやるせなくなってた気がします。主に彼女を慕うかんざし屋さんを不憫がってた気がします。PL目線では「救いが…あるならほしい…」って感じだったのでああなりました。つらいよ彼女の日記! 段々内容がおかしくなっていくのガチつらい! 「あ、はい」「しかたないね」「いや、本当仕方ないなこれは…」ってなったので…。とても。大正というか閉鎖的な時代のジレンマでした…!

シナリオ関係

 ウブメは推し妖怪なのでひゃっほうと思いました。でもウブメは死産とかお産とかに関わる妖怪なので覚悟もしていきました。大体あってた。遊女が出てきた時点で水子的な感じのつらい展開は覚悟した。大体!あってた! でもそういうの、大正という世界観でこそ映えるアレですごくいいと思うんですよぉ!(苦しい) そもそも鬼灯とウブメときたらもう子供おろしている誰かがいるとしか思えねえよ! 逆に出てこなかったらびっくりだよ! 伏線だよ!
 まあ、序盤の劇に関しては情報に丁寧に「関係ないよ!」って書いてたから「白天君と気楽に仲良くしとけってことだね!」と思いました。楽しかった。市での値引きロール、楽しかった。あとあの椿姫のポスターめっちゃ好きでした。いいなあ、大正。大正ロマンが画面からBGMからあふれてていいなあ。あの諫早さんが倒れる時の風鈴の音とかも、すげえいいなあ!好き!
 しかし青嵐さんの手足に関しては本当にヒエってなりました。え、あのおやじさんいいひとそうだったよね?こんなことしないよね?あ、逆にいいひとだから偏見なく雇ってくれたのかな。と思いました。話してもシナリオの本筋に関係なさそうだったので安心していました。どこかで絡む機会もあるかと思ったけど。そっか、彼女に噂話聞きにいけばよかったのか。そっか。黒いおまもりについて知っているかなと思ったりもしたんですが。残り時間がぼちぼち気になってきたのでいかなかったです。どちらにせよ黒いおまもりのことは知らなかったみたいですけどね!
 お茶屋さんの依頼を受けた時は「天はいっている。これを無視しても情報を得る機会がなくなるだけだと…!」と思ったので行きました。ロール的には好奇心だった気がします。というか最初から最後まで好奇心だった気がします。割といやな女だな。しかしお茶屋さんのあせりっぷりはちょっとふふってなりました。…本当に「悪い人」がいないのが気持ちいいシナリオでしたね…。
 遊郭に関しては「良かった…目の前で折檻とかみなくてよかった…よかった…」と思いました。あと明らかに有明さんが重要人物。鬼灯で堕胎できるのは純粋に遊女の体いたわってないからガンガン使っておろしている者だとばかり思ってた。本当、死体が出た感じがないと聞くまで子供と一緒にお母さんもなくなっていたんだと思っていたよ…。なんか…。よくはないけどよかった…。全然よくはない背景だったけど…よかった。
 そして町の探索。素直に楽しかった町の探索。いちいち台詞回しが粋でテンションあがりますね。見た目は極楽心はソ連は名台詞。あと黒いお守りの噂話とかの胡乱な感じも好きだったなぁ…。あとお医者さんの方は結構普通だったなというか。よくもなく悪くもなくみたいな人だったからシナリオ本筋には関わりないんだろうなと思いました。そして死人が出ていないってすごく、逆に怖くない?って気持ちに…なってきました。
 まあそんな感じに探しはじめた黒いお守り。もうそこがやばいことは分かったけどかといって有明さんのお使いほっぽり出すのもなあ、と思った本拠地(仮)。ともかく諫早さんが目をはなすと死んでそうな予感したので帰りました。よかったよかった。あんなにさくっと有明さんの部屋に入れると思っていなかったけど。はいれてよかった。というか。ありがとう、交渉技能。禿の子かわいかった。
 有明さんの部屋に関しては「ああここが本命かあ!」となりました。日記が心にくるよ!(二回目)本当心に来るよ! かんざし屋の彼の純情というか真心というか証言は真実なんだろうなあとしみじみしましたね…。そっか…しかたないね…本当に…しかたないよ…。あとお札がでてきたので「これとか呪文ででお家に返せってことだね!」と思っていました。お札、どっかに張るのかと思ってた。そっか、MPタンクなのか。そっか。低NPで来ても安心な親切設計だね! 探索者的に白天くんやばいところにつれていきたくなかったのでよかったです…。いや、つれてってもいいんだろうけどさ…。心情的につれていきたくなかったんだぁ…。
 そして最終決戦。いえいーい、イ夫人! 彼女でシナリオ書こうとしたときあるから結構危険性が分かってて死ぬほど怖かったよイ夫人! お家かえってぇ! すみやかにかえってぇ! いやあ! って中の人は思いました。でも撤退の呪文がでてきたってことはすでにでているってことだもんね。しかたないね。へへ。かぎづめ本当に「ひえええ」ってなったけど回避できてよかったです! あと諫早さんがなくなっていなくてよかった! それだけで探索者は報われました!
 有明さんの処理に関してはNPC欄でちらっとふれましたが。これはなあ、もしかしたら生きててもつらいだけかもしれないけどなあ。かんざし屋の彼がいるし子供を大事に思う心があるなら死んでほしくはないなあ…みたいな感じでした。大事に思っているというよりは執着だったみたいだけど。それでもなあ。子供をとりもどしたいって言ってる人を…どうにも見捨てづらいよね…彼女の今後にさちあれ…幸はなくてもともかく穏やかであってほしい…
 全般的に大正のうす暗さと下町情緒的なものを感じる楽しいシナリオでした。背景はつらかったけど。NPCがイチイチ魅力的でした。背景がつらかったけど。改めて、楽しいシナリオ回してくれたKPと楽しいロールだった参加者に感謝を。また何かしらでご一緒できたらうれしいです。
 2020/03/14
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