【CoCシナリオ】真実と懺悔録(大和様作)のSS風ログ。
「ようこそ!迷冥市役所都市伝説課へ!」のネタバレしかありません。あとものっそ暗いです。

→シナリオログ

【[ 氷雨 ]/PL[ 青月七日 ]の懺悔録】


PL:[青月七日]
PC:[氷雨]
通過シナリオ:[ようこそ!迷冥市役所都市伝説課へ! ]
ネタバレを含むシナリオ:[ようこそ!迷冥市役所都市伝説課へ!]














【導入】
 あなたには誰にも打ち明けていない、もしくは打ち明けられない思いを抱えている。
それは、後悔、罪悪感、不安、寂しさ、嫉妬、はたまた誰かに寄せる好意かもしれない。その思いは無意識にでもあなたの胸の中で燻っている。

 今日もまた1日が終わりを告げる。
 仕事や学校生活、日常を終えたあなたはいつもの通りに床に就くことだろう。ベッドに体を預けると、ずぶずぶと疲れが体を覆い尽くす。
 巡る思考が眠気を邪魔する日もあっただろうが、今日はこのまま寝付けそうだ。

 沈む意識の中であなたはふと、渦巻く思いに体の内側からチクチクと刺されるような感覚を覚える。この思いを口にすることが出来たなら、そんな勇気があるのなら、そう願う思いを無視するように意識を手放すのだった。

 真っ暗だった視界にふと柔らかな明かりが降り注ぐ。その突然の眩しさにあなたはゆっくりと瞼を持ち上げるだろう。

 霞む視界は次第に明るさに慣れていき、目の前の風景を脳が認識し始める。

 静寂が包むそこは、広い廊だった。あなたの立つ廊の左右には長椅子が等間隔に並んでいる。「聖堂」「教会」という名があなたの脳裏に浮かぶだろう。左右に何本もの大きな柱が列をなし、それをアーチが結び天井を作っている。天井近くのステンドグラスがはめ込まれた採光窓からは、真ん丸の月が覗いていた。

 あなたが自分自身を見下ろすと、寝る前の格好だろう。荷物は何も持ち合わせてはいない。

「…私は寝た」
「…だから、夢ね。これは」

 確認のために声を出した。
 声が出せるということは、私の意識はっきりしている。
 そして夢。夢…その多くは、記憶の整理のための時間。
 私の記憶の中の、教会。いや、あれば、祭壇だ。それにしたって。

「…よりにもよって、教会? 夢で?」
「…嫌な風景なのに、な」

→後ろを振り返る

 後ろを振り返ると、大きな鉄扉があった。人や獣、植物ととれる彫刻が施されている。
 扉に手をかけてみるがびくともしない。奥に進むしかないだろう。

→奥に進む

  長椅子が並ぶ廊の真ん中を進むと、翼廊(よくろう)と交わる広間に出る。この建物が十字架のような形を取っていることが分かるだろう。上を見上げれば天井は高く、ドームのようになっており、ステンドグラスから透過する月明かりが広間の中心に降り注いでいる。

 そして、月明かりが照らすそこには、一組の机と椅子が置かれていた。机の上には1冊の本と万年筆がある。
 あなたが机より奥に目をやると、突き当たりには大きなパイプオルガンが置かれている。頭上の大きなステンドグラスには人型の何かが描かれているが、差し込む光が強く見ることはかなわない。

 机はそのステンドグラスに向かうように置かれている。

「……夢が安全とは限らない」

 こんな、見覚えのない光景がはっきりと見えるのは気持ちが悪い。
 なぜなら夢は怪異の領域だ。現実よりよほど危うい。怪異―――都市伝説の世界だ。猿夢とか、他にもたくさん。
 早く目覚めるか――さもなくば、脱出経路を探さなくては。

→翼廊へ進む

 左右に伸びる短い廊だ。突き当たりまで進むと鉄扉があるが、何をしても開きそうにない。

「…うん、予想はついた」

→本を見る
 何も書かれていない白いページが多いが、一番初めのページにだけ文章が書いてある。

「かの神の下で真実を綴れ。その半生を残せ。抱える思いを告白せよ。嘘を吐く必要はない。人の子の言葉を借りるのならば、『1人の人間を自然のまったくの真実のままに描け』」
「ここに辿り着いたと言うことは、あなたには心の内に秘めた思いがあるということだ」

 2ページに渡り、そう綴られていた。

 あなたは何か温かいものに背を押されるように、自然とその席に着く。次の白紙のページを開くと、あなたは万年筆に手を伸ばした。

「私の半生?」

 それは突然できた絵空事のようなもので。

「抱える思い?」

 それを伝えたい人はもういないのに?

「…それでも、書けば、…出られる?」

 ならばそうしないと。…前に進まないと。
 …なんだか、嫌な感じはしないし。

【懺悔録作成パート】
 あなたの脳裏に柔らかい男とも女ともつかない声が降ってくる。
『告白の時間だ。好きに書き記せ。それがお前の人生だ』

 あなたは白紙のページに文字を綴る。これはあなたの秘めた思いを中心に紐解く、あなただけの懺悔録。ここでは何を思い、感じ、書き残しても許される。それは紛れもない「真実」なのだから。

▼初めまして。あなたの名前を教えてください。

「……」

氷雨。それと、今は胡雛

 フルネームでなければ大丈夫だろう。名前をとられたとしても。

▼あなたはどのような人ですか?どこで生まれて、どのような幼少期を過ごしましたか?

▼両親はいましたか?どのような人たちに囲まれて過ごしましたか?

迷冥市に捨てられていた赤子ということになっていた

赤子ではないか。アパートに捨てられていたのを、近所の人の通報で保護された。以後は施設に入り、穏やかに過ごした

「あの時、起きたら…アメノ君に、歩んでほしかった人生を、歩いてた」

両親は知らない。ただ私は足をひいていることはなかった。発育も正常。メガネはなくても困らない程度のものだ

 そう、彼と違い五体満足。メガネは…元々、顔を覚えられるのが嫌だったからつけていたものだ。顔を見られるのが嫌だったから。そのためにつけていたものだ。

施設で悪いことはなかったように記憶している。周りが楽しそうに、寂しそうにしているのを見ていた気がする

 あの子はどうだったのか知らない。聞くのが怖かった。
 なぜそんなことを聞くんですか。そう聞かれるのが怖かった。
 …興味だとでも言ってしまえば。それでよかったんでしょうけど。

不幸にすごした。違和感があったという記憶はない。幸福だったのかもしれない

 彼は―――…
 どうやってすごしていたのだろう。
 もう、永遠に聞けない。誰にも。

▼あなたは不可解な出来事に巻き込まれた経験があるでしょう。
それ以前で、あなたの価値観や考えなどの要になったものはありますか?どんな経験や教えから来るものですか?

 そんなものは、簡単だ。

私の存在そのものが不可思議だ。今ここにいることこそが不可思議だ。まきこまれた異常が日常だったはずなのに

価値観などハナからなかった。先輩と御先さんといるのがそれなりに居心地がいいからあそこにいた。それだけだ

考えていることなど、あの日の後悔ばかりだった、元から

でも、だから。今度は求められたことを完璧にやり遂げようと思っていた

やり遂げて、誰かを助けて。職員さんでいれば。あの子の手をとれなかったことを、いつか許せる日がくるかもしれないと。そう思ってた

「…そう、思ってた、だけじゃ、ないか」

 私は君に生きていてほしかった。
 そのことばかりを考えてい。
 他のことなんて、考える余地がないほどに。

だから、私にはもとより、「怪異にまきこまれなかった記憶」などない

 あなたは自身についてゆっくりと振り返る。
 それはあなたが人として歩んできた人生だ。探索者として目覚める前の物語だ。
 そして、それらはあなたが探索者として進む道を大きく左右することだろう。この意味を今は分からなくても構わない。いずれ、分かるときが来るだろう。


 心当たりがあるものはこのことを思い返してほしい。あなたは探索者である以前に一人の人であることを。
 何を思っても、何を感じても、ここでは自由だ。


▼最近、あなたは悩みや、誰にも言えない、もしくは言ったことのない感情や事実を抱えていますか?

 …脳裏に先輩の顔が浮かぶ。
 やさしいやさしい、都市伝説。人間が好きらしいし、私と違って。
 たぶん、私が覚えてる以上の恩があるのだろう。…やさしい先輩だから。

言ってないけど。多少は漏れているだろう

なぜ私は生きている? 彼がもういないのに

「言っても、どうしよもないことだけど…」
 口に出せば、慰めてくれたりするだろうか。呆れるだろうか。
 なんにしたって、どうでもよいことだ。
 何を言われても心が変わる気がしない。ならば……親しい相手にくらい、かっこうをつけていたい。

▼その感情に近しいものはこの中にありますか?予想や不確定でも構いません。近いと思うものを選んでください。
(主に負の感情)罪、罪悪感、後悔、懺悔、不安、迷い、恨み、怒り、殺意、嫉妬、自信のなさ→

「………感情?」

 それはいったい、なんだろう。
 私が、この悩みを抱いている原因は―――……
「……今度こそ、迎えに行きたい……、悲しい、さみしい」

 バチリ、と、何かがはじけたように、堰を切ったように、その感情があなたの中を埋め尽くす。例え、普段どんなに隠していても、目を逸らしていても、その感情は、自身の存在を思い出したかのようにどんどん膨れ上がっていく。外に出たいと暴れ出す。
 その感情を抑えようと思えば思うほど、あなたの胸はチクチクと痛むだろう。胸の内がひりつくようだ。胸が苦しい。SAN値チェック 0/1

CCB<=87 【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=87) 91 失敗
SAN : 87 → 86


 あなたはペンを取る。ここにはあなたしかいない。何も隠すことはない。書け、と言われている。あなたは自身の思うとおりに筆を滑らせる。


▼その悩みや感情に関わる人物などはいますか?名前を挙げてください。

 ここで言う名前とは……死んでしまった彼の名は何だろう?
 アメノではない気がする。だって私が作ってしまったものだもの。だから、あの子の、彼の、本当の名前は。

井内 芥

▼その人はどんな人ですか?また、あなたとはどんな関係でしたか?

「……関係?」

「関係」

「……関係なんて、なくなってしまった」

大事な人だった

 あなたがその人物について綴ると、あなたは自然とその人物を思い浮かべていることだろう。笑っている顔、喜んでいる顔、悲しそうな顔、戸惑っている顔、恥ずかしがっている顔、怒っている顔、あなたが見たくなかった顔も、あなたが一番見たいと望んでいる顔も、すべての思い出と共に思い出される。
 あなたはそれに胸が締め付けられるだろうか、それともちょっぴり胸が温かくなるだろうか。
 尚もペンは走る。

 ずいぶん、しあわせな幻だ。
 胸が締め付けられもしない。暖かくもならない。
 …そんな顔を見たかったと、思うだけ。

▼その感情を抱くようになったのは、自覚するようになったのは、いつ頃からですか?きっかけになった出来事はありますか?

私の目が覚めてからずっと。大事な人だった

本当を思い出せなくても。話すのが怖くなるくらいに大事だった

君がもう一度消えるのを見るのが怖かった。くだらない嘘もついた


全部思い出しても。大事だった

 大事な大事な―――なんだろう。彼は私にとって、なんだったんだろう。

親なのかもしれないけど。そうも思えないし

大事な後輩で。大事な人で。大事に思ってただけだった

 なにもできずに死なせてしまった。
 誰よりも何よりも大事な「人」だった。
 道具扱いされていた頃も。
 都市伝説にしてしまった時も。
 …墓の下に眠る、今でさえ。

▼あなたは何故、その人物に、その感情を抱いているのですか?どんな理由がありますか?

「……それはとても、難しい」

 ああ、でも。しいて言うなら。

彼のために生きれたわけじゃなくても。あの子ことを助けられなくても。私はあの子の傍にいるために生まれたはずだから

理由など、それだけ

 また、ぶわりとその感情が大きくなる。
 あなたがその感情を抱くのは、こうすべきだった、こうあるべきだった、こうであってほしかった、そのような理想と離れてしまっているからだろうか。
 書き綴ったあなたはその事実を認めなければならない。
 ショックがある・認めなくない探索者のみSAN値チェック 1/1d3

 CCB<={SAN値} 【SANチェック】 Cthulhu : (1D100) 90
 1d3 Cthulhu : (1D3) 2
 SAN : 86 → 84

▼それは何故起こったのでしょうか。努力すれば回避出来るものでしたか?望んだものでしたか?

 その質問には、悩む余地がなかった。今までとは違う。
 ずっと、ずっと考えていたからだ。

わからない

なにをすればよかったのか分からない

あそこに残れたらよかった

私は都市伝説のままでよかった


あの子を助けられるなら。彼が生きてくれるなら。それだけでよかった

役目を終えれたなら、消えてもよかった

 それでも、こうして生きている。
 噂だけではきっとこうならない。噂だけならきっと、都市伝説のままだ。

「…一人はこんなに、さみしいのに」

 それでも、生きている。
 それに、私は。

「……君に、それを与えようとしていた……」
 彼と一緒に生きたかった。
 でもできると思っていなかった。
 やれると思っていたけれど。…やりきれる自信はなかった。
 それなのに―――彼には生きろと言ったんだ。
 こんな風に生きることを、強制しかけた。

▼何故回避出来なかったのでしょうか。または、何故それを望みましたか?

なんでできなかったのかなんて、私が知りたい

▼あなたがその悩みや感情を抱いている要因はなんでしょうか。あなたのどの価値観や信念、考え、過去の体験に関わりますか?

彼が大事で、助けたかったから

できたと思ったのに。それができなかったから


心を守れなかったから


前も、あの時も、失敗ばかりだから


私は私が嫌いだったのに

「…でも、消えなかったのね」

 こんなのにも嫌いでも、消えていない。
 私は彼を守るために生まれたけど。
 職員さんは…あの子を守る都市伝説ではなく、あの市を歩く都市伝説だったからだろう。

「……紐づけされるくらい、行く先々で騒いでしまえばよかった」

 職員さんが203号室の子供とセットなら、一緒に消えれたかもしれないのに。
 でも、それじゃあ。悪霊になったかな。
 203号室の子供を助けられなくて寂しくて。代わりを探している悪霊、とかになってしまったかな?

 …アメノ君の望んだものでいれないのは、嫌だなぁ。

 私は自分が嫌いだった。
 あの日のあの子を助けられなかった自分が。大嫌い。
 あの日の彼に無力だった自分は、もっと嫌い。憎らしい。
 それでも彼の願いが私の生存ならば、嫌いでもここにいよう。
 君が一欠片でも思ってくれたなら「職員さん」はここにいよう。

 その価値観や過去の体験はあなたを苦しめるものだろうか、それとも、あなたの支えになるものだろうか。
 どちらにせよ、その事実は紛れもなくあなたの人生の一部だ。それがなければ、あなたはこのような悩みや感情を抱かずにすんだのかもしれない。しかし、それはあなたをあなたたらしめる由縁だろう。
 あなたの中に強く根付いているものなのだろう。

 それは歪んだ認知ではないだろうか。視野は狭くないだろうか。いつだって己を許すのは己自身である。あなたはそれに気がついているだろうか。
それに気がついて尚、突き進む者には勇気が、それに気がついて道を正せる者には幸福が訪れますように。

▼きっかけになる出来事に対してどうなって欲しかったと思いますか?もしくは、現状でどうなってほしいと望みますか?

「いきてほしかった」

「いきて、いて、ほしかった」

生きて、いてほしかった

▼その為にはあなたや誰かが何かをする必要がありますか?こうしたい、こうしてほしいという願望でも構いません。

 それも、考えるまでもない。思い返すまでもない。

できることがあるならなんでもするのに

 できることがなにもない。見つけられない。何一つ。

カギをもう一度探せばいいの?

 でももう君がいない。隣にいない。だからあそこにはきっといけない。いったところで―――心が、もう、ないんだもの。

噂でも流してやればいいの?

 203号室の子供は死ななかったとでも触れ回って。実は未練があって戻ってきているとでも叫び続けて。
 また私はあの子を都市伝説にするの?

でも、全部、だめだ

 目の奥がヒリヒリする。
 泣きたいのかもしれない。
 泣いたことがない。分からない。

 息が苦しい気がする。
 心臓が痛い気がする。
 全部、全部、最近できたものだから、よくわからない。

 ただ、分かることは―――…

「私は、もう、2度と」
「君が、誰にも、…なににも、自由を奪われることがないように」

 だからあの日鍵を手に取った。
 彼の生き方を歪めた自分のことも、許せなかったから。

「…それ以外の望みなんて、どう抱けというの…?」

私がなにかをしたら

それはきっと、彼ではないアメノ君

だから、なにもできない

「…なにもできないのに」

 どうして生きてるの。

 あなたは苦しくても、恥ずかしくても、筆を止めることは出来ない。ここではその必要もない。どんなに醜く汚い願いでも、それはあなたが思い感じていることだ。それを否定する者などいない。あなた自身も否定しなくて良いのだ。それが「真実」なのだから。あなたが思い感じていることは、変えようのない事実だ。

▼それは何故実行出来ずにいますか?

アメノ君を二度もゆがめてしまうわけにはいかないから

だから、死者にできることはない

 第一、およびじゃないだろう。

「…彼はきっと、望んでない、から」

 なにかを望む心が残っていたら。
 きっと人になったあの時、隣にいてくれたのに。

「望んでくれたら、いいのにな」

 なんでもいいのに。

「もう一度、なにか、望んでくれたらいいのになあ」

 そうしたら、幸せなのに。

 今より少し息がしやすくなるためにはどうしたら良いだろう。あなたはその方法に気がついているだろうか。それは絶対に実行出来ないものだろうか。それとも、してはいけないものだろうか。
 他者に許されたいと願う者は、許された自分を許しているのだろう。他者に慰められても後悔ばかり残る者は自分を許し切れていないのだろう。


 いつだって、己を許すのは、己自身である。その事実は忘れてはならない。

 前を向かないと見えないものがある。下を向いてばかりでは、後ろを振り返ってばかりでは、気がつけないことがある。事実を認め、「真実」を受け入れる必要がある。真実は決して変えられない。ありのままに受け入れ、認める義務がある。

 あなたは筆を置いた。あなたが何を思ったか、それはあなたしか知らない真実なのだろう。

「………」
「………つかれた」

【ENDING】
あなたが全てを綴り終えると、再びあの男とも女ともつかない中性的な声が降ってくる。

『真実に生きよ。美しくも悲惨な真実から目を逸らすな。自身の「真実」と向き合った者に褒美をやろう』
『お前はその真実を、伝えたいと願ったか?忘れたいと願ったか?』


 探索者は以下の選択肢を選ぶことが出来る。
・質問に答える中で、一度でも探索者自身が「伝えたい」「読んで欲しい」と思った場合、真実をその相手に伝える権利が発生する。この懺悔録を相手に届けてしまう。
 これは亡くなった人物にも可能だ。
・質問に答える中で、一度でも探索者自身が「忘れたい」と思った場合、懺悔録に綴ったもの全てないし一部を忘れる権利が発生する。この懺悔録に綴られたあなたの考えや体験を忘れてしまおう。
 どこからどこまで忘れるかは、あなたの自由だ。
・どちらもしたくない、または成り行きに任せたい探索者は、そのままこの本を閉じる。

 提示された選択肢は魅力的だ。
 脳がとろけるほどに、魅力的。
 でも、ダメだ。それもダメだ。

 ずっと聞こえていた声に届くかは分からない。
 分からないけれど、声を出してみた。

「…伝えられるなら、伝えたい」

「でも、ね」

「同じくらい、知ってほしくないの」

「後悔してる、さみしい、苦しい。…自分が嫌い」

「…アメノ君が何を考えていたのか、私はもう知れない」

「だから、本当のことは一つだけ」

「私が生まれることを、小さな彼が望んだこと」

「私があの場所で生き続けることを、彼が望んでくれてたことだけ」

「私にとっての本当は、この命が残ってることだけなの………」

「それなのに、かなしんでいきてたら、きっと。悲しくなってしまうじゃない…」

 パタリと本を閉じる。
 …もしも伝えたら、彼はどう返してくれただろう?
 ……想像すると……
 想像しかできないのが、さみしくてしかたがなかった。

【END 3】
 あなたは筆を置いた。あなたの胸の中にはやり遂げた達成感のようなものが沸いていることが分かる。
 少し疲れただろうか、それとも満ち足りた気持ちだろうか。あなたは確かにここに自らの半生を記した。それが誰かの目に晒されるか、それともこの空間に、この本にひっそりと存在し続けるのかは、あなたは知ることは出来ない。

 それでも、あなたは、本を閉じた。破り捨てることも、誰かに届けることも、忘れることもなく、あなたはその本を閉じた。あなたの半生は確かに存在している。それが醜いものであろうと、美しいものであろうと関係ないのだ。あるがままに存在している。その事実があるだけで十分である。
 そっと瞼を閉じると共に、あなたの意識は闇に飲まれた。


朝日が差し込む部屋であなたは目が覚める。あの生々しさが夢ではないことを告げている。あなたは確かに存在している。あなたの悩みや感情や考えは、あなたと共に存在している。その事実を受け入れ、認めることは出来ただろうか。
 あなたはまた日常へ戻るのだろう。

「……おかしな夢だった」

「…ああでも、文字にすると、ダメだね」

「余計に、悲しくなるね」

「………先輩だったのになぁ」

「……不思議な職員さんなはずなのにね……」

「………」

「…仕事、行こうか」

 仕事に行って、相談を待とうか。
 職員さんを続けよう。

 私の名前は氷雨。
 あの子のための職員さん。

 私の名前は浅見 胡雛。
 アメノの、井内 芥の最後の願いの欠片

「いってきます」



 なんかずっとめそめそしてて駄々っ子みたいだなと思いながら通過した。
 まあ実年齢大体19歳みたいなものなのか。って思ったけど19歳にしても幼いぞこの31歳児。
 しかしまあ生きていることそのものがHO2の願いの証拠みたいなものなので強く生きてほしいなと思います。真面目に。とても後追い以外の幸せを見つけてほしいな今のところ後追いが一番しあわせそうだけど…!
 さすがにPLのメンタルは回復してきたけど彼女のメンタルを回復させる手段が何も見つからないのでいつか見つけたいなと思います。ど、どこかにあるよ。